ウフィッツィ美術館その2「レオナルド・ダ・ヴィンチ」@フィレンツェ♪
2018年 09月 27日
ポンテ・ヴェッキオの上階は「ヴァザーリの回廊」と呼ばれるもので、ヴェッキオ宮殿→ウフィッツィ美術館→ピッティ宮殿を結ぶ全長1キロメートルの長い廊下です。
ここには、数々の芸術家の自画像やその他の芸術品が飾られています。
私は残念ながらこれまで訪問する機会がなかったため、一度も見学したことがありません。
現在、この回廊は改装工事中のため閉鎖され、一般公開は2020年とされています。
ただし、完全予約制で料金も高額になることが予想されています。
いつか、ここを歩いてみたいな~
さて、ウフィッツィ美術館3階後半のハイライトは、なんといっても、レオナルドとミケランジェロとラファエッロです。
最初は、この三人の絵をすべてアップする予定でしたが、書いているうちにどんどん長くなってしまったので、レオナルドだけにとどめます。
そこにツアーの団体客が次から次へどっと押し寄せるので、もう大変!
でも、団体客はさっと見てさっと出て行くので、それほど邪魔にはなりません。
この部屋に入った途端、私の目は、レオナルド、未完の「東方三博士の礼拝」に引き寄せられてしまいました。
ちょっと考えられないくらいのものすごいオーラを放っていました。
そういうわけで、この絵「東方三博士の礼拝」の前に、私はずいぶん長く佇んでいました。
しかし、世の中には迷惑な人がいるもので、この絵の前(しかもど真ん中)にずいぶん長い間立ち続けて解説するイタリア人ガイドがいたのです。
誰だって正面から見たいですよね。
それなのに、説明するガイドがこんなことをしていいのかしら?
心の中で「もういいかげん、どいてよ!」と思っていましたが(他の人も同じだったようで、英語で「この人、邪魔!」と言っている人は多かったです)、まったく動かない!
本人はご満悦で偉そうに(イタリア語で)解説していましたが、空気読めない超ウザ男~
あまりのことに、途中で私はレオナルドの他の絵を見に行ったくらいでしたが、帰ってきてもまだいました!(怒)
師匠のヴェロッキオ工房制作で、工房では師匠と弟子たちが共同作業をしますから、レオナルドが描いたのは左側の天使だけです。
さらに、中央のキリストの身体にもレオナルドが手を加えたと言われています。
繊細な表情だけでなく、その姿勢、また細かい髪の毛や衣服のドレープ(衣文:えもん)の描写も実に見事です。
師匠のヴェロッキオは、レオナルドのこの天使を見て筆を折ったと言われています。
詳しくは、是非、私の翻訳本「レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密 天才の挫折と輝き」(河出書房新社)を読んで下さいね♪
昔は、この絵がたとえようもなく好きだったのです。
聖母が凛として神々しく、神聖な空気が漂い威厳に満ちている・・・
他の「受胎告知」とは一線を画しています。
なんというか、そこに流れる空気を感じることができるのです。
ここで、ウフィッツィ美術館にある他の「受胎告知」と比べてみましょう。
これも大好きな作品ですけど、当然ながら、まったく違うタイプの絵です。
非常に人間的。
いかにもルネッサンス的で美しい絵ですが、レオナルドのものほど、聖性と威厳が感じられません。
あくまでも個人的見解なので、異なる意見の方は、こういう意見もあるのかと聞き流して下さいね。
遠近法も人物像もバッチリ!
天使の姿勢としぐさが好き過ぎます~
しかし、レオナルドの「受胎告知」のように、そこにある空気を感じることができません(あくまでも個人的見解です)。
とはいえ、レオナルドの「受胎告知」には遠近法の間違いがあります。
実際には、間違いというよりも、どうしてそうなったかの秘密があるわけですが、こちらも拙訳「レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密 天才の挫折と輝き」(河出書房新社)を読んで下されば、謎が解けます。
是非読んでみてくださいね♪
サン・マルコ修道院のベアト・アンジェリコ(フラ・アンジェリコともいう)の「受胎告知」♪
シンプルかつ真摯な描写が胸を打つ究極の美♪
私は、これをひと目見た瞬間から目をそらせることができず、レオナルドの魔力に囚われてしまいました。
自分でも意外でした。
これまでに何度も見たことがありますし、以前はそれほど重要視していなかった作品だったのです。
しかしながら、今回は、たとえようのない深い感銘を受けると同時に、深く考えさせらました。
すべてのレオナルド作品に共通することですが、彼の作品には何かを語りかけてくる力があるのです。
未完成なのに、ここまで強烈な印象を与える作品も珍しいと思います。
もちろん、邪念や刷り込みを取り除いた無垢な気持ちで鑑賞した結果です。
それにしても、レオナルドは馬の絵が上手ですね。
この馬の描写だけでも、彼の並々ならぬ力量が分かるというものです。
馬はレオナルドが最も愛した動物。
本当にお見事♪
しかしながら、注釈者は鑑賞者に画面を見るように促すのがその役割なのに、画面の中央から顔をそむけています。
それは何故なのでしょう!?
未完のままでも圧倒的な力強さを放つ、この絵が完成していたならば、いったい、どれほどのものになったことでしょう。
偉大なレオナルド♪
彼の制作の軌跡、その過程を見ることは、実に興味深く面白いです。
私にとっては最も愛する画家であります。
さて、ウフィッツィ美術館にある他の「東方三博士の礼拝」を見てみましょう。
皆さまは、きっとこちらのほうが好きかもしれませんね。
ちなみに、東方三博士の礼拝とは、救世主イエスの誕生を知って東方から三人の賢者が贈り物を持ってイエスを拝みに来たという主題です。
この絵こそが、レオナルドの未完に終わった「東方三博士の礼拝」の代わりに描かれたものです。
私の翻訳三作目「ラファエッロの秘密」は、現在、刊行準備中です。
第一弾、「レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密 天才の挫折と輝き」(河出書房新社)を読んで、レオナルド通になりましょう♪
昨秋刊行された私の翻訳本第二弾、「カラヴァッジョの秘密」(河出書房新社)も、全国の書店で絶賛発売中で~す♪ アマゾンはこちら~ 紀伊国屋書店はこちら~
by mayumi-roma
| 2018-09-27 04:40
| フィレンツェ