カテゴリ:ローマの美術散歩( 294 )

ローマ歌劇場,その2♪


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ローマ歌劇場〈オペラ座)見学の続きです♪
実は、この写真は舞台の上から撮ったものです。
オペラ座の好意で、特別に舞台の上、舞台裏も見学させてもらったのでした。
さすが本場の歌劇場は、一番上の天井桟敷も豪華な感じに見えますね♪
中央は、ロイヤルボックスです。

オペラ座が北イタリアの歌劇場に比べて若干格が落ちるというものの、
それでも一流と言えます。
ここでは、過去に多くの有名な作曲家や指揮者や歌手たちが登場しています。
日本人初の国際的オペラ歌手、三浦環(みうら・たまき)も、20世紀初頭に、
ここで18番の蝶々夫人を歌っています。
マリア・カラスも1948年にここでデビューしました。
もちろん、三大テノールのドミンゴ、カレラス、パバロッティも歌いました。
マスカーニ、ストラヴィンスキー、ストラウス、あの有名な指揮者カラヤンも
登場しました!





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ロイヤルボックスをズームで♪






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ロイヤルボックスの中にも入りました♪
1度でいいから、ここからオペラを見てみたいなぁ・・・

そうそう、1958年には前代未聞の大騒動が起こりました。
当時のイタリア共和国大統領、ジョヴァンニ・グロンキがこのロイヤルボックスに臨席していた時のことです。
ベッリーニの「ノルマ」が上演されていたのですが、主役ノルマ役のマリア・カラスが第1幕終了後に舞台を放棄してしまったのです。
そして、オペラ座は怒涛の飛び交う混乱と化したのでした。

カラスは体調が悪く発声がうまくできなくなっていたようです。
裁判沙汰にもなったそうですが、しかし、これは、万が一の場合を考えずに代役を立てていなかったオペラ座側の責任だったのです。
通常は、必ず代役を確保しておきますから。
マリア・カラスは1048年から58年までオペラ座でも歌いましたが、その絶頂期が過ぎたことを象徴する出来事となったのでした。






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この写真は舞台の上です。
現在、ヴェルディ作曲の全4幕からなる「イル・トロヴァトーレ」というオペラが上演されています。
原作はスペインのグティエレスの戯曲で、1853年、ローマのアポロ劇場で初演されました。
アポロ劇場、そうです、オペラ座ができる前に、もともとローマにあったテベレ川畔の劇場です。





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舞台装置にたくさんのワイヤーがかかっています。
現在、パリのオペラ座とコラボレーションをしているそうですが、あちらは、ボタン一つで何もかもが動くシステムなのだそうです。
しかし、ローマのオペラ座は、すべて手動式です。
しかも、モーターは音がするので使えず、特殊なパイプを使って水と油で動かすのだそうで、そのため、この下には24人の係が控え、ワイヤーの上には8人の係が控えているそうです。





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こちらは舞台の下~
舞台装置を動かす係が24人で作業する場所です。





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舞台装置を動かすワイヤーの上~



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でも、ローマのオペラ座にしかないものがあります。
それは、パイプオルガンです。
ヨーロッパの歌劇場で唯一パイプオルガンを備えているのがローマのオペラ座なんですって♪






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いや、もう、オペラ座の舞台裏を見てビックリというか、感動しました。
私たちが舞台を見る時、表の美しい部分だけを見ますが、その裏では・・
一つの舞台を作り上げるのに、それはオペラでもバレエでも演劇でも同じでしょうが、本当に多くの人の努力があって成り立つものなのだな・・と♪
素晴らしいですね♪

楽屋も見学したのですが写真は撮らず~
オペラ座の場合、有名無名を問わず、①の楽屋はオーケストラの指揮者、②の楽屋はソプラノ歌手、③の楽屋はテノール歌手、④の楽屋はメゾソプラノ、⑤の楽屋はバリトン、⑥がバッソと決まっていて、その他の出演者は大部屋になるそうです。





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こちらは、イタリアが王政だった頃、王族が幕間に休憩する場所として作られたサロン♪
天井は低いです。
イタリア人はそもそもそれほど背が高くありませんが、当時はもっと背が低かったそうで。





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ここは、玄関の上に当たるのですが、最後にここで私的には一番感動したものを発見しました♪
オペラ座での公演の際に、有名な芸術家が舞台衣装を作ることがあるのだそうで、ここに、イタリアが誇る超一流の芸術家たちが創り上げた衣装が展示されていたのです。
日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、ヨーロッパ、いや、世界レベルでは超一流の芸術家たちで、私の敬愛する芸術家たち~♪






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イタリアの現代彫刻家、ジャコモ・マンズーが創った衣装♪
1963年に上演されたギリシャ悲劇の「オイディプス王」のためです。
現代彫刻はあまり好きではないわたくしですが、マンズーだけは別!
その彼の創った衣装だなんてテンション高くなりました~





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こちらは、現代彫刻家、アルナルド・ポモドーロの衣装♪
1982年のロッシーニの「セミラーミデ」のためです。

ちなみに、ポモドーロという名前に聞き覚えのある方も多いのではないかと思います。
トマトではないですよ~(笑)
イタリア外務省の前庭や、ヴァティカン博物館の「松ぼっくりの中庭」に球形のオブジェがあるのをご存じでしょうか?
それこそ、ポモドーロの作品なのです。





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こちらで~す♪





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そして、こちらの衣装は、20世紀の巨匠レナート・グットゥーソの創ったもの♪
1970年上演のビゼーの「カルメン」のためでした。

