聖ヨハネ准司教座聖堂@ヴァレッタ、マルタ島♪

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マルタ島ヴァレッタの聖ヨハネ准司教座聖堂♪

ようやく写真の整理をしたので、遅くなりましたが、カラヴァッジョの大傑作「聖ヨハネの斬首」のあるこの教会について書いてみたいと思います。
こちらの見学は、オーディオ・ガイド付きで10ユーロの入場料です。
オーディイオ・ガイドにはもちろん日本語もあります。







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聖ヨハネ准司教座聖堂はバロック美術の宝庫です。
1573年から77年にかけてよりマルタ騎士団によって建設されました。
マルタ騎士団は、当時は聖ヨハネ騎士団と呼ばれる騎士修道会で、修道会付属の聖堂として建設されました。
聞き慣れない准司教座という名称がついているのは何故なのでしょうか?

カトリック教会は、各都市に司教を置いていますが(重要な都市には大司教)、マルタには、かつて首都だったイムディナに大司教座があります。
イムディナの聖パウロ大聖堂です(イムディナの過去記事はこちら~)。
しかし、時の流れと共に、ヴァレッタの聖堂が有名になってしまったので、19世紀初頭、イムディナの大司教は、マルタ大司教座とは別の司教座としての利用を許可したのでした。
そのため、准司教座という名称がついているのです。

ちなみに、ローマの司教(イタリア語でヴェスコヴォ)が誰だか、皆さま、ご存じでしょうか?
イタリア人には基本中の基本の知識ですが、意外と分からないイタリア人もいるのですよ(笑)。
ローマの司教は、ローマ法王なのです。
Vescovo di Roma と言えば、ローマ法王をさすのです。
そして、ローマの司教座は、サン・ピエトロ大聖堂ではなくて、サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ聖堂なのです。

話がそれてしまいましたが、ヴァレッタの聖ヨハネ准司教座聖堂の内部の壁画のほとんどは、マッティア・プレーティというマルタ騎士団団員のイタリア人画家が描いたものです。
洗礼者聖ヨハネの物語が天井いっぱいに描かれ、バロックらしい絢爛豪華な雰囲気と相まって、それはそれは見事なものです。





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教会の下には歴代のマルタ騎士団総長たちのお墓がありますが、現在修復中とのことで、閉まっていました。
残念!!





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イタリア人騎士団の礼拝堂♪

教会は大きな聖堂だけあって三廊式になっていて、両側の側廊には、8原語の騎士団の礼拝堂があります。
どれも素晴らしいものですが、ここでは2つだけ紹介します。
そのうちの1つが、こちらのイタリアです。
イタリア人騎士の守護聖人、アレクサンドリアの聖カテリーナに捧げられています。
祭壇画は、天井画と同じ、マッティア・プレーティの描いた「聖カテリーナの神秘的婚姻」♪

そして、こちらの礼拝堂に、カラヴァッジョの「聖ヒエロニムス」が飾られていたのです。






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お隣の礼拝堂に続くアーチの上が、絵のあった場所です。







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聖ヒエロニムス By カラヴァッジョ♪

聖書のラテン語訳、ウルガータ訳の翻訳者、四大ラテン教父の一人です。
この絵は、現在では、この教会付属のオラトリオに「洗礼者聖ヨハネの斬首」と一緒に飾られています。
ヨハネの絵のインパクトがあまりにも強いため、少しかすんで見えますが、こちらの絵も本当に素晴らしかったですよ~





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こちらは、この教会で最も美しいと言われているアラゴン(現在のスペインのアラゴン州に存在した王国)騎士団の礼拝堂です。






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ドラゴンを退治する白馬に乗った聖ゲオルギオスが彼らの守護聖人なので、祭壇には、同じくマッティア・プレーティの「聖ゲオルギウス」の絵があります♪







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お隣の礼拝堂に続きます~





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この教会の主祭壇です。





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祭壇の彫刻は、18世紀初頭、シエナの彫刻家、ジュゼッペ・マッツォーリ作の「キリストの洗礼」です。
キリスト教徒でない方のために少し説明しますと、キリストを洗礼したのが、キリストのはとこ(母親同士がいとこです)であるヨハネなのです。
キリストの12人の使徒の1人、福音書家の聖ヨハネとは別人物ですので、間違えないように、洗礼者聖ヨハネと呼ばれるのです。
斬首されたのも、洗礼者聖ヨハネです。





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天井に描かれた洗礼者聖ヨハネの物語の中の斬首の場面です。






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ズームにしてみました。

聖ヨハネの斬首というと、サロメの物語を思い出す方も多いでしょう。
でも、多くの方は、この物語を誤解しています。

19世紀末にオスカー・ワイルドが書いた戯曲があまりにも有名になって、そちらを本当のお話だと思っている方が多いと思います。
ワイルドは、その戯曲の中で、ヘロデ王の義娘をサロメと名付け、ヨハネに恋をしていたけど、その恋がかなわなかったため、王の前で踊った素晴らしいダンスの褒美としてヨハネの首を望んだと脚色しています。

実際には、福音書では、サロメという名も出てきませんし(ヘロディアの娘とだけ記載)、ヘロディア(サロメの母)が義兄弟のヘロデ王と結婚したことを不道徳だとヨハネに非難されたことを恨みに思っていて、母親が娘に「ダンスの褒美には、ヨハネの首を所望しなさい」と耳打ちして、そそのかしたのでした。

まぁ、ワイルドの戯曲のほうが、恐ろしいけど絵になるお話ですけどね・・・





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正面玄関の裏~♪
「マルタ騎士団の栄光」がマッティア・プレーティによって描かれています。







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そして、こちらが、付属のオラトリオ(祈祷所、礼拝堂という意味)の入り口です。
この中に、先ほどの「聖ヒエロニムス」と「洗礼者聖ヨハネの斬首」があります。
写真撮影は禁止でした。

「洗礼者聖ヨハネの斬首」は、カラヴァッジョの大傑作です。
画集や画像、あるいは、貸出先の展覧会で見ても、この素晴らしさはまったく分からないと思います。
なぜなら、わたくし自身が、そうだったからです。
これまでなら、カラヴァッジョの傑作を問われたら、別の作品名を出していたでしょう。

しかし、ここで見たこの絵は、画集や画像で受ける印象とはまったく違います。
斬首のテーマは好きではないわたくしですら、感動に打ち震えました。
まさに処刑の場に居合わせる感覚を覚えるのですが、残酷性より聖性を感じさせるのです。
この絵をここで見た人にしか分からないと思います。
皆さまにも、この絵を見るためにマルタ島へ行くことを是非ともお勧めします。
この場所で見ることに意味があるのです。







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「洗礼者聖ヨハネの斬首」 By カラヴァッジョ(著作権のない画像をお借りしました)

ここにある画像からは決して伝わることのない感動を求めて、皆さまもマルタ島に行きましょう♪
わたくしも、もちろん、また会いに行くつもりです。

ふう~っ、また長くなっちゃった。
明日は手抜きですからね(笑)。

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by mayumi-roma | 2017-09-10 06:14 | マルタ島

ローマ在住33年♪永遠の都からお伝えする私(上野真弓)の日々の暮らしや考えること。そして大好きな美術について・・


by mayumi-roma