聖パオロが囚われていた地下聖堂♪
2017年 07月 20日
ポポロ広場とヴェネツィア広場を結ぶ大通りです。
この道沿いには多くの教会がありますが、強いて言えば、サン・マルチェッロ教会とサンタンブロージョ・エ・カルロ教会が見るべきもので、その他は大したことないと思っていました・・・
ですが、私は偶然、とんでもなく興味深い教会を発見したのです。
ローマに暮らして33年目になるというのに、どうしてこれまで気がつかなかったのかが不思議です。
もしかしたら、修復してようやく公開されたばかりなのかもしれません。
この写真のちょうど右手、ドーリア・パンフィーリ美術館の近くです。
サンタ・マリア・イン・ヴィア・ラータ教会♪
ヴィア・ラータとはラータ通りという意味で、コルソ通りの古い名称です。
ファサード(正面)は17世紀のピエトロ・ダ・コルトーナによるもの。
しかし、この教会は実に古いものなのです。
主祭壇には、福音書家の聖ルカが描いたと言われる聖母マリアのイコンが飾られてあって、他には、ラファエッロの友人だった詩人アントニオ・テバルデオ(ヴァチカン宮殿のラファエッロの間の「パルナッソス山」の中にモデルとして描かれています)のお墓や、ナポレオン王家の一人だった貴公子のお墓がある程度です。
それにしても、この教会のシスターはとても感じが悪かった!
聖職者とて人間ですから、神に仕える人のすべてが慈愛に満ちているとは限らないのです。
誰が描いたのかは分かりません。
入り口は、教会内部ではなく、玄関の右端にあります。
入場料、わずか2ユーロ。
やっぱり、発掘されていないだけで、こういうところがローマにはたくさんあるのでしょうね。
古代ローマの遺跡が祈りの場所に代わり、それが中世、ルネッサンス、バロック時代へと続いていくのです。
祭壇のレリーフは、コルトーナ工房のコジモ・ファンチェッリ作です。
この地下聖堂と関わりのある聖パオロと聖ペテロと福音書家の聖ルカが表わされています。
石積みの壁やコスマティー装飾の祭壇がいかにも古代ローマを感じさせます。
この井戸は、数年前に調査されましたが、かなり深いもので、実に興味深いものがたくさん出てきました。
さまざまな古いゴミの中から、鎖も出てきたのです。
この井戸の水で、聖パオロがキリスト教への入信者に洗礼をしていたと伝えられています。
地下聖堂は、フレスコ画で飾られていましたが、それらはすべて綺麗にはがされて、現在は、クリプタ・バルビ博物館に展示されています。
ここには、その代わりの複製画が置かれているだけです。
地下聖堂はひんやりしていますが、ものすごく湿気が多いですから、フレスコ画には大敵ですものね。
しかし、ずっと繋がれていたわけではなく、看視人に見張られながら2年あまり暮らしていたそうで、その間に、この場所をキリスト教の祈りの場として、先ほどの井戸の水で洗礼をしてわけです。
そして、ここには福音書家の聖ルカや聖ペテロも滞在したのでした。
大理石にラテン語でそう刻まれているのです。
ここが何で・・ということは正確には分からないけど、見学するだけで興味深いです。
まさに古代ローマの遺跡そのものの一部なのですが、最初は、ここが、(キリスト教徒の初期の祈りの場になる前)セプタ・ユリアだったのではないかと考えられていたのです。
しかし、結果的に、セプタ・ユリアは、パンテオンのそばにあったことが分かり、この場所には、古代ローマの集合住宅や市場や居酒屋などがあったと考えられています。
コルソ通りにこんな場所があったなんてビックリでした♪
皆さまもショッピングのついでに是非覗いてみてくださいね。
入場料2ユーロですし。
ちなみに、セプタ・ユリアについては、過去記事に書いています。
ぶらりパンテオン♪←こちら~♪
Basilica di Santa Maria in Via Lata
聖パオロの祈りの場、地下聖堂
月曜日お休み
火曜日~日曜日16時から19時まで(冬場は15時から18時まで)
土曜日のみ午前10時から13時まで開館。
Via del Corso 306
先日の記事「チェーザレ・ボルジアの母親の墓碑銘」に、ラテン語の墓碑銘の大まかな日本語訳を私なりの解釈で追記しました。
あくまでも大まかなもので、正しいとも言いきれませんので、参考としてお読みになりたい方はどうぞ。
チェーザレ・ボルジアの母親の墓碑銘←こちらです。
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by mayumi-roma
| 2017-07-20 22:18
| ローマの美術・歴史散歩