カテゴリ:ローマの美術散歩( 293 )

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サンタンドレア・アル・クィリナーレ教会♪
久しぶりに寄ってみました~
この教会は、ベルニーニの持て得る力をすべて出し切った彼の最高傑作の建築作品だと思います。

ローマに数多くの教会があるものの、建築物としての傑作は、こちらのサンタンドレア・アル・クィリナーレ教会と、近くにあるライバルのボッロミーニ制作のサン・カルロ・アッレ・クアットロ・フォンターネだと思います。
まったく違ったタイプの教会ですが、どちらも教会建築の最高峰♪
もちろん、私の好みでは・・ということです。






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Work By Prof.Smyth-Pinney

ベルニーニもまた天才の一人♪
実に狭い土地に横長の楕円形の教会を建設するというプラン。
ファサード(正面)、玄関の末広がりの階段、その両脇の巻き貝のようなカーブを描いた壁・・
いや、もう、本当に唸ってしまいます。





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どこからどうやっても、内部の楕円形の空間を写真に撮るのは難しいです。

この内部空間も実に素晴らしく、建築、絵画、彫刻が一体となったベルニーニ劇場が見事に演出されています。





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もちろん、天井も、ベルニーニ劇場の一環です。
しかし、楕円形のクーポラ全体がカメラに収まらない・・・

今使っているのは、去年の夏、日本で買ったNIKONの一眼レフですが、前に使っていたソニーのミラーレスのほうが、画像も綺麗で、より広い範囲がカメラのレンズに収まることができていました。

前回、この教会について書いた記事を見てみると、ソニーのミラーレスで撮った写真だと、楕円形のクーポラ全体が収まっていました・・・
今度の帰国の際に、またソニーを買おうかな!?
NIKONには不満があります。
ただし、ソニーのは壊れやすいという難点があるのですけどね・・・






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教会の聖具室♪
もちろん、ベルニーニ設計です。



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聖具室の天井~



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2階には、ポーランドの聖人、スタニスラウス・コストカを祀った部屋があります。
実に静謐な時間の流れる空間です。




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18世紀初頭、ピエール・ラグロの作品です。

聖人を彫ったこの作品は非常に評判が良かったので、ラグロは、2階の目立たない場所ではなく、サンタンドレア教会内部に飾りたいと、教会側に何度もお願いしましたが、教会側は、ベルニーニの建築と絵画と彫刻で完全に調和のとれた世界に、異質なものが入りこむと、ベルニーニの世界観が崩れてしまうと言って、却下しました。

確かにその通りではありますが、芸術家としてのラグロの気持ちもよく分かりますね。

サンタンドレア・アル・クィリナーレ教会とこの聖人については、過去記事で詳しく説明しています。
下記からどうぞ。
サンタンドレア・アル・クィリナーレ聖堂♪

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私の翻訳本です♪
「レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密 天才の挫折と
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by mayumi-roma | 2017-06-10 05:46 | ローマの美術散歩
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「カラヴァッジョからベルニーニへ スペイン王立コレクション」展の開催されているスクデリア・デル・クィリナーレの2階の窓から見えるクィリナーレ広場♪
上から見下ろすのもなかなかいいものですね。





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カラヴァッジョの「サロメと洗礼者聖ヨハネの首」♪

カラヴァッジョは素描しない画家です。
下絵すら描かずに、モデルを前に直接カンヴァスに描いていく作家でありました。
気に入った同じモデルを使うことがよくあったので、どこかで見たことのある顔。
老婆もサロメも、カラヴァッジョの他の絵で見たことのある顔ですね。
こういうのを探すのも楽しい♪
そして、旧約聖書の物語を、古代ではなく、カラヴァッジョの時代の当世風の人々として描いているところが、カラヴァッジョらしいですね~

私は斬首がテーマの絵は好きではありませんから、カラヴァッジョとはいえ、特に見たいと思っていた絵ではありませんが、せっかくローマに来たのだから見に行かないとね♪
きしくもカラヴァッジョの本の翻訳をしているところでありますし。
あ、でも、この絵については書かれていませんよ~

宗教的モチーフが芸術になったヨーロッパでは、洗礼者聖ヨハネという重要な聖人を扱う作品は多いですね。
サロメの物語が有名になり過ぎたってところもあるのでしょうけど。

