名画の条件♪


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この写真は、2014年の秋にローマのバルベリーニ宮殿で開催された「カラヴァッジョ&グエルチーノ展」で撮った写真です。
両者とも普段ローマで見ることのできないカラヴァッジョの作品です。

人それぞれに絵の好みはあると思います。
でも、名画と呼ばれる絵の条件はあると思うのです。
美術史の先生方には怒られそうですが、私は、それを単純に「オーラ」だと考えます。
その絵が好きであろうとなかろうと、確かに名画だと感じさせるオーラです。
時代やジャンルは関係なく、その絵が放つオーラです。

何も知らないで美術館に入って、パッと引かれる絵に近づいてみると、それは必ず有名な画家の作品だってこと、ありませんか?

昔の話ですが、学生のころ、ロンドンのナショナルギャラリーで退屈なイタリアの宗教画(笑)がこれでもか~って並ぶ部屋が続いていた時のことです。
私は当時、宗教的モチーフの多いイタリアの絵画にまったく興味がなく、美術に疎いスペイン人のお友だちと、このコーナーをかなり飛ばして見学していたのですが、二人とも、「これは!」と立ち止まった絵がありました。
誰の絵だろうと見てみると、ラファエッロの「アンシデイの聖母」でした。
その時、美術に疎いスペイン人のお友だちが、「やっぱり良い絵はオーラで分かるね」と言ったのでした。





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2014年の展覧会で、サンクトペテルスブルクのエルミタージュ美術館から貸し出されていたカラヴァッジョの「リュートを奏でる若者」♪
よかった~
ロシアまで見に行かなくてすみました~(笑)

この絵が展示された部屋に入った途端、遠くからでも、この絵の放つオーラに圧倒されました。
絵が私を呼んでいるような感覚です。
私は、この作品がカラヴァッジョの最高傑作だとか、最も好きな作品とは思いませんが、とても良い絵だと思います。
引きつけられます♪






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カラヴァッジョ初期の作品ですが、本当に素晴らしいと思います。
花や果物など静物画を描く技術の見事さ!
弾き語り歌手の柔らかな肌!
凛々しいけれども甘い雰囲気。
本当にうっとりとしてしまう絵です。
解釈に関してはいろいろありますが、そんなことは知らなくても、絵を眺めるだけで幸せな気分になるような絵です。

楽譜も忠実に描かれています。
パトロンだったデル・モンテ枢機卿のもとでよほど勉強したのだと思います。
レベルの高い教養人に囲まれて、たくさんのことを学んだのでしょう。
楽譜は、当時のローマで流行っていた、世俗歌曲のマドリガーレ、恋の歌です。
「誰が言えましょうか」「もしむごい無常が」「あなたに夢中なのをご存じ」「私はあなたのものでした」という楽曲が4つ、入っています。
なんだか笑ってしまうような楽曲ですが、恋の言葉は、いつの時代も変わらないものなのですね♪

余談ですが、ここで書いたことは、翻訳中のカラヴァッジョの本とは一切関係がありません。この絵については書いてありませんので。

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by mayumi-roma | 2017-05-08 06:18 | ローマの美術散歩

上野真弓、ローマ在住の翻訳家&文筆家&ツーリズム別府大使。日々の暮らしや芸術探訪、旅の記録。最新刊は訳書『ミケランジェロの焔』、著書に『教養としてのローマ史入門』、訳書『ラファエッロの秘密』など。お仕事のご依頼はoffice.uenomayumi@gmail.comへ。


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