グットゥーソは、表現主義の影響を受けていますが、基本的に社会のリアリズムを描く画家でした。
まさにグットゥーソらしいカルメンの衣装です。
ちょっと感動♪

非常に興味深いオペラ座見学でした~
しかも、オペラ座から参加者全員にプレゼントがあったのでした♪
オペラの2枚組CD、セリフのブックレットつきです。
私はロッシーニの「セビリアの理髪師」のセットでした♪

ええ~~っ、本当にいいの~!?という感じ。

これは、もう近いうちにオペラ座に何か見に行かなきゃね~
天井桟敷だったら17ユーロくらいで見れるから、本当は気軽に行くべきなのでしょうけど、なかなか・・
どうせなら、良いお席から見たいですしね。

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by mayumi-roma | 2017-03-03 06:12 | ローマの美術散歩
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ローマ・オペラ座♪
私の3月は、ローマ日本人会の婦人部門ミモザ会のオペラ座見学で幕を開けました~

オペラ座は、ローマ歌劇場が本来の名称です。
イタリア・オペラ界の最高峰ミラノのスカラ座や、ヴェネツィアのフェニーチェ劇場に比べると歴史も浅く、格も少し落ちますが、それでもオペラ座はオペラ座です。

イタリアは中世以来ずっと分裂国家でしたが、そのイタリアが完全に統一されたのが1870年。
ローマを首都に定めたのが1871年です。
ローマには、テベレ川のそばにアポロ劇場がありましたが、当時のテベレ川には堤防がなく、度重なる川の氾濫で水害にあっていたこともあって、首都大改造計画とともに堤防を築く工事を行なうため、その劇場は取り壊されることになりました。

そこで、ローマの実業家、ドメニコ・コスタンツィ氏は、首都ローマに立派な歌劇場を建設したいと考え、私財をすべて投げ打ってミラノの建築家アキーレ・スフォンドリーニに設計を依頼します。
そうして、1880年に11月27日に依頼人の名をつけたコスタンツィ劇場がロッシーニの「セミラーミデ」の上演で開場します。

実は、コスタンツィ氏はローマ市がその劇場を買ってくれることを期待していたのですが、その願いは彼の生きている間にはかないませんでした。

結局、ドメニコ・コスタンツィ氏はこの歌劇場を自ら運営し、経済的困難はあったものの数多くの世界初演を行うことができました。
1890年5月17日のマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」はその代表的な例です。

ちなみに、写真は現在のオペラ座のファサード(正面)ですが、ムッソリーニの時代に改修されたため、当時のものではありません。

この場所には、かつてローマ皇帝のヘリオガバルスの邸宅がありました。
邸宅のブドウ園があった場所です。
ちなみに、この遺跡からは、「眠れる両性具有者」という素晴らしい彫刻が発見され、現在、国立ローマ博物館マッシモ宮殿に展示されています。




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こちらが、その彫刻です。
ギリシャ神話のアフロディーテとエルメスの息子、女性でもあり男性でもある両性具有。
実に美しい作品です。
私のお気に入り♪




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オペラ座の玄関部分。
こちらも、ムッソリーニの時代、1920年代に改修された部分です。
建築家ピアチェンティーニの設計による新合理主義(新理性主義とも言う)のスタイルです。

1926年にローマ市が買収し、王立歌劇場という名称に変更され、1928年2月27日にボーイトの「ネローネ」(暴君ネロのイタリア語名)で再開場します。
この改修工事で、それまで入り口だった場所は、劇場の反対側に移されます。
かつての入り口は、現在ではホテル・クィリナーレの庭園となっています。






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こちらは、当時の王族専用の入り口です。
ここからすぐにロイヤルボックスに上がれるようになっています。





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中に入りましょう♪
特別に舞台の幕を開けてくれました♪




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説明してくれるのは、オペラ座の歴史的資料を管轄する部門の責任者です。
名前は忘れちゃった♪

最初の設計者スフォンドリーニは劇場の音響効果に留意して馬蹄形の内部構造にしました。




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ドーム(丸屋根)には、アンニバーレ・ブルニョーリによるフレスコ画が描かれていますが、寓意的なもので、オペラの1シーンなどを描いたものではありません。
わずか45日で描いたとか・・

さて、このドームの特徴は、写真からはよく分かりませんが(実物を見ても高い位置にあるので分かりません)、ドーム自体が丸く始まる位置にくっついていないということです。
約1メートルのスペースを開けて、浮いている状態なのです。
これは、もちろん、音を逃がして得ることのできる音響効果のためです。





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真ん中のシャンデリア♪
これは、ムッソリーニの時代につけられたものです。
直径が6メートル、27000個のボヘミア(チェコ)のクリスタルを散りばめられた豪華なものです。
シャンデリアまで28メートルもあるので、これを掃除するのが大変なのだとか・・
もちろん、人間が上にのぼるのではなく、シャンデリアをゆっくり下におろしてから掃除するのだそうですが、4年に1回の間隔で掃除を行ない、その作業には15日かかるそうです。





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ドームの下には、ファシズム政権下に再改修を行なった際に、当時の国王ヴィットリオ・エマヌエレ3世、ファシスト党の総帥ベニ―ト・ムッソリーニ、ローマ市長のルドヴィーコ・スパーダ・ポテンツィアーニの名前と再開場の年、1928年という年号が刻まれました。

ファシズムはドイツのナチズムと同じで、決して許されることのないイタリアの歴史的政治的汚点です。
しかし、イタリアでは、あえて、このようなものをすべて残しています。
理由は、忘れないためというものですが、このようなものに嫌悪感を覚える市民が多いのも事実です。