夏に訪れるマルタ島も、カラヴァッジョの「聖ヨハネの斬首」を見るのが第一目的なのですが、何度も言うように、斬首のテーマは好きではないわたくし・・・
個人的嗜好で言えば、是非とも見たい作品ではないのです。
けれども、カラヴァッジョは好きな画家ですし、この作品が大傑作だという美術史家も多いので、やはり見ておかなければいけないな~と思って(笑)。

ちなみに、サロメとヨハネの首を描いたもので、私が唯一「美しい」と思えて好きだと言えるのは、ローマのドーリア・パンフィーリ美術館にあるティツィアーノのものです。
ドーリア・パンフィーリ美術館の記事は過去記事にたくさんあります。
一番最近のものはこちら~
カラヴァッジョ@ドーリア・パンフィーリ美術館
インノケンティウス10世@ドーリア・パンフィーリ美術館




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ベラスケスの「ヨセフのトゥニカ(衣服)」♪

これは、旧約聖書の創世記の中のお話です。
バロック時代の絵は、やっぱり聖書なしでは理解できないテーマが多いですね。
あ~、気が遠くなるほど長く複雑なお話なのですが、絵に関わる部分だけを端折って説明します。

ユダヤの祖、ヤコブの11番目の息子、ヨセフは父親に一番かわいがられていました。
後妻のラケルとの初めての子、年を取ってからできた子どもだったからです。
ヤコブはヨセフにだけ丈の長い極上のトゥニカ(衣服)を与え、兄弟たちは嫉妬に狂います。
そして、ヨセフが自分の見た夢(兄弟たちが自分にひれ伏すという夢)を話したため、ついに・・・
兄弟たちは、ある日、ヨセフを井戸に落とし(本当は殺そうとしたけど一人の兄弟に阻止される)、その後、奴隷商人に売り飛ばします。
兄弟たちは、ヨセフの長い丈の素晴らしいトゥニカ(衣服)を奪って、そこに羊の血を塗り、父親のヤコブに、「ヨセフは獣に襲われて死んだ」という話をします。

はい、この絵の場面が、まさに、その血に染まったヨセフのトゥニカ(衣服)を父のヤコブに見せているところなのです・・・
父ヤコブが驚きと悲しみのあまり、のけぞっています。

絵の中の犬が可愛い♪
これだけで、ぐっと親近感が増しますね。
遠近法は、市松模様のような床で表わしています。

ベラスケスといえば、「鏡のビーナス」や「ラス・メニーナス」や絶筆の「マルガリータ王女」などの作品を思い浮かべますが、私的には、ローマの、またしてもドーリア・パンフィーリ美術館にある「教皇インノケンティウス10世」が最高傑作だと思います。
肖像画でこれほど人間の中身を表現し得るのかと、感嘆に値する作品だと思います。


ちなみに奴隷として売られたヨセフはその後どうなるのかといえば、賢さもさることながら、予知夢を見たり、他の人の夢の解釈ができることから、どんどん出世していき、ついにはエジプトのファラオの右腕にまでなります。
そうして、ユダヤの地の大飢饉を救い、兄弟とも和解し、父親とも感動の再会を果たします・・

ああ、疲れた・・・




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ベルニーニの唯一のブロンズ作品です。
当時、スペイン王直々の依頼だったのにかかわらず、エスコリアル宮の礼拝堂に飾られたあと、すぐに別の作家のものと取り替えられました。
王様、気に入らなかったのかな?

十字架がないと、ちょっと間抜けな感じに見えなくもありません。
失礼な表現でごめんなさい。

確かに、ベルニーニは大理石のほうがずっといいように思えます。
胸部だけの肖像彫刻は別にして、静より動を表現する時にその能力が最大限に発揮されるような気がします。
その方が難しいのですけどね。




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このベルニーニの十字架上のキリストは、横から見たほうが断然良いことに気がつきました。
気がついてよかった~

本当は、とっても面白い絵があったので、そちらもご紹介しようと思いましたが、この時点ですごく疲れてしまいましたので、今日はこの辺で。

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by mayumi-roma | 2017-06-01 05:14 | ローマの美術散歩

クィリナーレへ♪

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今日のローマも暑かった~
でも、エアコンを入れるほどではありませんけどね・・
なるべく日陰を歩きながらクィリナーレへ・・



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クィリナーレ広場♪
うしろに見えるのは、大統領官邸。




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広場を挟んで向かい側にあるのが、スクデリーア・デル・クィリナーレ。
スペイン王立コレクションの展覧会をやっています。
カラヴァッジョの作品が1点あるので、行かなければ・・と思っていました。
サロメの主題はあまり好きではないけれど。




