ウルビーノ最終章♪


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ウルビーノにいたのは、つい10日ほど前のことなのに、なんだか、もう遠い昔のような気分です。
旅行は非日常の世界なので、過ぎてしまえば日常の彼方へ消え去ってしまいます。
同じイタリアの地とはいえ、そこにたどり着くまでが難儀な道のりなので、余計に非日常感が増してしまうのです。
ここに再び戻ってくるのは、たぶんパリに行くよりも難しい気がします。
だからこそ余計に、キラキラとした夢のような思い出に変わっていくのでしょうね・・





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小高い山というか丘の上に位置するウルビーノは、坂の町でもあります。
こういう風景も風情があります~♪
ウルビーノで見たもの、食べたもの、たくさんありますが、最後にどうしてもこれだけは紹介しておきたいと思うものを、今日ここに記して、ウルビーノ滞在記はおしまいにします。





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オラトリオ・ディ・サン・ジュゼッペ♪
聖ヨゼフ礼拝堂という意味で、聖ヨゼフ信心会の運営する教会です。





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この礼拝堂で有名なのが、ストゥッコ(漆喰)で作られたプレセーペです。
プレセピオともいいますが、プレセーペとは、クリスマスの時期にイタリアの教会や各家庭で飾られるキリスト降誕の様子を人形で表わした模型です。
これは、1560年にウルビーノ出身のマニエリスムの芸術家フェデリーコ・ブランダーニが制作したものです。
大きな洞窟の作りになっています。
一見の価値がありますよ~





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ちなみに、こちらが教会の祭壇で、聖ヨゼフの彫刻が飾られています。
知らない人はいないと思うけど、念のため、聖ヨゼフはイエス・キリストの人間界での父親です。
イタリアには、修道会や信心会など多くの組織がありますが、私は聖ヨゼフ信心会なんて、聞いたことありませんでした。





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当時の同信会のメンバーが着ていた衣服が展示されていました。
こういう頭巾があると、なんだか、クー・クラックス・クランを思い出して、異様な感じを受けるのですが、実際には単なる会服なんですね・・





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さて、聖ヨゼフ信心会の礼拝堂を出て、同じ道を突き当りまで進むと、そこには、オラトリオ・ディ・サン・ジョヴァンニ・バッティスタ礼拝堂があります。
洗礼者聖ヨハネ礼拝堂という意味です。
こちらのジョヴァンニ(ヨハネ)は、バッティスタがついていることからお分かりかと思いますが、キリストの使徒の一人、福音書家の聖ヨハネではなく(この場合はエヴァンジェリスタがつきます)、キリストのハトコで、キリストに洗礼を授けた洗礼者聖ヨハネのほうです。
この教会には、国際ゴシックの名作が残っているのです。

国際ゴシックって?
ゴシック美術のうち、14世紀後半から15世紀前半にかけてフランスと北イタリアで発展した美術様式です。
この様式が西ヨーロッパ全域に広がっていったことから、19世紀末にフランスの美術史家が「国際ゴシック」と名づけたのでした。

国際ゴシックは宗教的題材の深い表現が特徴で、従来のゴシック美術に比べて色彩がより鮮やかになっています。
また、従来のゴシック様式では全体的に縦に伸ばされたような表現形式がされるのですが、国際ゴシック様式では静的で厳粛な形式で表現される人物像、画面細部の詳細がつぶさに描写されることも特徴となっています。
いっぽうで、国際ゴシックは、この時代の不安を反映しているとも言われます。
イタリアで有名な国際ゴシックの画家は、シモーネ・マルティーニ、ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ、ピサネロなどですが、こちらの教会にあるフレスコ画もそれはそれは素晴らしいものでした♪





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こちらが、国際ゴシック様式の芸術家、ロレンツォ&ヤコポ・サリンベニ兄弟の描いた「キリストの磔刑」と「洗礼者聖ヨハネの生涯」のフレスコ画です。
1416年に描かれたものが、現代まで損なわれることなく、このように残っていることが驚異です。
ちなみに、壁の左側のフレスコ画はほとんどが損なわれていました・・
壁のフレスコ画を1枚ずつ追いながらストーリーを読むのは面白いです。
実に見事な作品でした♪




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本当は、パネル画をご紹介しながらストーリーもご紹介したいところですが、時間もありませんし、そこまで興味をお持ちの方もいらっしゃらないと思いますので、省略します。
洗礼者聖ヨハネの母親は、聖母マリアのいとこである聖エリザベト。
大天使ガブリエルが神のお告げを伝えてヨハネを懐妊します。
かなりの高齢だったため、奇跡が起こったのでした。
どこかで聞いたような話・・(笑)





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この礼拝堂はドゥカーレ宮殿のすぐ裏手にあるので、礼拝堂からはこんな眺めも楽しめました♪

ウルビーノは、また行きたいな~と思わせるところではありますが、難儀な道のりであるため、これが最後になるのかもしれません。
でも、私の心には、小国でありながらルネッサンスの華麗な文化を咲き誇らせ、天才ラファエッロを生んだ美しいウルビーノ公国の思い出がいつまでも生き続けることでしょう♪

両オラトリオは、Via Barocciにあります。
開館時間は、9時から13時まで。

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by mayumi-roma | 2018-04-11 07:05 | ウルビーノ

上野真弓、ローマ在住の翻訳家&文筆家&ツーリズム別府大使。日々の暮らしや芸術探訪、旅の記録。最新刊は訳書『ミケランジェロの焔』、著書に『教養としてのローマ史入門』、訳書『ラファエッロの秘密』など。お仕事のご依頼はoffice.uenomayumi@gmail.comへ。


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