戦後、国民投票で王政が廃止され共和政に代わってから、王立歌劇場からローマ歌劇場(オペラ座)という名称に変更され、1958年に再びオペラ座の改修工事が行われました。
設計は、前回の改修工事と同じピアチェンティーニです。
この改修は1960年のローマ・オリンピック開催にあわせてのものでした。





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舞台と客席の間の一段低くなったオーケストラピット♪





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総座席数は、1600になります♪
長くなったので、続きます~

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by mayumi-roma | 2017-03-02 06:11 | ローマの美術散歩

マニエリスムって・・・

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先日行ったローマのドーリア・パンフィーリ美術館にあったジョルジョ・ヴァザーリの「十字架降下」(1544年)・・・

ヴァザーリは、その著作「芸術家列伝」での方が有名なのですが、画家や建築家としても、そこそこ、いや、かなり成功している人で、フィレンツェのヴェッキオ宮殿の壁や同じフィレンツェの大聖堂の天井にも壮大な壁画を描いていますし、ウフィッツィ宮殿や、そのウフィッツィとピッティ宮殿を結ぶヴァザーリの回廊なども設計しています。
もちろんマニエリスムの芸術家です。
上手いとは思います。
でも、この絵は好きじゃないなぁ・・と思いました。
人物像を詰め込み過ぎ!
過剰!
まぁ、それが、マニエリスムであるわけなのですが・・

そうして、この絵を見ているうちに、マニエリスムとは?と考え始めて、だんだん訳が分からなくなってきたのでした。





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「長い首の聖母」By パルミジャニーノ(1535年)♪

私がそもそもマニエリスムに惹かれたのは(日本の大学でもざっとは勉強していましたが)、フィレンツェのウフィッツィ美術館で実際に自分の目でパルミジャニーノの「長い首の聖母」を見てからで、これは今でも私にとって、マニエリスムの最高傑作だと思っているわけなのですが♪

ラファエッロの古典様式を踏みながらも、どこか異様な絵♪
聖母の首を異常に長いし、身体は蛇のようにクネクネしているし、重心がまったくとれていないような不安定な座り方、抱いている幼子(おさなご)イエスの身体は異常に大きくて、しかも滑り落ちそう!
聖母の周りにいる少年少女たちは、それぞれ別の方向を向いていますしね!
背景も、ここはどこ?的な・・
それにもかかわらず、この絵は不思議な調和を醸し出して、大変優美であるわけなのです。
少なくとも、私の好みとしては♪
これぞ、マニエリスムの巨匠の作品だわ♪
パルミジャニーノは37歳で夭逝したため、作品数は多くありませんが、ウィーンの美術史美術館にも3点あって、見に行きましたし、けっこう私はパルミジャニーノ・フリークだったわけです。
あ、ドーリア・パンフィーリ美術館にも1点あります。

ローマの教会は、後期マニエリスムの画家たちの壁画で飾られているものが多いのですが、ルネッサンスの巨匠たちのマニエラ(手法)を模倣した、個性には欠けるけど、それなりに美しい絵です。
一口にマニエリスムとは言っても、ルネッスサンス末期からバロックまでの長い期間の中で、その傾向は時代や場所で変わってきます。
ですので、ローマの後期マニエリスムの絵がパルミジャニーノとは別物なのは当然です。
でも、これを同じようにマニエリスムの中で定義づけていいのかな?という疑問もわきますが~

1986年に私はローマで16世紀のイタリア美術史を勉強していたのですが、その時には、有名な美術史家で後にローマ市長にもなったというG.Cアルガンの本を使って勉強していました。
ミケランジェロの「最後の審判」(ヴァティカン・システィーナ礼拝堂)には、既にマニエリスムの萌芽が見られ、ラファエッロの「十字架降下」(ボルゲーゼ美術館)にも少し萌芽が・・と教わりました。
さらに、マニエリスムの終了間際の時代のカラヴァッジョの一部の絵にもマニエリスムの影響が見られると学んだのです。
もちろん、その詳細を捉えながらの勉強ということです。
ですが、カラヴァッジョについては、日本の本にもイタリアの本にもその指摘がないのが不思議でたまりません。

と、現在、カラヴァッジョの本を翻訳しているので、美術についていろいろと考えることがあって、寄り道ばかりしています。
今日も、まったく関係のないマニエリスムの本(日本語)を読んだのですが、私としては、まったく納得できるものではありませんでした!

単に、この絵が好き、嫌い、だけならいいのですのが、絵を美術史という学問として考えると難しいですね。
ま、それでも美術好きの私には面白いものではあるのですけどね♪


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by mayumi-roma | 2017-03-01 04:42 | ローマの美術散歩
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ド―リア・パンフィーリ美術館♪

ようやくインターネットが回復しました。
金曜日にカスタマーセンターに電話して5日後の今朝(水曜日)、電話があって、「まだ問題は続いていますか?」という悠長な質問・・・(汗)
当たり前じゃないですか!
というわけで、ようやく回線の不具合の修理に来てくれました。

ほっ!
今の時代、インターネットが使えないと本当に大変なことになってしまいますね。
文明の利器に依存した生活は、ささいなことで崩れてしまいます。
しかし、今さらもう、これを拒否した生活をすることはできません。
世界中のスタンダードになっていますから。
アナログ時代のほうがよかったのかもしれませんね・・
あの頃、困ったことなんてなかったですもの。

今日は、ローマに戻ってきて初めてお友だちとランチに出かけたのですが、それはまた明日のお楽しみということで、とりあえず、本日は、ドーリア・パンフィーリ美術館の続きからになります。





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この美術館のお宝はすべて、こちらの階段を下りた広間に展示されています。