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ええ~~っ!
入っていきなり最初の作品がカラヴァッジョなの!?
なんと大胆な展示方式でしょう・・

でも、平日のせいか、がら~んとしてました。
そもそも、見ものが、カラヴァッジョとベラスケスとベルニーニ、それぞれ1点ずつですから、それほど注目度の高い展覧会ではないですね。

今年のローマの展覧会は不作~~
行きたいと思うようなものがありません。

この展覧会には、まだ見たことがなかったカラヴァッジョの絵画1点、それに、カラヴァッジョから影響を受けたロ・スパニョレット(ホセ・デ・リベーラ)の絵が数点あることを知っていたので、私には行く価値がありましたけど。





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ホセ・デ・リベーラ(ナポリに暮らしていたので、ロ・スパニョレットとイタリアでは呼ばれています)の作品で一番気に入ったのは、こちらの「ヤコブとラバンの羊の群れ」♪






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グイド・レーニ「サンタ・カテリーナ」

グエルチーノやグイド・レーニの作品も数点ありました。
一時期カラヴァッジョの影響を受けたグイド・レーニの「サンタ・カテリーナ」はなかなか興味深かったです。
暗闇の中から聖女が浮かび上がって神の声を聞いています・・





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思いもよらず、クラウディオ・バリオーネの作品があったので嬉しかったです♪
「左を向いた女の子」と「右を向いた女の子」の絵♪
とっても良く描けていると思います。
かなり気に入りました~

クラウディオ・バリオーネは、カラヴァッジョの熾烈なライバルで敵でしたが、カラヴァッジョ様式に影響を受けた画家です。
ヴァサーリの「芸術家列伝」の次に重要だと言われる(続く時代の)「芸術家列伝」も書きました。
ちなみに、カラヴァッジョとその仲間たちは、名誉棄損でバリオーネとその仲間たちに訴えられています。
私が翻訳中の本にはその詳細は出ていませんが、イタリア語の本で読みました。
まぁ、驚くばかりに低レベルでくだらなく下品なやりとりですが、笑えます。

メインのカラヴァッジョやベルニーニはまた明日~
今日はとっても疲れました・・・

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by mayumi-roma | 2017-05-31 05:13 | ローマの美術散歩
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写真は、ナヴォーナ広場のそばにあるマダーマ宮殿♪
現在、イタリアの上院議会として使われています。

マダーマ宮殿の写真がどこかにあるはず。
そう思って探しましたが、見つかったのは、これだけ。
私は撮影した写真をSDカードに入れたまますべて保存しているので、SDカードの数も膨大なのですが、そのカードの中に入った画像を探すこと自体も至難の業・・・
全部のカードを見るのは到底無理なので、とりあえずSDカード10枚だけ見ました。
が、まじで疲れますね~
絶対に見落としていると思います。

この写真じゃダメだな~
使いものにはならない。
もう少し引いて撮った全体像が欲しいのです。
絶対にあるはずなんですが、探すのも大変。
面倒だけど、近日中に写真を撮りに行こうかな。

マダーマ宮殿の名前の由来は・・・

そもそも、この宮殿が建つ土地は、15世紀後半、ローマ教皇シクストゥス4世の時代にファルファ修道院所有の地所でしたが、フランス王に渡り、その財務官が15世紀末に原型となる宮殿(今よりもずっと小さい)を建立します。
それが回り廻ってメディチ家所有になったわけです。
あまりにも複雑なので、かなり端折っています。

メディチ家最後の直系(ロレンツォ偉大王の子孫)の当主、アレッサンドロ・デ・メディチは、神聖ローマ帝国の皇帝カール5世の庶出の娘(私生児)、マルゲリータ(庶出でも一応、ハプスグルグ家)と結婚しましたが、アレッサンドロが暗殺されたため、彼女はオッタヴィオ・ファルネーゼと再婚して、この屋敷に長く暮らしたとのことです。
それゆえ、この建物は、マルゲリータ夫人をさして、令夫人、マダムという意味の「マダーマ」と呼ばれるようになったのでした。

