ピカソ展で考えたこと♪
2018年 01月 18日
本当にすぐ裏にあるのです~
広場をはさんだ向かい側に展覧会専門美術館、スクデリエ・デル・クィリナーレがあります。
スクデリエとは厩舎のことで、かつてここはクィリナーレ宮殿の厩舎だったところなのです。
過去には、ここで、レオナルド・ダ・ヴィンチの「白貂を抱く貴婦人」展やカラヴァッジョ展など、素晴らしい展覧会も開催されましたが、最近は今一つ・・
企画倒れで、もう少しやり方があるのでは?と疑問符のつくような展覧会ばかりで、行くたびにガッカリしてしまいます。
今回のピカソ展も、ピカソが初めてイタリアを訪れた頃にスポットをあてて、1915年から25年までの新古典主義の時代に絞ったこと自体は、なかなか面白いと思うのですが・・
中途半端ですね。
ピカソは、一般的にキュビズムの創始者として有名ですが、その作風がめまぐるしく変化した画家でもあります。
また、気が遠くなるほど多くの作品(油絵と素描だけでも1万3500点ほど)を残したため、展覧会を行なう場合は、何かテーマを決めなければ到底無理だということは分かります。
ですが、この展覧会は、もやもや感が残ります。
物足りなさとでも言いましょうか!?
この展覧会とは無縁ですが、キュビスムについて簡単に説明しましょう。
対象物を具体的に描いた具象絵画は一つの視点で描かれます。
具象絵画と対比される概念は抽象絵画ですが、キュビスムはあくまでも具象絵画です。
一つの視点で描かずに、様々な角度から見た対象物の形を一つの画面に収めたものです。
つまり、ルネッサンス以来の一点透視図法を否定するわけです。
好き嫌いはあるとは思いますが、この手法はある種の革命に匹敵するもの、大げさに言えば、人間のものの見方を変えるほどの威力があったと、個人的には思っています。
作風がころころと変わっていったピカソ。
わたくしは、ピカソの若い頃の「青の時代」の絵が好きなのですが、キュビズムも面白いと思っています。
また、1937年以降の「ゲルニカの時代」の魂を揺さぶるような「ゲルニカ」や「泣く女」が好きです。
今回のピカソ展は新古典主義の時代の作品展で、同時代に劇場舞台のセットや衣装もデザインしたことから、それらに関する展示品もたくさんありました。
最大の見ものは、「パラードの幕」ですが、これを別の美術館(バルベリーニ宮殿国立古典絵画館)に展示したことが、そもそもの大間違いだったと思います。
遠くはないけれど、わざわざ別料金を出して観に行く人は少ないでしょうし、展覧会自体にこの絵が欠けていることは致命的です。
たとえ、巨大過ぎて飾れる場所がなかったというのが理由だとしても!
これが、もし同じ場所に展示されてあったなら、もやもや感は感じなかったかもしれません。
わたくしは、秋にたまたまバルベリーニ国立古典絵画館に行った時に観ましたが、これは実に素晴らしかったです♪
その時の記事はこちら~(←ここをクリック)
さて、それでは、今回のピカソ展の作品を少しご紹介しましょう♪
オルガは、1916年にピカソが舞台美術を担当したロシア・バレエ団(前述のジャン・コクトー作「パラード」)のバレリーナで、1918年に結婚しました。
ピカソとオルガの間に生まれた息子ポール(パウロ)の肖像です。
ピカソの描いた肖像画を観ると、彼の力量が分かるような気がしませんか!?
東京のブリジストン美術館からの貸し出し~
かつては、ピアニストのホロヴィッツが所有していました。
1923年の「腕を組んで座るサルタンバンク」♪
サルタンバンクとは曲芸師のことです。
憂いに満ちた表情・・
組んだ腕や脚からも、ふと訪れる憂愁の一瞬を感じさせます。
非常に深い絵です。
手と足が身体の他の部分とまったく釣り合いが取れないほど大きくデフォルメしています。
これは、初めてイタリアを訪れたピカソが、ローマのカピトリーニ美術館で見たであろう彫刻作品の影響を受けて描いたとされています。
その作品はこちら~
わたくしの大好きな彫刻です♪
どうやら、ピカソは、このブロンズ像のポーズを真似たようです。
あ~、やっぱり古典はすべての基本ですね♪
この時代にピカソがよく使ったモチーフを集めたこの絵も、コラージュみたいで面白いなぁ・・と思いました。
課外授業の一環でしょうね。
息子が小学校の頃を思い出します~
絵の上手だった息子は、課外授業でゴッホ展に行って、「ゴッホのような画家になる!」と言い出したのですから~
画家への道は、却下しましたけどね(苦笑)。
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by mayumi-roma
| 2018-01-18 05:26
| ローマ&その他の美術散歩