ミケランジェロのピエタに想う・・・

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サン・ピエトロ大聖堂・・・
壮大ですね♪
ここばかりは、何度来ても、その度に、この壮大さに驚かされます。
全然、慣れません!(笑)

大聖堂を始め、広場を整えるため、何百年もの月日を費やし、各時代の超一流と呼ばれる巨匠たちが作り上げたカトリックの総本山・・・





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聖ペテロのお墓とされる場所の上にある主祭壇。
パンテオンのブロンズを剥がしてベルニーニが作り上げた大天蓋。
ミケランジェロ作のクーポラ(丸屋根)。





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13世紀の聖ペテロ像・・・




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ポッライオーロ作の「インノケンティウス8世のモニュメント」・・・




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カノーヴァの作品も多くあります。




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しかし、自分の好みの範疇を超えて、この大聖堂内で最も素晴らしい作品は、なんと言っても、ミケランジェロがわずか25歳で彫った「ピエタ」でしょう。

私は彫刻も好きですが、ミケランジェロよりベルニーニのほうが好みです。
どちらが優れているというわけではなく、完全に好みの問題です。
そして、私はミケランジェロがそれほど好きではありません。

でも、美しいものを美しいと感じる心は持っています。
美しいものは美しい。
そういうことだと思います。

昔から、33歳という年齢の息子を抱く母親なのに、聖母の姿が若過ぎると批判を受けてきたミケランジェロですが、彼は、「生涯男性を知らずに処女を通した女性は、汚れがなく若く美しいままだ」と反論したと言われています。

私は、ミケランジェロは聖母の理想像を表現したかったのではないかと思います。
キリストの母であり、花嫁であり、娘であるマリア・・・
神の子を産み、そして運命通りに、息子をあなた方のために捧げましたよ・・・と。

この作品に限らず、私はミケランジェロの作品には強い宗教性を感じます。
彼自身がカトリック教徒であり、神の国を信じていることが伝わってくるのです。




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私は、しばしピエタ像の前に立って、意地悪くあら探しをしましたが、何も見つかりませんでした。
聖母が若すぎるとか、聖母の身体が巨大過ぎるとか、そんなことはどうでもいいことです。
それらについては、そうした理由を見い出せますから。
母としての圧倒的な愛情表現が足りないという意見もありますが、私はそうは感じませんでした。

素晴らしい作品です。
ミケランジェロの好きでない私が言うのですから、本当です(笑)。



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安らかなキリストの顔も本当に素晴らしいです。
ほとんど笑っているようですね。



by mayumi-roma | 2016-05-30 05:59 | ローマの美術・歴史散歩

上野真弓、ローマ在住の翻訳家&文筆家&ツーリズム別府大使。日々の暮らしや芸術探訪、旅の記録。最新刊は訳書『ミケランジェロの焔』、著書に『教養としてのローマ史入門』、訳書『ラファエッロの秘密』など。お仕事のご依頼はoffice.uenomayumi@gmail.comへ。


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