ベーコン&フロイド展@ブラマンテのキオストロ美術館♪

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サンタ・マリア・デラ・パーチェ教会付属のブラマンテのキオストロ美術館で「ベーコン&フロイド展」が開催されているので行ってきました。


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ここに来たからには、もちろん教会の中にあるラファエッロの「巫女たち」にも挨拶するのはお約束~♪



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教会の左側がキオストロへの入り口です。
「ベーコン&フロイド展」のオーディオガイドを、コス(コスタンティーノ・ドラッツィオ、私が翻訳した秘密シリーズの本のイタリア人著者)が担当したので、それもあって見学することにしたのでした。
コス、この仕事をとても喜んでいたので。



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左がフランシス・ベーコン、哲学者のフランシス・ベーコンの異母兄ニコラス・ベーコンの直系の子孫で、非常に裕福で貴族的な家庭環境に育ちました。
右がルシアン・フロイド、ナチスの迫害を逃れるためオーストリアからイギリスへ亡命してきた精神分析医ジークムンド・フロイトの孫です。
ちなみに、ルシアンはイギリス国籍を得たため、名字を英語読みのフロイドに変えています。

ベーコンとフロイドの二人は、第二次世界大戦終了後、1950年代に抽象絵画がトレンドになって行く中で、あくまでも具象絵画にこだわって制作する「スクール・オブ・ロンドン」という芸術集団の中心的人物となります。
主に肖像画です。

フロイドはそれに加えてヌード肖像画が多くなっていきます。
2005年には、スーパーモデルのケイト・モスのヌード肖像画がサザビーで390万ポンド(約7億7千万円)で落札されて、話題になりました。
ちなみに、そのヌード肖像画はこちら~(この展覧会にはありませんが)

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ルシアン・フロイド初期の肖像画・・
「子猫と少女」(1947年)
モデルは大抵、個人的につながりのある人たちばかり使っています。
そして、動物も一緒に描くことが多いのも特徴です。
ここでは、まるでネコの首を絞めるかのように手でしっかり握りしめていますが、戦争で荒廃した当時の人々の心の不安を表わしたのかもしれませんね。



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こちらは、ルシアンの最初の妻、キティ・ガーマンをモデルにした「白い犬と少女」(1951~2年)♪
この頃からヌード肖像画に目覚めていくようです。



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こちらはフランシス・ベーコンの作品群です。
かなり独特で奇抜なので、嫌いな人は嫌いでしょう・・
ルシアン・フロイドは美術大学で勉強しましたが、ベーコンは完全な独学なので、驚くくらいめちゃくちゃな絵です。
しかし、そのめちゃくちゃさに不思議な魅力があるのも事実です。


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顔や体はいつもデフォルメされ、口は大きく開かれています。
普通じゃないし、静かなようで過激な絵です。
人物は透明なガラスケースの中に収まるように描かれていて、3D的な奥行きも感じさせますが、孤立や閉塞感、不安というものをより強く感じさせます。

ベーコンは上流階級の人間でしたが、ホモセクシュアルだったため、家を追い出され、ロンドンの暗黒街をふらつきはじめます。
ベーコンの育ちのいい趣味や知識が、ある種の男性を惹きつけ、常に醜いと言われて育ったベーコンは、自分がそう醜いわけでもないということを知り、同性愛の世界では人気者となっていきます。

ちなみに、彼を有名にした絵がこちらです。
展覧会にはありませんが、ベーコンの公式サイトよりお借りして下に貼ります。


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「ベラスケスによるインノケンティウス10世の肖像画の習作」(1953年)
インパクトありますよね~
オリジナルの絵は、ローマのドリア・パンフィーリ美術館にありますが、それと同じくらいのインパクト(異なるインパクトではありますが)があります。
古典への創造的再解釈の代表作とされています。
これは、納得ですよね。



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ルシアン・フロイドのヌード肖像画・・



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私が気に入ったのは、こちらでした~♪
この女性がたまらなく愛おしく思えました。
もう若くはないけれど、まだ命の輝きがある女性・・

フランシス・ベーコンもルシアン・フロイドも、それほど私のタイプではない芸術家でしたが、作品を見るとなかなか興味深く、この展覧会に来てよかったと思いました♪

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by mayumi-roma | 2019-11-22 07:02 | ローマ&その他の美術散歩

上野真弓、ローマ在住の翻訳家&文筆家&ツーリズム別府大使。日々の暮らしや芸術探訪、旅の記録。最新刊は訳書『ミケランジェロの焔』、著書に『教養としてのローマ史入門』、訳書『ラファエッロの秘密』など。お仕事のご依頼はoffice.uenomayumi@gmail.comへ。


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