毎夕の楽しみ♪「風神雷神」 by 原田マハ♪

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新聞の連載小説がけっこう好きな私です。
実家では、地方紙をとっています。
地方の一般家庭では、全国紙の読売、朝日、毎日をとっているところは少なく、なんといっても地方紙をとるのが普通です。
大分の地方紙は大分合同新聞。
その夕刊に現在連載中の原田マハさんの「風神雷神」がとっても面白いのです。
この連載小説は、おそらく日本の多くの地方紙でも連載中だと思います。

私は、日本に住んでいるわけではないので、この冬帰省した時に1か月ちょっと読んで、今回の帰省で4週間弱読んだだけなので、すべての物語を把握しているわけではありませんが、連載終了後に単行本になる際には必ず買おうと思っているくらいに面白いと思いました。

原田マハさんは、美術を軸にした物語をつむぐ方です、私はその世界観がけっこう好きです。
すべての作品を読んでいるわけではありませんが・・

「風神雷神」といえば、すぐに思い浮かべるのが、俵屋宗達の傑作「風神雷神図」です。
宗達自身の経歴は謎の部分も多いと言われていますが、この小説の中では、なんと!
天正遣欧使節団の少年たちと(少年時代の)俵屋宗達が一緒にイタリアに渡ったことになっているのです。
宗達には織田信長公の献上品をローマ教皇に渡すという役割が課されたという設定になっています。

天正遣欧少年使節(てんしょうけんおうしょうねんしせつ)とは、イエズス会士アレッサンドロ・ヴァリニャーノが発案して、1582年(天正10年)に九州のキリシタン大名、大友宗麟・大村純忠・有馬晴信の名代としてローマへ派遣された4名の少年を中心とする使節団です。
その後、1590年(天正18年)に帰国しました。
この使節団がグーテンベルク印刷機を日本に持ち帰ったことで、日本で初めて日本語の書物の印刷が行われたのです。

戦国の乱世とキリスト教とイタリア美術が交わる壮大なストーリーです。

先週の連載なんて、凄かったです~
少年・宗達と少年使節団の原マルティノが、ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラッツィエ聖堂の食堂でレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を見ているところに、「レオナルドのような画家になりたい」と思ってミラノの工房に弟子入りしたイタリア人少年と出会って会話をするのです。
イタリア人少年は、自分と同じような年ごろの宗達とマルティノがヴァチカン宮殿でローマ教皇に謁見し、数々の芸術品を見て、フィレンツェでもレオナルドの聖母子画を見たことを知って驚き、はるか遠くからやってきた彼らがヴァチカンやフィレンツェで至宝ともいうべき芸術品を見たという事実に羨望のまなざしを向けるのです。

完全にフィクションなのですが、、度肝を抜くようなストーリーです。
原田マハさん、実在した歴史上の人物を使って、ここまで大胆な物語を作り上げるなんてすごいなぁ・・
「大嘘書くな!」という批判的なご意見を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、これは小説です。
歴史書ではありませんから、小説ならではのだいご味を味わいましょう。
ここまでの物語を構築できる原田マハさん、やっぱりすごいと思います。

文章を書くことは好きだけど、物語を構築する能力のない私には、絶対に小説を書くことはできないと思います。
子どもの頃の夢の一つは小説を書くことでしたけどね・・
ちょっと修業をしてみようかな・・と思ったりもしますけど(笑)。


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by mayumi-roma | 2018-07-30 22:49 | 映画・音楽・本・イベント

上野真弓、ローマ在住の翻訳家&文筆家&ツーリズム別府大使。日々の暮らしや芸術探訪、旅の記録。最新刊は訳書『ミケランジェロの焔』、著書に『教養としてのローマ史入門』、訳書『ラファエッロの秘密』など。お仕事のご依頼はoffice.uenomayumi@gmail.comへ。


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