しかし、歴史って本当に複雑。

アレッサンドロ・メディチも、公的にはロレンツォ偉大王の孫の庶子とされていますが、実際には、のちに教皇クレメンス7世となったジュリオ・デ・メディチの子どもでした。

ジュリオが枢機卿時代にメディチ家の黒人奴隷シモネッタ・ダ・コッレヴェッキオに産ませたと言われています。
アレッサンドロの肌は黒かったのです。

何だか話がそれましたが、このマダーマ宮殿にはカラヴァッジョが暮らしていたのです。
カラヴァッジョの時代、16世紀末に、トスカーナ大公国フェルディナンド・デ・メディチの側近でもあったデル・モンテ枢機卿がこの屋敷に暮らしていたからです。
デル・モンテ枢機卿はカラヴァッジョのパトロンで、彼がカラヴァッジョの才能を見出して、屋敷に住まわせて絵を描くことに専念させたのでした。
ああ、ここまでたどり着くのに、時間のかかったこと!(笑)

というわけで、マダーマ宮殿の写真を本に載せるかもしれないので、たとえ載せないことになったとしても、写真だけは手元に持っておきたいのです~
今週中には写真を撮りに行きます。

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by mayumi-roma | 2017-05-30 07:01 | ローマの美術散歩

遠近法の不思議♪


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ルドヴィシ・ボンコンパーニ邸♪
グエルチーノの最高傑作「アウロラ」(暁の女神)の天井画がある広間です。




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本当に、何度見ても素晴らしい絵♪
でも、今日は、この天井画の「クアドラトゥーラ」についてお話したいと思います。
グエルチーノの描いた天井画ではありますが、周りに見える建築的枠組みは、アゴスティーノ・タッシが描いたものです。
遠近法と短縮法(遠近法の一種)を駆使して描く建築モチーフの錯視表現を「クアドラトゥーラ」と言います。



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クローズアップして見てみましょう。
天井にあるので、下から見上げる形ではありますが、これが正面から見た感じです。




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少し左寄りから見ると、この通り♪
左の建築がびよ~んと曲がります。





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今度は、少し右寄りから見て見ましょう♪
あらら、今度は右の建築物がびよ~んと曲がります。
左の建物は、まっすぐに戻りました~

すべて錯覚です。
でも、凄いと思いませんか?
これ、立体的なものではないのです。
あくまで二次元の平面に描かれた絵!!
それが見る角度によってこんな風に姿を変えるなんて!
絵というものは、本当に奥深いものなのです。

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by mayumi-roma | 2017-05-28 05:36 | ローマの美術散歩

ピエタ By カラッチ♪

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3月にナポリのカポ・ディ・モンテ美術館で見たアンニバレ・カラッチの「ピエタ」♪
とても良い絵です。

ヨーロッパでは巨匠の誉れ高いカラッチが、日本でほとんど知られていないのが不思議です。
知り合いの美術史家が言っていましたが、日本人はフランスが好きで、美術も何もかも基本的にフランス志向であるとか・・
まぁ、それも一理あるかもしれませんが、私は、イタリア人よりフランス人のほうが、自国の文化や製品の価値を高めるプロモーション能力が高いからではないかと思います。
イタリア人は、一見ずる賢いようでいて、そのずる賢さが空回りしてしまう。
ずる賢さが見え見えで、またそれがあまりにも自分本位なため、警戒されて、まともな交渉ができなくなる。
で、最終的にはいつもバカを見てしまうみたいな・・
非常に残念な国民性です。

ワインも食も化粧品もブランドも、レベル的にはほぼ同じなのに、かなり差をつけられていると思います。
かくいうわたくしも、ワインも化粧品もブランドも確かにフランスもののほうが好き(苦笑)。
でも、芸術に関しては、絶対にイタリアのほうが上だと思うのですけど!
しかしながら、芸術の都といえばパリ・・になっていますしね(苦笑)。

すっかり話がそれました。

ピエタとは・・・
イタリア語で哀れみや同情を意味しますが、美術の世界では、イエスの遺体を抱いて悲しむ聖母マリアを表現したものです。

制作年代ははっきりしませんが、だいたい1600年くらいと言われています。
ちょうど、カラッチがローマのファルネーゼ宮殿にフレスコ画の装飾をしている頃です。
ファルネーゼ宮殿のカラッチの壁画の過去記事はこちらから~←ここをクリックしたら別ページで開きます。