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カラヴァッジョ3点がすぐに視界に入ってきます。
しかし、この場所は、宮殿の中で倉庫に当たる部分です。
天井や壁など、環境は酷いものです。





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カラヴァッジョ3点、右から「洗礼者聖ヨハネ」「エジプトへの逃避途上の休息」「悔悛するマグダラのマリア」です。
この3点の上にある大きな絵は、古典的風景を描いた17世紀の画家ガスパール・デュゲの作品ですが、カラヴァッジョを目の前にすると、申し訳ありませんが、目じゃなくなります・・・
もちろん、まったく異なる絵画ではありますが。





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洗礼者聖ヨハネ♪

たとえようもなく惹かれてしまう作品です。
この作品は、同じものがローマのカピトリーノ美術館にも展示されています。
どちらもカラヴァッジョが描いたものですが、真筆はカピトリーノ美術館のほうとされています。
こちらの作品はレプリカとして画家本人が描いたものです。
謎の多い作品です。
洗礼者聖ヨハネの持ち物とされる木の棒状の十字架もありませんし、子羊ではなく牡羊が描かれています。
そのため、別の主題を描いたものではないかとも言われています。




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エジプトへの逃避途上の休息♪

カラヴァッジョのローマ時代初期の作品で、私の大好きな絵です~
救世主が生まれたという噂を聞いて、ヘロデ王が2歳以下の幼児を虐殺する命令を出しましたが、それから逃げるために聖家族はエジプトへ向かったのでした。
その途中で休息する様子を描いたものです。
この絵を見ると、たとえようもなく癒されてしまうわたくしです♪
カラヴァッジョの作品の中で唯一、背景に風景が描かれたものです。





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悔悛するマグダラのマリア♪
これも、私のお気に入りなんです~
マグダラのマリアは、私が最も好きな聖女です。
色彩を見て分かるように、こちらも初期の作品ですが、上部に差し込む光が描かれ始めています。




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マグダラのマリアがそれまでの人生で使っていた香油壺や宝飾品の描写が上手いですね。
カラヴァッジョは、もともと静物画を描くことに長けていましたから、見事としか言いようのない描写です。
写真では、どれだけ伝わるか分かりませんが・・

ちなみに、ここに書いたことは、誰でも知っていることを簡単に書いただけであって、私が現在、翻訳しているカラヴァッジョの本の内容とは関係ありません。
本には、もちろん詳しい絵の解説や時代背景、面白い話などが書かれていますけど。
カラヴァッジョファン、美術好き、イタリア好きの方々は、楽しみにしていてくださいね。
面白い本になりますから♪





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おまけ~
その1、ラファエッロの「2人の紳士の肖像」もあります~





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おまけ~
その2、ティツィアーノの「洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ」もあります~
これは、非常に幽玄な作品ですね。
主題は怖ろしいものですが、それを忘れさせるくらいに美しいものがあります。
サロメの憐れみを浮かべたような冷たい表情がその美しさをさらに際立たせているかのようです。




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おまけ~
その3、フィリッポ・リッピの「受胎告知」もあります~(右)

私は、やはり、カラヴァッジョ3点とティチアーノの「サロメ」にくぎ付けでした。
たぶん、カラヴァッジョ絵の前には1時間くらい座っていたと思います。


ドーリア・パンフィーリ美術館
Via del Corso 305
入場料:12ユーロ
営業時間:9:00~19:00


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by mayumi-roma | 2017-02-23 06:45 | ローマの美術散歩
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ローマ、コルソ通り♪
ヴェネツィア広場近くの位置に、ドリア・パンフィーリ美術館があります。
17世紀にローマ教皇インノケンティウス10世を輩出したパンフィーリ家所有のプライベート美術館です。
カラヴァッジョの作品が3点あります。





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中庭は綺麗に整えられていますが、こういうお屋敷の維持は大変なのでしょうね。
建物自体は、けっこうボロボロ度合いが目につきます。
映画「ローマの休日」の最後のシーンを撮影したコロンナ宮殿も、いまだにコロンナ家が管理するプライベート美術館ですが〈土曜日の午前中のみ開館)、コロンナ宮殿は完璧な維持がされています。
たぶん財テクが上手いのでしょうね・・





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いつもはがらんとしているのですが、けっこう見学者が多かったのにびっくりしました。
入場料は12ユーロ。
かつては、写真撮影をする場合は、別料金を支払わなければなりませんでしたが、今では、フラッシュなしでの撮影は自由になっています。





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美術館は、やはり何度でも行くべきだと思います。
好きな絵は何度でも見たいこともその理由ですが、展示場所が変わることも多々あるからです。
今回も変わっていました。
この「鏡のギャラリー」の中ほどに、ほんの数年前には別室に単独で飾られてあったヴェラスケスの「インノケンティウス10世」の肖像画が飾られていました。





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ヴェラスケスの「インノケンティウス10世」♪
いやぁ、これは傑作ですね。
インノケンティウス10世の内なる強欲さと狡猾さが見事に表現されています。
この教皇は悪名高い義妹のドンナ・オリンピアにあやつられていたとも言われますが、本人もその資質がなければね~(笑)






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彼の前任のローマ教皇は、犬猿の仲だったバルベリーニ家のウルバヌス8世でした。
教皇就任後、最初にしたことがバルベリーニ家の一族の弾劾です。
バロック時代のローマをベルニーニの手で美しく飾っていったバルベリーニ家のウルバヌス8世でしたが、それゆえ、ローマの噴水や彫刻、サン・ピエトロ大聖堂、ヴァチカン宮殿、どこも蜂だらけです。
バルベリーニ家の紋章が3匹の蜂だということはご存じの方も多いでしょう。
何かを建造させたり描かせる時、そこには必ず、それを命じた教皇の出身家の紋章が刻まれたのでした。






