サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会♪


サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会♪_c0206352_04393968.jpg
この風景が大好きなわたくしです。
パンテオンの南隣にあるローマ唯一のゴシック式の教会「サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会」の前から、ベルニーニの可愛らしい象さん越しに、建物の間にのぞくパンテオンが見える・・・

サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会は、古代ローマのミネルヴァ神殿の上に建てられたため、「ソプラ・ミネルヴァ」、つまり「ミネルヴァの上」という名前がついています。

教会の前の象さんは、バロックの巨匠・ベルニーニの工房の作品です。
その上には、この教会の中庭で見つかったという、ローマで一番短いオベリスクが立っています。





サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会♪_c0206352_07335244.jpg
サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会♪_c0206352_07553195.jpg
教会の外壁には、写真のようなものがたくさんあります。
これは、ローマが大洪水に見舞われた時に、この教会のどの位置まで水位が来たかを記しているのです。
テヴェレ川は古代ローマ時代から常に氾濫していて、その度にローマの街は水に浸かっていたのでした。
堤防が出来たのは19世紀のイタリア統一後ですから、本当に長い間、ローマは頻繁に大洪水に見舞われていたのでした。






サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会♪_c0206352_04404664.jpg
実に荘厳な雰囲気です。
13世紀のゴシック様式にバロック様式が加わって現在の姿に至りますが、教会内部にある数々の有名な芸術作品はルネサンス期のものです。

奥の主祭壇の下には、シエナの聖女、聖カテリーナのお墓があります。
ベルニーニ作の大理石の記念碑も飾られています。






サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会♪_c0206352_04413471.jpg
ミケランジェロの「十字架を運ぶキリスト」(1521年)です♪
この作品は、「あがないの主、キリスト」とも呼ばれています。
私には、それほどすごい作品とは思えないのですが、ミケランジェロはミケランジェロですからね♪





サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会♪_c0206352_04421266.jpg
祭壇に向かって左側には、フラ・アンジェリコのお墓もあります。
フラ・アンジェリコのフラは修道士という意味で、その通り、修道士であり、また、ルネサンス初期の偉大な画家でもありました。
ベアト・アンジェリコとも呼ばれますが、ベアトは、聖人につぐ福者を意味します。

この教会は、カトリック・ドミニコ会の本部だったため、同じドメニコ会に所属するフラ・アンジェリコは、晩年、この教会に隣接する修道院で暮らし、そこで亡くなったのでした。
それゆえ、ここにお墓があるのです。





サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会♪_c0206352_04423736.jpg
フラ・アンジェリコの聖母子画♪
と言われています。






サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会♪_c0206352_07383178.jpg
そして、教会内、15世紀末のカラファ礼拝堂には、フィリッピーノ・リッピ(フィリッポ・リッピの息子)の描いたフレスコ画もあります。
「受胎告知」と「聖母の被昇天」です。

ちなみに、フィレンツェのウフィッツィ美術館にある美しい絵、フィリッポ・リッピの「聖母子」の聖母のモデルとなった女性は、フィリッピーノ・リッピの母親です。
二人とも聖職者という禁断の恋だったのです。
その後、俗人に戻ったようではありますが・・

息子のフィリッピーノは、父親の弟子だったボッティチェリに師事して、父親と同じ画家の道に進みました。
画風はボッティチェリ風ですね♪








サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会♪_c0206352_07355851.jpg
もう一つ、この教会には私の大好きな絵があります。
15世紀、ルネッサンス初期の画家、アントニアッツォ・ロマーノの「受胎告知」です。
描かれた人物像には人間的な表情やしぐさもがあり、明らかにルネッサンス様式なのですが、精霊の象徴である鳩が飛んでいたり、左上に全能の神がのぞいていたりで、中世の様式を抜けきっていないのです。

確かな腕のあった画家だと思いますが、思い切って新しいものに飛びつく勇気がなかった・・・という感じです。
そこがまた、この絵の可愛いところでもあるのですが、やはり世の中で巨匠と呼ばれる芸術家たちは皆、怖れることなく自分の信じる革新的な道を進んでいるので、そこが天才との分かれ道なのでしょうね。







サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会♪_c0206352_04431013.jpg
美しいブルーの教会にバラ窓からさす光♪
神の恩寵を受けたような気分になります~
こういう瞬間にここに立ったことに感謝です。
訪れる季節、訪れる時間によって、教会も芸術品も見え方が変わります。
だからこそ、何度でも同じ場所を訪れることには意味があるのです。

2つのブログランキングに参加しています。
クリックして、応援してね♪

サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会♪_c0206352_01321892.jpg

私の翻訳本です♪
「レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密 天才の挫折と
輝き」(河出書房新社)もよろしく♪

これまでにないタイプの画期的な本です。
レオナルドの人生とその作品のすべてが物語風に分かりやすく綴られています。

レオナルドを愛する方、興味のある方、是非どうぞ♪
レオナルドの作品を鑑賞する際により深い理解を得ることができます。

全国の書店でお求め頂けます。

by mayumi-roma | 2017-04-25 03:39 | ローマの美術散歩

上野真弓、ローマ在住の翻訳家&文筆家&ツーリズム別府大使。日々の暮らしや芸術探訪、旅の記録。最新刊は訳書『ミケランジェロの焔』、著書に『教養としてのローマ史入門』、訳書『ラファエッロの秘密』など。お仕事のご依頼はoffice.uenomayumi@gmail.comへ。


by mayumi-roma