アンニバレ・カラッチはカラヴァッジョと同時代の画家です。
両者とも卓越した画家ではありましたが、カラヴァッジョがリアルさに比重を置いてモデルをそのまま写実する表現で当時の絵画基準を順守しなかったのに対し、カラッチはまさに王道中の王道、ルネッサンスの伝統的絵画を基軸にしながらリアルさも取り入れ、けれども、神の創造物たる理想化した姿を表現しました。
反宗教改革で絵画に厳しい基準を課していたカトリック教会に合致するような作品を描いたのはカラッチです。

この作品は、他の画家たちによる複製画と変形ヴァージョンが多く残っていますが、それは、この作品がいかに大きな成功を収めたものであったかということを示しています。

聖母がイエスを抱きかかえる距離感は、サン・ピエトロ大聖堂のミケランジェロのピエタ像から影響を受けたと言われています。
聖母の泣いている表情が見事です。
イエスは本当に神々しい美しさで描かれていますね。

画面右側に天使が2人います。
一人はイエスの左手を持ち、もう一人は、イエスのいばらの冠のとげで指を刺し、観者に視線を向けています。
「キリストの受難を思い浮かべよ」と促しているかのようです。

カラヴァッジョとの作風の違いが一番よく分かるのは、こちら!



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ポポロ広場にあるサンタ・マリア・デル・ポポロ教会のチェラージ礼拝堂♪
祭壇画がカラッチによる「聖母の被昇天」
両側壁にあるのが、カラヴァッジョの「聖ペテロの磔」(左)と「聖パオロの回心」(右)です。
同時代の卓越した画家同士だけあって、両者ともに素晴らしいです♪


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by mayumi-roma | 2017-05-26 05:40 | ローマの美術散歩

ローマのマルタ騎士団♪

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コンドッティ通り♪
あら、左手の建物に掲げられた十字章の旗は何でしょう!?





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赤と白の十字章は、マルタ騎士団の証し。
マルタ騎士団の正式名称はロードス及びマルタにおけるエルサレムの聖ヨハネ病院独立騎士修道会。
現在は国家ではありませんが、かつて領土を有していたことから、主権実体として承認して外交関係を結んでいる国も100ヶ国以上あります。
国連にもオブサーバーとして参加しています。

そう、このコンドッティ通りの68番地(マルタ宮殿)にマルタ騎士団の事務局があるのです。
この建物は、イタリアから治外法権が認められています。

かつては、マルタ島が彼らの領土でした。
カラヴァッジョもローマで殺人事件を起こしたあと、ナポリに逃亡して、そこからマルタ島に渡っています。
そして、この地で、傑作と言われる「聖ヨハネの斬首」を描いたのでした。
カラヴァッジョは、ヨーロッパの貴族出身者でなければ入団の難しいマルタ騎士団の騎士にさえなっています。
ですが、また問題を起こして牢獄入り!
そこから華麗なる脱獄をしてシチリアに逃げて・・・
まさに波乱万丈の人生ですね。
当然ながら法衣剥奪の判決を受けて、マルタの騎士の復讐に怯える日々を送ることになるのですが・・・

夏にマルタ島を訪れるのがとっても楽しみです♪
この秋刊行予定の私が現在翻訳中のカラヴァッジョの本もよろしくね~






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マルタ騎士団といえば、ローマにはもう一つ、有名な場所がありますね。
アヴェンティーノの丘にあるマルタ騎士団の館です♪
右手の建物です。
1年に1度、建物は一般公開されますが、普段は治外法権のため、入ることができません。
この行列は、扉の鍵穴を覗くためのものです。
だって、鍵穴からは、こ~んな素晴らしい景色が見えるんですもの~
ローマを訪れた方は、皆さまご存じですね♪





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ご存じ!
小さな小さな鍵穴をのぞくと、そこにはサン・ピエトロ大聖堂が見えるのです~

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by mayumi-roma | 2017-05-22 03:17 | ローマの美術散歩
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ヴィットリオ・エマヌエレ2世広場♪

滅多に行くことはありませんが、本当はもっと行くべきところかもしれませんね。
激安の中国食品屋さんがたくさんあって、日本食品やお野菜が手に入りますから~
まさにチャイナ・タウンという感じですが、インド系の有色人種もかなり多いです。

さて、この広場の中央にあるのは、古代ローマ時代のニンフェオ♪
ニンフェオとは古代ローマ水道の終着点で泉になっていた場所です。
現在のイタリア語では、アレッサンドロのニンフェオというのが正式名称ですが、古代ローマ時代はラテン語の世界だったので、ニンファエウム・アレクサンドリと呼ばれていました。