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こちらは、パンフィーリ家の紋章です。
宮殿の天井にあるものです。
その後、パンフィーリ家の当主とドリア・ランディ家との婚姻によってドリア・パンフィーリ家となり、紋章も融合されて変わりますが、インノケンティウス10世の頃は、まだパンフィーリ家の紋章です。
上部は百合の花、下部にオリーブの枝をくわえた鳩がありますが、一般的には、バルベリーニ家=蜂だったように、パンフィーリ=鳩というイメージです。




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というわけで、こちら♪
ナヴォーナ広場の「4大河の噴水」には、パンフィーリ家の紋章があります。
オリーブをくわえた鳩が見えるでしょう?
そう、インノケンティウス10世もウルバヌス8世に負けじと、ローマを飾っていくことに熱心だったのでした。

もし、暇があったら、一度、サン・ピエトロ大聖堂の中で、バルベリーニ家の蜂の数とパンフィーリ家の鳩の数を、数えてみてください。
バルベリーニ家の蜂は500。
パンフィーリ家の鳩は550あります。
まったく~
バロック時代の犬猿の仲の教皇たち、こんなことで張り合ってもしょうがないのに・・

と、余談が多くて、カラヴァッジョにまではたどり着けませんでした~


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by mayumi-roma | 2017-02-21 08:08 | ローマの美術散歩
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サンタ・マリア・デッラ・パーチェ教会♪
ごちゃごちゃと雑然としたローマの路地の奥にある可愛くて由緒ある教会♪
これまでも多々登場している私のお気に入りの教会です。
去年まで週のうち3日の午前中だけしか開いていなかった教会が、今ではいつでも開いているようになりました。






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お隣のブラマンテのキオストロ・カフェに行く前に、この教会にあるラファエッロのフレスコ画「シビッレ」(巫女たち)を一目見ないとね♪





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ブラマンテのキオストロカフェには夫とランチに来たのですが、「愛」をテーマにしたコンテンポラリー・アートの展覧会を開催中で、ものすごい人でした。






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キオストロの中をぐるりと取り囲む行列。
特に若者が多いのです。
どうして、こんなに人気があるの~!?
展覧会のポスターを見たら、本日2月19日が最終日だったので、それと関係あるのか、もしくは、学生は無料にしたとか?
謎です~





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私たちは2階のカフェへ~
ルネッサンスとイタリア・モダンが融合した素敵な空間♪
お気に入りです。





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「愛」をテーマにしたコンテンポラリー・アートの展覧会の一環でしょう。
キオストロの中央部分が、こんなことになっていました。
これはこれで、面白い♪




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先ほどの教会のラファエッロのフレスコ画を上から鑑賞することができる「シビッレの間」に行くか、キオストロのオープンスペースに行くか迷いましたが、珍しくカフェ本体の内部にいることにしました。
今日は、ものすごく混んでいます。






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私は、写真手前に見える、展覧会メニューの「LOVEプレート」♪
どこがLOVEなのか分かりませんが、タイ米のチャーハンみたいなもの。
でも、これがすごく美味しかったんです~
お野菜もたっぷり入っていて焼き鳥風の鶏肉も入っていました。
夫はリゾット。
イタリニアニッシモな人なので、基本イタリアン以外は食べません・・(苦笑)
日本食は、とんかつ、天ぷら、お蕎麦、カレーなら大丈夫。
お寿司やお刺身は無理な人です。
でも、日本に来ても、外食の際は、基本、イタリアンか洋食にしたい人なので、「来ないでくれ~」といつも思ってしまいます。






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ここのカフェのケーキはイタリアのものとは思えないほどに美味しいのです。
私はチーズケーキにしましたが、夫が食べた洋梨入りチョコレートケーキも抜群の美味しさです。

ここのカフェにはWiFiが入っているので、わざわざパソコンを持って行きました。
毎週日曜日は、息子とスカイプする日で、私は1日くらいできなくても別にどうでもいいと思うのですが、夫がね~、楽しみにしていますから。
というわけで、キオストロ・カフェのWiFiを利用して、しっかりスカイプしてきました(笑)。
ついでにメールチェックも~

我が家のネット環境、相変わらずダメなんです。
ほとんど入らない状態で、今この瞬間は入っていますが、入っても、光ファイバー契約をしているというのに、まるで昔の電話回線利用時代のようにものすご~く遅いし、いつ消えるか分からないのです。
明日は平日なので、修理に来てくれるかしら!?


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「レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密 天才の挫折と
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by mayumi-roma | 2017-02-20 06:27 | ローマの美術散歩
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ポポロ広場のサンタ・マリア・デル・ポポロ教会♪
ローマに戻ってすぐに覗いていました。
ここはウチのすぐそばということもあって、一番好きな教会です。

相変わらずインターネットの問題で、この3日間、日常生活に支障が出ております。
まったく改善されていません。
こうして、たまにネットが通じることはあるのですが、基本的に使えません。
フェイスブックには全然入っていませんし、ブログを書くのも不安な状況です。
スマフフォからメールだけはチェックしているのですが、フェイスブックとブログのアプリは入れていないので、そこからアップすることはできないのです。
書くこと、たくさんあったのになぁ・・

ああ、いつまでこういう状況が続くのでしょう!
イタリア在住の方、Fastwebだけは使ってはいけませんよ!




