ミケランジェロのモーゼ♪

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ローマ、モンティ地区のボルジア階段♪
ツタの葉が少しずつ出てきました。
これからの季節、きっと、あっという間に緑で覆われるのでしょう・・




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久しぶりにボルジア階段をのぼって、サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会までやってきました。
サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリとは、鎖に繋がれた聖ペテロという意味です。
この教会に、聖ペテロを牢の中で繋いでいた鎖が聖遺物として収められているので、このような名前がついています。




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この教会は、あの有名なローマ教皇ユリウス2世が枢機卿だった頃の名義教会です。
ユリウス2世がどうして有名なのか・・
拙訳「ラファエッロの秘密」にも書いていますが、まずボルジア家出身のアレクサンデル6世(その息子チェーザレ・ボルジアも含む)と犬猿の仲だったこと、外国勢力を追い出そうと戦争に明け暮れる軍人教皇だったこと、そして、サン・ピエトロ大聖堂を新築することを決めたこと、ミケランジェロにシスティーナ礼拝堂の天井画を描かせたこと、ラファエッロに教皇居室の間の壁画を描かせたこと・・
まぁ、とにかく軍事面でも芸術面でも色々なことをした教皇だったわけです。




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こちらにあるのが、聖ペテロが牢に囚われていた時に繋がれていた鎖です。
パレスティナでのものとローマでのものが、2つあります。
信じる信じないは人それぞれですが、長い間人々に信じられてきたものには、それなりの魂が宿っていると、私は思っています。




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すっかり綺麗になりました~
この教会で最も有名なのが、こちらの、ミケランジェロ作のモーゼ像。
そもそも、ユリウス2世は、ミケランジェロの彫刻で飾った巨大な霊廟をサン・ピエトロ大聖堂内に設置する計画を立てていましたが、紆余曲折、ミケランジェロともたびたびケンカして、規模的にはこんなに小さくなってかつての名義教会に飾られることとなったのでした。

私が最後にモーゼを見に来たのは3年ほど前で、その時は修復中でした。
今では、修復が完全に終わって、本当に素晴らしい光で満たされています♪

この教会とモーゼやその他の像の詳しい説明は、過去に何度もブログに書いていますので割愛します~



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厳しい表情ですね。
ユダヤの民に怒っていますね、完全に!



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しかし、こちらから見ると、そのモーゼの表情は変わるように思います。
この写真だと表情まで見れないかもしれませんが・・
私がどういう風に感じたのかは秘密ですが、ちょっと検証したくなりました。
ウチにあるフロイト全集第7巻(1913~14年)のモーゼの部分を読んでみようと思います。
かなり長いので大変そうですが(イタリア語なので)・・
フロイトも、この像を見た時には深い印象を受けたそうで、かなりの長文を残しています。



by mayumi-roma | 2019-04-17 04:54 | ローマの美術・歴史散歩

上野真弓、ローマ在住の翻訳家&文筆家&ツーリズム別府大使。日々の暮らしや芸術探訪、旅の記録。最新刊は訳書『ミケランジェロの焔』、著書に『教養としてのローマ史入門』、訳書『ラファエッロの秘密』など。お仕事のご依頼はoffice.uenomayumi@gmail.comへ。


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