ウフィッツィ美術館その1@フィレンツェ♪


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フィレンツェ、ウフィッツィ美術館♪
ようやく、ウフィッツィ美術館について書くところまでやってきました(笑)。
この日は9月中旬の平日、水曜日ということもあって、それほど混んでいない様子でした。
私は予約をしていきましたが、お気に入りの絵を見るだけとはいえ、3時間で制覇できるかどうかがとても心配だったので、予約時間よりかなり早めにチケットを交換に行きました。
何か言われるかな?と思いましたが、何も言われずチケット交換!
おかげで3時間30分は確実に過ごせることになって(帰りの列車の関係で)、ほっとしました。
結果、楽勝ですべて見学することができました♪





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3階からの見学です。
誰もが知っている有名どころ、ティチアーノとカラヴァッジョ以外は、すべてこの階にあります。
展示方法が昔とはかなり変わっていたので驚きました。
なんでも、今年に入ってから展示室の配置や展示方法を変えたそうで・・
美術館のHPにお知らせを書いても良さそうなのに、更新すらしてないので、私のように事前にHPで調べる人は、現地でびっくりすることになると思います。
一瞬、昔の展示のほうが良かったなぁ・・と思いましたが、どちらにも良いとこ悪いとこがあるでしょうから、結果オーライとしておきましょう。





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ゴシックからルネッサンスへの過渡期を印すジョットの「荘厳の聖母」♪
これは、いつ見ても素晴らしいです。
それまでの宗教画とは一線を画しています。




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何よりも、聖母の顔が優しくて人間的。
見とれてしまいます~
何度でも見たい絵です。
ただ、絵の配置が高過ぎる~!
写真が下からの角度になってしまいます。





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今回どうしても見たかった絵があります。
マサッチョの「madonna del solletico」♪
直訳すれば、「くすぐる聖母」、聖母が幼子イエスをくすぐっているのです。
なんという表現でしょう♪
さすがマサッチョ。
母と子の愛情あふれる瞬間に思わず微笑んでしまいます。

それにしても、この絵はとっても小さなものでした。
普段、画集やインターネットの画像で絵を見る時、たとえ、そこに絵のサイズが書いてあったとしても、なかなかそこまでチェックせず、絵だけに集中してしまいます。
だから、絵の現実的な大きさを把握することが難しく、思ったより小さな絵だったとか、こんなに大きな絵だったのかと、実物を見て驚くことが多々あります。
それと同じで、私もまさか、こんなに小さな作品だとは思ってもみませんでした。
これだから、絵は、実物を見ることが大切なのです。
普通の肖像画くらいの大きさかと思っていましたが、 なんと、縦24,50センチ、横18,20センチという極小サイズでしたよ~
実際に絵を見ると、拍子抜けするくらいに絵が小さい場合はよくありますね。



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ズームにしてみました。
聖母が指でイエスをくすぐり、イエスはくすぐったくて笑っています。
この人間的な表現こそがルネッサンスなのです。
本当に、優しい気持ちにしてくれる絵です♪




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フィリッポ・リッピの絵も優しさにあふれていて癒されます。
大好きです♪




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ああ、なんという美しさでしょう♪

しかしながら、今回、私がフィリッポ・リッピの展示室で引き寄せられてしまったのは、別の画家の作品でした。
そして、それを見ることを心から楽しみにしていたわたくしでした。




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ピエロ・デッラ・フランチェスカの「ウルビーノ公夫妻の肖像」です♪
何なのでしょう、この圧倒的な存在感は!
やはり画集で見るのとは全然違いますね・・
フィリッポ・リッピには悪いけど、この部屋での私は、この絵から離れることができませんでした。
ぐるぐるまわりを回って、前から後ろから鑑賞しては、またその繰り返しを続け、さらに次々にやって来る日本人や中国人の団体が過ぎ去るのを待って、写真を撮りました。




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「ウルビーノ公夫妻の肖像」の裏側です。
これにもかなり深い意味があります。
この作品の制作年ははっきりしないのですが、最近の研究で、夫人のバッティスタ・スフォルツァが亡くなったあとに描かれたと言われています。

いつまでも眺めていたい絵でした。
たぶん、私には、現在出版準備中の本「ラファエッロの秘密」の主人公ラファエッロの出身地、ウルビーノ公国の名君夫妻の肖像画ということで、個人的な思い入れもあるとは思います。
ラファエッロの父親が宮廷画家として仕えた君主で、本の中にも記述がありますから~
いずれにしても、数学者でもあったピエロ・デッラ・フランチェスカの絵は、不思議な雰囲気を漂わせる名作が多いですね。