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大好きなカラヴァッジョの本を翻訳するので、もう1度カラヴァッジョの絵を一つ一つ見ておきたいと思っていたのですが、教会内にあるラファエッロの設計したキージ家礼拝堂があまりにも好き過ぎるので、やっぱり無視できません(笑)。





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ルネッサンスの次に来るバロック時代に、バロックの巨匠ベルニーニが再構築したキージ家礼拝堂♪
だめだ~、やっぱり好き過ぎます♪
「天使と悪魔」でも有名なこの礼拝堂♪
ラファエッロのパトロンだったシエナ出身の銀行家アゴスティーノ・キージのピラミッド型のお墓と「ハバククと天使」♪
いずれもベルニーニの作品です♪
私はやはりバロックが好きなんですね♪





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神の命を受けた天使が預言者ハバククの髪をつまんで、洞窟に閉じ込められた預言者ダニエルを救うために、飛び立とうとしているところです。
この「ハバククの天使」の対角線側には、「ダニエルとライオン」の彫刻がありますが、割愛します。






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チェラージ礼拝堂♪

正面はアンニーバレ・カラッチの「聖母被昇天」。
両脇にカラヴァッジョの作品が2点ありますが、同時代にローマ画壇を席巻した2人の画家の作風の違いをはっきりと見ることができます。




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聖ペテロの磔刑 by カラヴァッジョ♪






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この足に注目♪
足の裏が汚れています。
カラヴァッジョは、リアリズムにこだわった最初の画家です。




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聖パオロの回心 by カラヴァッジョ♪






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落馬した聖パオロは目を閉じています。
神の光を受けています。

カラヴァッジョの絵については、これまでも散々書いて来ましたが、カラヴァッジョの本を翻訳するのをいい機会に、また、これから、ローマ市内で見ることができるカラヴァッジョの絵を再びご紹介していきたいと思っています。
自分でも、カラヴァッジョの絵の中で、どれが一番好きか、また、どれが一番心に響くのか、どれが一番の傑作なのかを探ってみたいと思っています。





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街をウロウロとした帰り道、教会は既に閉まっていて、教会の階段には社会見学の子どもたちが座って、お昼ごはんのパニーノを食べていました。
子どもらしく、食べ物のおこぼれを目指して集まって来た鳩に大騒ぎしていました。
なんだか、昔のこと、息子が社会見学に行った時の事件を思い出してしまいました。


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by mayumi-roma | 2017-02-19 05:49 | ローマの美術散歩
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ボンコンパーニ・ルドヴィシ家のお屋敷♪
昨日の続きになります~
写真は、引き続き、コスタンティーノ(私が翻訳をした本のイタリア人原作者)のテレビ番組を写したものです。
画像が悪いのはあしからず。
雰囲気だけ楽しんで下さいませ。




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カルロ・マデルノが設計した螺旋階段を上っていくと・・・




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もう一つ、グエルチーノの天井画のある広間があります。
チャオ、コスタンティーノ~♪(笑)




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1621年、グエルチーノの描いた「La Fama」(名声)です。
いや、もう画像が悪いのが申し訳ないのですが、高らかにラッパを吹く名声の女神が中央に位置しています。




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ウィキペディアのデータベース、著作権のない自由に使ってよい画像から見てみましょう。
「名声」というタイトルから想像できるように、ボンコーパーニ・ルドヴィシ家の栄光を称えた天井画です。
1階にある「アウロラ」とは雰囲気がかなり変わります。
大きな空間が広がっているので解放感があって、よりすっきりした感じ。
圧迫感がありません。

いや、しかし、私が一番見たかったものは別のものなのでした~





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フランチェスコ・マリア・デル・モンテ枢機卿♪
この小邸は、もともと、カラヴァッジョのパトロンだったデル・モンテ枢機卿が所有していました。
枢機卿は、趣味の錬金術と天文学のために、一種の研究所としてここを使っていたわけです。

錬金術とは、簡単に言うならば、基本の4元素(気、火、水、土)に何かしらを加えて「物質を金に変える方法」と「不老不死の薬を作る方法」を手に入れようとするものです。
4元素に「賢者の石」を加えれば、必ず実験は成功すると言われていましたが、その「賢者の石」を見つけなければならなかったのです(作り出すということ)。

その錬金術の実験をしながら、その実験道具をしまっていた場所がこちらです~





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グエルチーノの天井画「名声」のある広間から続く小さな小さな小部屋です。
ここに、デル・モンテ枢機卿は、カラヴァッジョに天井画を描かせていたのでした。




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「4元素」別名、「ユピテル、ネプトゥルス、プルート」です。
天井はかなり低く、天井画も小さいものです。



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ウィキペディアのデータベース、著作権のない自由に使ってよい写真をお借りしました。
これで見ると、大きな天井画を想像してしまうと思いますが、実際は小さなものですし、けれども、小さいからと言って、こんな風に全体を見渡すことはできません。
こればかりは、実物を見た人でないと分からないかも・・

フレスコ画ではなく、油彩で描いています。
レオナルド同様、カラヴァッジョもフレスコ画の描き方を習っていませんでしたし、また、フレスコ画法が嫌いだったのでした。

本当に素晴らしいです。
まず、4元素(空気、火、水、大地)をカラヴァッジョ独自の発想で寓意的に表現している点が実に素晴らしい♪





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中央には、「空気」(気)を象徴して球体の宇宙が描かれています。
太陽、地球、デル・モンテ枢機卿のホロスコープ、うお座、牡羊座、おうし座、双子座が描かれています。





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一番上には、ユピテル(ローマ神話のジュピター、ギリシャ神話のゼウス)が鷲(ワシ)に乗って描かれ、「火」を象徴しています。
ちょっとこの体勢が不思議という声が続出。