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裏側に回ったほうが、本来のニンフェオ(泉)の様子がよく分かるそうです。
このニンフェオは、マリオのトロフェイと呼ばれることがあります。
それは、かつて建物の2階の部分に、2体のマリウスの戦勝像(イタリア語でマリオのトロフェイ)があったからです。
この2体の像は、1590年にローマ教皇シクストゥス5世がカンピドリオ広場に移してしまいました。




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ニンフェオの隣には、「魔法の扉」が~~
今の季節は緑に覆われて見えないくらいです。
魔法の扉については、過去記事に書いています。
こちらから、どうぞ♪←ここをクリックしたら飛べます♪

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by mayumi-roma | 2017-05-15 05:28 | ローマの美術散歩

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ローマ、バルベリーニ広場♪
これまでブログに何度登場したことでしょう。
そのくらい私にとっては思い入れのある場所なんです~
この広場については、いつも同じようなことばかり書いているので申し訳なく思いますが、それでも、やっぱり同じことを時々書きたくなってしまいます~

「羅馬(ロオマ)に往きしことある人はピアツツア・バルベリイニを知りたるべし。こは貝殻持てるトリイトンの神の像に造り做したる、美しき噴井ある、大なる廣こうぢの名なり。貝殻よりは水湧き出でてその高さ數尺に及べり。」

森鴎外の名訳として知られるアンデルセンの最初の長編小説「即興詩人」の冒頭の部分です。
本当に美しい文章です。

ローマがお好きな方は、絶対にアンデルセンの「即興詩人」を読むべきです。
もちろん、鴎外の訳ではなく、現代語で書かれたもの♪
現代語だとこんな感じです。

ローマに行かれたことのある人は、美しい噴水のあるバルベリーニ広場をご存じでしょう。半人半魚の海神トリトーンがほら貝を高く吹き上げていて、その貝から水が数メートルの高さにほとばしりでています。





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私は、この噴水がローマで一番好きです。
トリトンがたった一人で水を飲んでいる構図なんて、あまりにも独特で他に類がないと思います。
一人ぼっちなのに、ものすごい存在感があって、この広場にとてもマッチしていると思うのです。
あ、バロックの巨匠ベルニーニの作品です。




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注文主は、バルベリーニ家出身のローマ法王ウルバヌス8世。
バルベリーニ家の紋章、3匹のミツバチが見えます。
この法王に、「ベルニーニはローマのために生まれ、ローマはベルニーニのためにつくられた」と言わしめています。





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私がローマに来たのは、ほんの気まぐれからで、ロンドンから日本へ戻る前に半年ほどバカンスがてらに・・的なものでした。
美術史を勉強していながら、イタリアの美術が好きではなかった私は、ローマの街を歩いても、さして感動することもなく・・(笑)
そんな中でも、ローマで出会ったベルニーニとカラヴァッジョだけは別格でしたが、私がローマの良さを知ったのは、なんといっても、アンデルセンの「即興詩人」のおかげです。

このバルベリーニ広場の描写で始まるアンデルセンの「即興詩人」がどうしても読みたくなって(冒頭の文章は、あまりにも有名なので知っていました)、ネットも存在しない時代、東京のお友だちに手紙を書いて送ってもらったのでした。
こんなにしてもらったお友だちなのに、15年くらい会っていません(汗)。
今度の日本では、同級生以外は、何年も会っていない人を中心に会おうかな・・
お友だちが多過ぎて、もう手が回らないんです~





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送ってもらった本がこちら~
カバーを付けていたので、30年以上前のものとは思えないくらい新品です!!
上下巻あるので、かなり長いです。
でも、面白いので、一気に読めます。

ストーリー自体は、まるで大河ドラマのような出来過ぎたものですが、何気に面白いです。
主人公のアントニオは、貧しい子ども時代、ジェンツァーノの花まつりを母親と見に行く時に、ボルゲーゼ家の馬車に母親がはねられて死んでしまい、責任を感じたボルゲーゼ家で養育されることになります(ラッキー!)。
その後、ローマ1の歌姫アヌンツィアータと恋愛して別れたり、カプリの青の洞窟で盲目の少女ララに出会ったり・・
そして、のちにパーティで出会う貴族の美しい令嬢が、実は目が見えるようになったララだったとか・・
最終的には、即興詩人として成功してララと結婚するというハッピーエンドのストーリーです。
泣く場面もあります。

