ボルゲーゼ美術館その2(2階)♪

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ボルゲーゼ美術館の続きです~
今日は2階の絵画の展示から(カラヴァッジョの作品だけは1階にあります)。





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勝手知ったるボルゲーゼ美術館ですから、私は真っ先にここへ来ます~
もちろん、ラファエッロの「一角獣を抱く貴婦人」「ボルゲーゼの十字架降下」「男の肖像」、3点があるお部屋です。
比較的人が少ないように見えますが、団体客が次から次へと入ってくるので、いつもわんさか人がいます。
「ボルゲーゼの十字架降下」は、椅子に座ってじっくり見たいですし、私の愛する「一角獣を抱く貴婦人」は、絵の前にずっと佇んで、じっと眺めていたい・・





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ラファエッロの「男の肖像」♪
可哀相に、この絵もラファエッロが描いたものなのに、みんな素通りしていきます・・
知らないのかな?
髪の毛の描写や鋭い視線など、なかなかのものなのですけどね。





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ボッティチェッリの「聖母子と幼い聖ヨハネと天使たち」♪
描かれた人物像を見れば、すぐにボッティチェッリだとわかりますね。
彼の描く顔はみんな同じなので、私hはそれほどボッティチェッリに惹かれないのですが、なぜか日本では大人気ですよね~





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コレッジョの「ダナエ」♪
優美で官能的・・
コレッジョは意外とエロティックな絵を描きますよね。

ダナエはギリシャ神話に登場する王女です。
アルゴス王アクリシオスはダナエという美しい娘を得たものの、世継ぎが欲しくて信託を求めます。
すると、「息子は生まれないが、男の孫が生まれる。そなたはその孫に殺されるだろう」という恐ろしい信託が下されるのです。
王は驚いて、ダナエに男が近づかないように青銅の地下室に閉じ込めますが、美しいダナエに目をつけたゼウスが黄金の雨に変身してダナエを誘惑します。

この場面では、ダナエがベッドにもたれて、ゼウス(黄金の雨)を迎え入れようとするかのように、足を広げています。

頭上には、黄金の雨の雲(ゼウス)が見えます。
ベッドの端に座ったエロス(アモールやキューピッドと同義)も、頭上の黄金の雨の雲(ゼウス)を見つめながら、ダナエの衣服を脱がそうとしています。
きゃあ~、やっぱり、かなりエロティックですね。
この時代、神話を描くからこそ許された表現でしょうね~
こうして、ダナエは身ごもって英雄ペルセウスを産むのです。

さて、この部屋で忘れてはならないのは~





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左、クラナッハの「ヴィーナスとハチの巣を持つエロス」と、右、ブレシャニーノの「ヴィーナス」♪
お気づきだと思いますが、光の加減で絵の写真が上手く撮れないことが多くて、遠くから撮ったものを載せているケースが多々あります。
絵の細かい点がよく見えないとは思いますが、あしからず。

クラナッハは、ドイツ・ルネッサンスの画家です。
彼の描くヴィーナスのなんとしなやかで洗練されていることでしょう!
身体の線が優美で、プロポーションはほっそりしていて、まるで縦に引き伸ばされているような感じです。
独特の美を感じます。
この絵の右上には訓戒が添えられています。
「小さなエロス(キューピッド)がハチミツを味わおうとハチの巣に指を突っ込んで刺されるように、逸楽には苦痛が伴う」

これに対して、ブレシャニーノの「ヴィーナス」はどうでしょう?
貝の鏡を覗いているヴィーナスは、まるで生きているかのような生身の美しい女性で、画面に描かれた壁がんの中から今にもこちらへ足を踏み出すかのようです。
こちらも素晴らしいですね♪

両者とも、まったく異なるタイプの絵ですが、甲乙つけがたいほどに美しいです。





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ルーベンスの「スザンナと老人」と「キリストの埋葬」♪
すみません、巨匠と目されるルーベンスの画風、まったく私の好みではないのです。
アントウェルペンの聖母マリア大聖堂の祭壇画(フランダースの犬で有名な)を見たら、変わるかな?
4月から仲良しのお友だちがベルギーに赴任するので、遊びに行くついでに行っちゃおうかな~




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ベルニーニ作、シピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿の胸像♪
この人こそが、ボルゲーゼ・コレクションのベースを築き上げたのでした。
この彫刻にまつわる面白い話もあるのですが、だんだん疲れてきたので、省略。





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ベルニーニの自画像♪
左、少年時代、中央、熟年期、右、若き時代。
なお、手前にあるのは、ベルニーニ作のローマ教皇パウルス5世(シピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿の伯父)の小さな胸像です。
小さいけれど、眼光が鋭くて、一筋縄ではいかない彼の性格がよく表わされていました。
かなり印象深い作品です。





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ドメニキーノの「クーマの巫女」♪
これ、大好きなんです~






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こちらも、ドメニキーノの「ディアナの狩猟」♪
古代ギリシャ神話の女神ですから、堂々と女性のヌードが描けるわけです。
画面右手には、のぞき見している男の姿が描かれています(笑)。





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ボルゲーゼ美術館の至宝、ティチアーノの「聖愛と俗愛」♪
これ、よく間違える方が多いのですが、聖なる愛は右側のヌードの女性、俗なる愛は左側の着衣の女性です。
ティチアーノが25歳の時に描いた大傑作です。
私は、ティチアーノの若い頃の画風のほうが好みなのです。
ティチアーノはまぎれもなくイタリアが誇る巨匠でありますし、ヴェネツィア派独特の色彩表現を最高レベルにまで昇華させますが、それでも、私は若い頃の絵のほうが好みです。





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それから約50年後に描いた「アモールに目隠しするヴィーナス」♪
「聖愛と俗愛」の正面にあります。
画風がかなり違っているでしょう?
それはもちろん、ティチアーノが色彩表現を極めたからでもあるのですが、皆さまはどちらがお好みでしょうか?

こんな風に比較しながら美術鑑賞するのも楽しいですね♪
簡単なご紹介をしただけですが、美術館の記事は時間もかかるし疲れるので、だんだん頭が痛くなってきました。
おしまいで~す♪

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by mayumi-roma | 2019-03-07 06:23 | ローマ&その他の美術散歩

上野真弓、ローマ在住の翻訳家&文筆家&ツーリズム別府大使。日々の暮らしや芸術探訪、旅の記録。最新刊は訳書『ミケランジェロの焔』、著書に『教養としてのローマ史入門』、訳書『ラファエッロの秘密』など。お仕事のご依頼はoffice.uenomayumi@gmail.comへ。


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