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下部左は、ネプトゥルス(ローマ神話のネプチューン、ギリシャ神話のポセイドン)海の馬(蹄の代わりに水かきがついています)と共に描かれ、「水」を象徴しています。
下部右側は、冥界の神、プルート(プルトン)で、ケルベロス(冥界の門を守る頭が3つある犬)と共に描かれ、「大地」を象徴しています。

絵を見ると分かるように、3人の人物は同じ顔で描かれており、その顔はカラヴァッジョの自画像です。
下から見上げた仰視法で描かれており、おそらく、下に鏡を置いて、全裸で鏡に映る自分の姿を描いたのだろうとも言われています。

ちなみに、3つの頭を持つ犬「ケルベロス」は、白と黒の犬ですが、実は、カラヴァッジョも白と黒の雑種の犬を飼っていました。
古い文献に書かれているカラヴァッジョの愛犬と、この絵の犬はとても良く似ていることから、自分の犬をモデルにしたとも考えられています。

いや、もう、ずっとずっと見たかったカラヴァッジョの天井画を見ることができて、私は、ただただ感激でした♪
まさか、こんな日が来るとは・・
大げさではなく、これを見ることをあきらめているカラヴァッジョファンは多いのです。
私は、今もその余韻に浸っています・・・


プリンセス・リータはとってもいい人で、優しくて素晴らしいお人柄でした♪
私たちの訪問を心から歓迎している様子でした。
いつもいるとは限らないので、本当にラッキーだったと思います。

そうそう、プリンセス・リータが、なんと、私たちと一緒に写真を撮りたいと言って、iPhoneを取ってきました。
そして、使用人を呼んで写真を撮ってもらったのです。
ですので、ついでに私のカメラでも撮ってもらいました~
でも3枚中2枚は、ぶれてボケボケ~


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ボンコンパーニ・ルドヴィシ家の紋章の前で♪
実に有意義な訪問でした♪
この訪問が実現したのも、これだけの方々が参加して下さったから!
ありがとうございました♪


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by mayumi-roma | 2016-12-09 07:55 | ローマの美術散歩

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Casino Boncompagni Ludovisi♪

ずっとずっと行きたいと思っていたボンコンパーニ・ルドヴィシ家の小邸の入り口です♪

このお屋敷には、信じられないお宝があるのですが、現在も旧ピオンビーノ公国(トスカーナのリボルノ近辺)プリンチペ(プリンス)とボンコーパニ・ルドヴィシ家のプリンチペ(ローマ教皇を輩出した家にはプリンスの称号が与えられた)のタイトルを持つボンコンパーニ・ルドヴィシ家の当主ご夫妻が暮らしているため、通常の一般公開という形をとっていません。

最低300ユーロ、つまり一人20ユーロで15人集めなければ(ちなみに15名を超えた場合一人につき20ユーロずつのプラス料金がかかります)、見学することができず、しかも、それは金曜日と土曜日の午前中に限られています。


今回、ローマ日本人学校(全日制)のお母様方と私の友人のおかげで、22名もの有志が集まり、しかも、先方も特別に水曜日の予約を受け付けてくれました。

念願だった場所に行くことができて、感無量です。

ご参加の皆様、ありがとうございました♪


しかも、プリンセス(アメリカ人の後妻さんですが、とっても素敵で親切な方!)が自ら案内して下さり、さらに、現在ローマで研究生活を送っていらっしゃる成城大学教授でイタリア美術史の専門家、石鍋先生が解説して下さるという贅沢さ♪

お二人にも感謝です~





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門が開きました♪

写真撮影は禁止ですが、ここだけ写真を撮っちゃいました。

入り口なので問題ないでしょう。


かつて、このお屋敷は、ボルゲーゼ公園よりも広い敷地を持っていました。

ヴェネト通りからトリトーネ通りまでの一帯、約30~40ヘクタールの広大なものです。

1621年、当時のローマ教皇グレゴリオ15世の甥、ルドヴィーコ・ルドヴィシ枢機卿が、もともとそこにあった小邸〈前の持ち主はカラヴァッジョのパトロンのデル・モンテ枢機卿)を買い、次々に周りの土地を買い足していったのでした。

しかし、19世紀末にイタリアが統一され、ローマを首都に定めたため、街づくりの一環として、そのほとんどをイタリア政府に譲渡します。

ちなみに、ルドヴィーコ・ルドヴィシは芸術品のコレクターとしても有名で、ルドヴィシ・コレクションと呼ばれる名高い名品もイタリア政府に譲渡され、現在は、ナヴォーナ広場そばのイタリア国立博物館アルテンプス宮殿に展示されています。

ルドヴィシ・コレクションの過去記事はこちら~(別ウィンドウで開きます)





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お屋敷♪

写真撮影は禁止でしたので、奥の手を使います(笑)。

私が翻訳した本のイタリア人著者コスタンティーノ・ドラッツィオ氏がテレビのアート番組で数年前に取り上げていましたので、そのテレビ画像を写真に撮りました。

あまり画像はよくないのですが、雰囲気だけでも味わって頂ければ・・と思います。





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こちらは、ボンコンパーニ家の紋章です。
ドラゴン♪
のちに、ボンコンパーニ家とルドヴィシ家は合体しましたので、現在の紋章は変わりましたが、ボンコンパーニ家はもともと北ドイツの出身で、ドラゴンフォンサクソンという苗字でした。けれども、イタリア人には発音が難しかったため、良き友人という意味のボンコンパーニという苗字に変えたそうです。





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さて、お屋敷に入ってすぐの玄関には、マニエリスム(ルネッサンスの巨匠たちの手法を真似する様式)の大家、フェデリーコ・ズッカリの天井画があります。