ベタなストーリーだけど、それゆえに面白いってこともありますよね♪
でも、この本の魅力は、何といっても、今とまったく変わらないローマの街並みが感じられるところです。
実際、この本を読んで以来、私は、それほど惹かれなかったローマの街を歩くのがとっても楽しくなったのです。

バルベリーニ広場のトリトンの噴水は、そんな私の原点とも言える場所です。
それとは関係なく、この彫刻は傑作だと思いますけどね。
一番好きな彫刻ではありませんが、一番好きな噴水です♪

ちなみに、ローマで最も美しい広場はナヴォーナ広場だと思います。
でも、ローマを象徴し、また私が最も好きな広場は地元のポポロ広場です♪

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私の翻訳本です♪
「レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密 天才の挫折と
輝き」(河出書房新社)もよろしく♪

これまでにないタイプの画期的な本です。
レオナルドの人生とその作品のすべてが物語風に分かりやすく綴られています。

レオナルドを愛する方、興味のある方、是非どうぞ♪
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by mayumi-roma | 2017-05-13 03:53 | ローマの美術散歩

名画の条件♪


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この写真は、2014年の秋にローマのバルベリーニ宮殿で開催された「カラヴァッジョ&グエルチーノ展」で撮った写真です。
両者とも普段ローマで見ることのできないカラヴァッジョの作品です。

人それぞれに絵の好みはあると思います。
でも、名画と呼ばれる絵の条件はあると思うのです。
美術史の先生方には怒られそうですが、私は、それを単純に「オーラ」だと考えます。
その絵が好きであろうとなかろうと、確かに名画だと感じさせるオーラです。
時代やジャンルは関係なく、その絵が放つオーラです。

何も知らないで美術館に入って、パッと引かれる絵に近づいてみると、それは必ず有名な画家の作品だってこと、ありませんか?

昔の話ですが、学生のころ、ロンドンのナショナルギャラリーで退屈なイタリアの宗教画(笑)がこれでもか~って並ぶ部屋が続いていた時のことです。
私は当時、宗教的モチーフの多いイタリアの絵画にまったく興味がなく、美術に疎いスペイン人のお友だちと、このコーナーをかなり飛ばして見学していたのですが、二人とも、「これは!」と立ち止まった絵がありました。
誰の絵だろうと見てみると、ラファエッロの「アンシデイの聖母」でした。
その時、美術に疎いスペイン人のお友だちが、「やっぱり良い絵はオーラで分かるね」と言ったのでした。





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2014年の展覧会で、サンクトペテルスブルクのエルミタージュ美術館から貸し出されていたカラヴァッジョの「リュートを奏でる若者」♪
よかった~
ロシアまで見に行かなくてすみました~(笑)

この絵が展示された部屋に入った途端、遠くからでも、この絵の放つオーラに圧倒されました。
絵が私を呼んでいるような感覚です。
私は、この作品がカラヴァッジョの最高傑作だとか、最も好きな作品とは思いませんが、とても良い絵だと思います。
引きつけられます♪






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カラヴァッジョ初期の作品ですが、本当に素晴らしいと思います。
花や果物など静物画を描く技術の見事さ!
弾き語り歌手の柔らかな肌!
凛々しいけれども甘い雰囲気。
本当にうっとりとしてしまう絵です。
解釈に関してはいろいろありますが、そんなことは知らなくても、絵を眺めるだけで幸せな気分になるような絵です。

楽譜も忠実に描かれています。
パトロンだったデル・モンテ枢機卿のもとでよほど勉強したのだと思います。
レベルの高い教養人に囲まれて、たくさんのことを学んだのでしょう。
楽譜は、当時のローマで流行っていた、世俗歌曲のマドリガーレ、恋の歌です。
「誰が言えましょうか」「もしむごい無常が」「あなたに夢中なのをご存じ」「私はあなたのものでした」という楽曲が4つ、入っています。
なんだか笑ってしまうような楽曲ですが、恋の言葉は、いつの時代も変わらないものなのですね♪

余談ですが、ここで書いたことは、翻訳中のカラヴァッジョの本とは一切関係がありません。この絵については書いてありませんので。

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by mayumi-roma | 2017-05-08 06:18 | ローマの美術散歩

ローマ在住33年♪永遠の都からお伝えする私(上野真弓)の日々の暮らしや考えること。そして大好きな美術について・・


by mayumi-roma