ウフィッツィ美術館その5「カラヴァッジョ」@フィレンツェ♪

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本日は、フィレンツェ、ウフィッツィ美術館に関する最後の記事です。
以前の記事は下記からどうぞ。
ウフィッツィ美術館その1の記事はこちら~←ここをクリック
ウフィッツィ美術館その2「レオナルド」の記事はこちら~←ここをクリック
ウフィッツィ美術館その3「ラファエッロ」の記事はこちら~←ここをクリック
ウフィッツィ美術館その4「二階」の記事はこちら~←ここをクリック

ウフィッツィ美術館2階には3点のカラヴァッジョの作品があります。
最初に現われるのが、こちらの「イサクの犠牲」です♪

まず、ここで、イサクの犠牲(燔祭)について説明しておきましょう。
このお話は、旧約聖書の「創世記」に記述されているアブラハムの逸話で、試練の物語です。
アブラハムとその妻サラは、なかなか子供を授かることができませんでした。
しかし、神の奇跡によって年老いてから子ども授かり、イサクと名付けました。
愛すべきたった一人の息子です。
しかしながら、彼の信じる神は、イサクを生贄(いけにえ)として神に捧げるように命じるのです。
その命令は、「あなたの子孫はイサクによって伝えられる」という神との約束に反することでしたが、アブラハムは、神の言葉に盲目的に従い、愛する息子を生贄にすることを即座に決めます。
イサクは無抵抗のまま祭壇に載せられます。

ちなみに、「彼の信じる神」が曖昧になっているのは、アブラハムがノアの洪水後、人類救済の始祖としてら選ばれた最初の預言者だからであって、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教に共通する預言者だからです。




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アブラハムがイサクに刃物を振り上げた瞬間、神の使いが現れてイサクの殺害行為を止めます。
それから、茂みに雄羊がいるのを見て、アブラハムはそれをイサクの代わりに神に捧げます。
この試練を乗り越えたことにより、アブラハムは模範的な信仰者として称えられていくのです。

なんだか恐ろしい試練ですね。
いくら、信仰心を試すためとはいえ、こんな恐ろしいことを命令するなんて、神さまも酷いなぁ・・
息子もショックでしょう・・
神さまのためなら自分を殺すの?って・・

この絵は、アブラハムが息子イサクに刃物を振り上げた瞬間、神の使いがそれを止める場面を描いたものなのです。





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どうです?このイサクの表情・・・
真に迫っていますよね。
まるで、写真を撮ったかのように、その一瞬をそのまま、写実的に描いています。
もちろんモデルを使っていますが、見たままをありのままに描くこと、それがカラヴァッジョの真髄なのです。





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次の展示室には、「メドゥーサの首」があります。
まるで空中に浮かんでいるかのように展示されています。
これは、カラヴァッジョのパトロンだったデル・モンテ枢機卿がフェルディナンド1世・デ・メディチに贈った円い盾の形をした絵です。
デル・モンテ枢機卿はローマにおけるメディチ家の代理人(トスカーナ公国の大使)だったのです。
盾ですので、それほど大きなサイズではありません。
油彩で描いた画布を木製の盾に貼りつけています。





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盾にメドゥーサを描くという習慣は昔からありました。

その理由はギリシャ神話にあります。
見るものを石にするメドゥーサ、英雄ペルセウスは鏡のように磨いた盾にメデゥーサを映して、間接的にその姿を見ながら、彼女の首を切り落としたのでした。




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その瞬間のメドゥーサの驚きと痛み、苦しみ、無念さがよく出ていると思いませんか?
しかしながら、私はおどろおどろしい絵は好みではないので、カラヴァッジョとはいえ、これはあまり好きなタイプの絵ではありません。





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次の展示室には、「バッカス」があります。
遠くからだと裸体が光に反射して真っ白に見えます。





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こちらの絵も、カラヴァッジョのパトロンだったデル・モンテ枢機卿が注文してフェルディナンド1世・デ・メディチに贈ったものです。
詳しい解説は、拙訳「カラヴァッジョの秘密」(河出書房新社)を読んで下さいね♪





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カラヴァッジョは、ガラスの壺やグラス、果物などの静物画を描くのが得意でしたので、これらの果物も実に見事に描かれています。
ありのままを描くカラヴァッジョらしく、虫食いやちょっと腐りかけた部分までも正確に描写しています。




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ギリシャ神話(ローマ神話)のお酒の神さま、バッカス・・
バッカスに扮したモデルは、カラヴァッジョの画家仲間で当時一緒に暮らしていたマリオ・ミンニーティです。
ミンニーティは、のちに故郷のシチリアに戻り、画家として名を成します。

殺人の罪で死刑宣告を受け、ローマからナポリ、さらにマルタ島へ逃れたカラヴァッジョが、さらにその地でも問題を起こし、マルタ島の牢獄から脱獄してシチリアに逃亡して来た際に、ミンニーティはカラヴァッジョを助け、仕事も斡旋しています。

この絵もまた、モデルをありのままに描いています。
日焼けして赤らんだ顔の色と、普段は衣服の下に隠れている身体の白さを、絵の上で統一することなく、そのまま違う色で描いているでしょう!?




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日に焼けた手首の部分も同じです。
さらに!




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モデルを務めたマリオは、画家としての仕事終わりにポーズをとったのでしょう。
指先の爪が黒く汚れたままです。
汚れた爪のバッカス・・
このように、たとえ異教の神を描く場合でも、カラヴァッジョは、自分の目に見えるありのままを描いたのでした。
決して脚色することはなかったのです。

カラヴァッジョの人生は波乱万丈で、作品同様に実に興味深いものですので、是非、昨秋10月に刊行した私の翻訳本第二弾「カラヴァッジョの秘密」(河出書房新社)をお読みください。
彼の生きた時代、彼の人生、そしてその作品を知り、カラヴァッジョ通になりましょう♪
イタリアに暮らす人、イタリア好きの人、美術好きの人には、必読の本です。
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by mayumi-roma | 2018-10-08 05:38 | フィレンツェ

ローマ在住33年♪永遠の都からお伝えする、翻訳家・上野真弓の日々の暮らしや考えること。そして大好きな美術について・・


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