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日本人の大好きなボッティチェッリ♪
こちらは「ラ・プリマヴェーラ(春)」。
この絵は実に解釈が難しいのだそうで、様々な説があります。
私が昔から知っていて信じている説は・・・
画面の中央に愛と美の女神ヴィーナスが君臨しているように、ここはヴィーナスの楽園。
向かって左側には三美神がいて、その隣にはマーキュリーがいます。
マーキュリーは杖を上のほうに伸ばしていますが、これはヴィーナスの楽園を悪天候をもたらす雲から守ろうとしているところです。




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ヴィーナスの頭の上には、息子のキューピッドが目隠しをして三美神に向かって矢を射ようとしています。
なにゆえ、キューピッドは目隠しをしているのでしょうか!?
恋は盲目!?



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ヴィーナスの向かって右側には、春を告げる西風の神ゼピュロスが恋するニンフ、クロリスにちょっかいを出しています。
彼女はどうやら身ごもってしまったようです。
そして、ゼピュロスと結婚した彼女は、神の地位を得て花の女神フローラになります。
つまり、右手の二人の女性は同一人物です。

まぁ、この絵の解釈はこのような単純なものではなく、多くの寓意が隠れているとは思いますが、画面をパッと見た感じでは、このようなことが読み取れるわけです。





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日本人の大好きなボッティチェッリその2♪
「ヴィーナスの誕生」です。
本当に美しい絵ですね♪




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誕生したばかりのヴィーナスの表情が暗いのは何故でしょう。
まるで、この世に悲観しているかのような顔・・
ボッティチェッリは、この女性の顔(一説によるとジュリアーノ・デ・メディチの愛人だったシモネッタ・ヴェスプッチの顔)を描くのが好きですね。
ほとんどの作品に登場する顔です。
こういう愁いを帯びた顔が好みなのでしょうね。

ボッティチェッリの絵は繊細で優美ですが、絵の中にだけ存在できる世界です。
この時代の画家たちは、人物像を解剖学に基づき正確に表現したものですが、彼の描く人物像の姿勢やプロポーションは、あり得ないほどに現実離れしています。
しかし、それは美を強調するためだったのでしょう。

現在では多くの人を魅了してやまないボッティチェッリの絵ですが、実は、再評価され始めたのは100年ほど前のことです。
メディチ家に寵愛された画家だったのに、晩年は絵の注文をする人もいなくなり(サヴォナローラに傾倒して画風が変わったからでもありますが)、孤独のうちに亡くなってしまい、人々の記憶から忘れ去られたようです。
人生の波は誰にでもあるのですね。
たぶん、そういうアップダウンを経験しなかったのは、有名どころではラファエッロくらいでしょう。





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こちらは、同じボッティチェッリですが、晩年の作品「中傷」です。
サヴォナローラに深い影響を受けたボッティチェッリは、精神的危機に陥り、昔のような絵を描かなくなりました。
ここでテーマとなっている「中傷」は、サヴォナローラに傾倒した自分へ向けられた中傷、サヴォナローラの厳しい政治体制への(対抗勢力側からの)中傷、男色家の嫌疑をかけられた自分への中傷、これらに対抗するために描かれたと言われますが、はっきりしたことは分かりません。
いずれにしても、個人的感情に基づいて描いたことは間違いないでしょう。




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やっとトリブーナまでやってきました~
メディチのヴィーナスが中央に君臨しています~

かなり端折っていますが、ここまでで、どれだけの絵を見て写真に撮ったことでしょうか!
そして、これほど多くの絵を見ても、私がうしろ髪を引かれて何度もそこに立ち戻って見つめた絵は、ピエロ・デッラ・フランチェスカの「ウルビーノ公夫妻の肖像」だけでした♪
第二位は、ジョットの「荘厳の聖母」♪(一度引き返して、もう一度見ました!)

ボッティチェッリ、もちろん素晴らしいです。
美しい絵です。
でも、うしろ髪は引かれませんでした。
なぜでしょう・・
年齢を重ねて自分も成長して若い頃とは違った見方をするようになったこと、そして、昔よりお勉強して知識も増えて感じることが変わったからかもしれません。

人それぞれの好みがあるからこそ成り立つのが芸術作品だと思います。
ボッティチェッリが好きな人はそれでいいし、他の画家に惹かれる私もそれでいいのです♪

私の翻訳三作目「ラファエッロの秘密」は、現在、刊行準備中です。
お楽しみに♪

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by mayumi-roma | 2018-09-24 02:33 | フィレンツェ

ローマ在住33年♪永遠の都からお伝えする翻訳家、上野真弓の日々の暮らしや考えること。そして大好きな美術について・・


by mayumi-roma