1570年頃に描かれました。

だまし絵になっていて、窪みがあるように見せるため影まで描いています。

また、4つの目がありますが、この下に立って、くるりと回ると、4つの異なる顔が見えるようになっています。




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(コスタンティーノが~~!TV画像なので♪)

1階の見どころは、まず「風景の間」です。


ここには、ボンコンパーニ家出身のローマ教皇「グレゴリウス13世」とルドヴィシ家出身のローマ教皇「グレゴリウス15世」そして、グレゴリウス15世の甥、ルドヴィーコ・ルドヴィシ枢機卿の肖像画があります。


そして、広間の天井画を誰に描かせるか決めるため、4人の画家に競わせた風景画が4点あります。

ガスパール・デュゲ、ジャン・バティスタ・ヴィオラ、ドメニキーノ、グエルチーノの風景画です。

そして、グエルチーノが優勝して、お隣の広間の天井画を描くことになるのです。






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グエルチーノの最高傑作、「アウロラ」(英語風にオーロラともいう)です。

アウロラはローマ神話の暁の女神のことです。

女神が馬車に乗って現われ、夜をふっしょくして朝の光を導く様子が描かれています。

素晴らしく美しいです♪

馬車を引く馬が今にも迫ってきそうな感じです♪

天井が低いので細部まで見ることができて幸せでした。


これは、フレスコ画(漆喰が乾かないうちに絵を描く方法)ではなく、テンペラ画で描かれています。

建築的枠組みを描いたのは、アゴスティーノ・タッシです。

この画家は、実は、カラヴァッジョの友人の画家、オラツィオ・ジェンティレスキの娘(画家)アルテミジアを強姦して、当時としては珍しく女性の側から告訴されています。

女性の地位が低かった時代に偏見を恐れず性的暴行を裁判沙汰にしたことで、アルテミジアは、元祖フェミニストとされています。




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こちらは、ウィキペディアのデータ画像で著作権のないパブリックなものをお借りしました。

日本で、まとめサイトの無断引用、無断転載、パクリ等が問題となって、多くのサイトが閉じる騒ぎとなっていますが、本当に注意しなければなりません。

ネットで検索すれば、たくさんの画像が見つかりますが、自分もされたらイヤなことはしないのが一番ですからね。


お宝見学記、続きます~


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by mayumi-roma | 2016-12-08 07:09 | ローマの美術散歩
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これは、イタリアがファシズムの時代、第二次世界大戦中に使っていた戦争用の国旗です(写真はウィキペディアのデータベース、著作権が切れて自由に使用してよい画像から拝借しました)。
鷲(わし)は、ファシズムのシンボルの一つです。
けれども、もともとは、古代ローマ帝国のシンボルの一つでした。
ムッソリーニは、「イタリアに再び古代ローマ帝国の栄光を!」をスローガンにしていたため、古代ローマ帝国のシンボルをそのまま使ったのでした。
古代ローマ帝国も領土拡大のための戦争を常に行なっていましたから、鷲(わし)は、翼を広げて攻撃的に略奪する、いわば、戦争のシンボルだったのです。

ファシズムの負の遺産はあえてローマに残されていますが、この鷲(わし)のシンボルだけは消されたところも多いです。
しかし、ローマのE.U.R(エウル)地区には、1つだけ残っています。






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ローマ文明博物館の庭にある噴水♪
この博物館は、現在閉館中なので、見学できません。
この噴水の周りにある生け垣の後ろに回ると・・・






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人目につかないところに、鷲(わし)のレリーフが残されています。
やっぱり、翼を広げていますね。





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でも、私が不思議なのは、こういう、もっと明らかにファシズムを象徴するブロンズの彫像が残っているところです。
この手ぶりは、「Saluto Romano」(サルート・ロマーノ)と呼ばれています。
直訳すると、「ローマ式敬礼」なのですが、このローマ式も、古代ローマを意味します。
古代ローマ帝国時代に、「Ave Cesare!」(アヴェ・チェーザレ)という言葉と共に使われていた敬礼なのです。
「皇帝に敬礼」という意味合いを持ちます。
チェーザレ(ラテン語でカエサル)という言葉は、シーザーも意味しますが、シーザー亡きあとの初代皇帝アウグストゥス以降、皇帝の称号となったのでした。

先にも述べた通り、ムッソリーニは、「古代ローマの栄光を!」がスローガンでしたから、この敬礼も真似したわけです。
ファシズムの時代には、「A noi!」(ア・ノイ)という言葉と共に、この敬礼が使われていました。
「我々、ファシストに!」という意味です。

この手ぶりは、今この時代に誰かがしたならば、とんでもないことになります。
ファシストであることを宣言するような、ファシズムに忠誠を誓う意味があるからです。
右腕を前方上に向けてまっすぐに伸ばす手ぶりです。

私から見ると、鷲(わし)のレリーフよりも、こちらのほうが、ひんしゅくものだと思うのですが・・・
ローマにはファシズムの時代のこの手の彫像がたくさん残っています。


私の翻訳本~♪
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7月22日に、私が翻訳した「レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密 天才の挫折と輝き」(河出書房新社)が発売となりました。
これまでにないタイプの画期的な美術エッセーです。
知識がなくても読めます。
けれども、美術愛好家にも読みごたえのあるものとなっています。
孤高の天才ではなく、人間レオナルドの真の姿が描かれています。

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by mayumi-roma | 2016-11-30 07:59 | ローマの美術散歩

ローマ在住33年♪永遠の都からお伝えする私(上野真弓)の日々の暮らしや考えること。そして大好きな美術について・・


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