私の原点♪

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今日のおやつと一冊です~
なんだかものすごくカロリーの高そうなおやつですが、たまには好きなものを食べたっていいのです。
お供の本は、上原和先生の「トロイア幻想 古代憧憬の旅」♪

この自粛期間中、私は生産的なことは何もできなかったような気がしますが、たくさん考える時間があったので、あらためて私は遺跡や美術がとても好きであるということに気がついて、本当に良かったと思いました。
そんな私の原点は、トロイアの都なのです♪

上原先生は、3年前にお亡くなりになりましたが、私の母校、成城大学の日本美術史の先生でした。
残念ながら私は授業をとっていなかったので、直接は存じ上げませんでしたけど。
先生は、玉虫厨子の研究をライフワークにしていらっしゃいました。
ずいぶん昔にたまたまこの本を買った時は、タイトルに惹かれて買ったので、私の中では著者が日本美術史の上原先生だということに気が回りませんでした。
だから、この本を読んで本当に驚いたのです。
先生もシュリーマンのトロイアが原点だったんだって!

私に西洋文明の扉を開いて人生に影響を与えたのは、小学生の頃に読んだハインリッヒ・シュリーマンの「古代への情熱」でした。
シュリーマンは子どもの頃、父親からプレゼントされた歴史の本を読んで、ホメロスの『イリアス』に書かれたトロイアがギリシャ神話ではなく、史実だと信じて、いつかお金持ちになって必ず見つけると決意をしたのです。
そして、実際にビジネスで成功して40歳を過ぎてから、世界旅行をした後で(日本にも来ています、『シュリーマン旅行記、清国・日本』も面白いですよ)、トロイアを発掘して実際に見つけるのです。
アガメムノンのミケーネも発掘してます♪

とはいえ、近年はシュリーマン批判も多く、虚飾の人生だとか、学術的な素養がなかったとか、発掘で遺跡を破壊したとか、そういうアンチな本も多く出ているのですが、それでも、私を含めて、シュリーマンの「古代への情熱」を読んで、夢を持った若者は多いと思います。
でも、アンチの人に聞いてみたいのです。
シュリーマンが若い頃の夢を忘れず私財を投げ打って発掘したのは事実なのですから、あなたにそれができましたか?と。

上原先生も、学生の頃、大学の西洋美術史の講義でシュリーマンの発掘物語をきいてから、法科から文科に転じて美学・美術史を専攻することにしたそうです。
先生は九大出身だったんですね・・
序文には、日本の古代美術にギリシャ的なものを夢見続けて、先生にとっては、斑鳩がトロイアで、法隆寺がパルテノン神殿だったと書かれています。
そして、先生が若い頃に上梓した論稿が、それまでの法隆寺建築の年代論を真っ向から批判する形になったため、先達たちの憤激を食らって激しい非難をされ、白を黒といいくるめて争わなければならない狭量な世界が疎ましくて、すべてを捨てるつもりでギリシャに来たそうです。
ところが、訪れたクレタ島のクノッソス宮殿の遺跡のそばに松林があり、思い出すのは法隆寺の境内の松や法隆寺の裏山の赤松の林・・・
運命の女神がうしろ髪をつかんで離さなかったといいます。

この本を読んでいたら、私もかつてのギリシャへの熱い思いを思い出しました。
昔、3週間かけてギリシャを旅行しました。
もちろん、本土だけでなく、クレタ島のクノッソスの遺跡にも、サントリーニ島のアクロティリの遺跡にも行きました。
先生の文章を読んでいて、そこを再び歩いているような気分になりました。
懐かしい。
また行きたくなっちゃった!

この本に書いてあるのは、古代ギリシャ世界への旅だけでなく、第3章でインド、第4章で敦煌、第5章で斑鳩について書かれています。
シルクロードで繋がっているんですよね・・
で、何の因果かローマにいる私♪

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by mayumi-roma | 2020-04-26 06:59 | 映画・音楽・本・イベント

上野真弓、ローマ在住の翻訳家&文筆家&ツーリズム別府大使。日々の暮らしや芸術探訪、旅の記録。最新刊は訳書『ミケランジェロの焔』、著書に『教養としてのローマ史入門』、訳書『ラファエッロの秘密』など。お仕事のご依頼はoffice.uenomayumi@gmail.comへ。


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