カポディモンテ美術館@ナポリ♪
2017年 03月 19日
サン・カルロ歌劇場とガッレリア・ウンベルト1世のそばです。
ここから、カポディモンテ美術館行きのシャトルバスが出ていて、それを利用すれば往復のシャトルバス料金と美術館の入場料あわせて12ユーロというお得なプライスなのですが、バスに乗り遅れました・・・
一ときも時間は無駄にできないので、タクシーに乗りました。
何故かというと、シャトルバスは1時間に1本しかないからです。
タクシーは、カポディモンテ美術館まで一律11ユーロという料金が設定されていますが、乗ってすぐに、「この定額料金で行って下さい」と言わなければなりません。
ですが、恐るべきナポリのタクシー!
外国人の私をぼるつもりだったのでしょう。
「できない」と言われました。
しかし、タクシーの車内にも一律料金の一覧表があったので、「ここにも書いてあるじゃない。何故できないの?」と言うと、「それは、ナポリ中央駅から乗る人だけの料金だからダメ。メーターがついている大丈夫だよ」と・・
しかし、私の「イタリア語は分かるのよアピール」が効いたのでしょうか!?
メーター11ユーロきっかりで到着しました(笑)。
帰りはシャトルバスに乗ったのですが、片道5ユーロ!
高過ぎます!
美術館の入場料が8ユーロですから、私の場合は、全部で24ユーロもかかってしまって、高くつきました。
往復シャトルバスとチケットのセットを買うと12ユーロですから、倍ですね。
カポディモンテ美術館に行かれる方には、このセットを使うことをお勧めします。
いやはや、とんでもないお宝の宝庫です。
素晴らしいです♪
できれば何日も通いたいところです。
カラヴァッジョの「キリストのむち打ち」とパルミジャニーノの「アンテア」、もう、これだけ見れればいいというつもりで来ました。
事前に、この2点が何かの展覧会に貸し出し中ではないかと調べましたが、ティチアーノが3点、東京のヴェネツィア絵画展に貸し出し中、そしてアルテミージア・ジェンティレスキが3点、ローマの展覧会に貸し出し中なだけで、私の目的の絵画はここでした!
しかし、それでも・・・
この部屋にある絵画は、ティチアーノとラファエッロ・・・
いやはや、あり得ないですね~
東京にティチアーノを3点くらい貸したところで、屁でもない感じ。
カポディモンテ美術館は、ファルネーゼ・コレクションが中心ですから、その膨大な美術品の数々はため息ものばかりです・・
ティチアーノなんて山ほどありました。
ちなみに、ファルネーゼ・コレクションとは、ファルネーゼ家出身のローマ教皇パウルス3世がその枢機卿時代(俗名アレッサンドロ・ファルネーゼ)から収集した美術品の数々です。
ローマにも、現在フランス大使館となっているファルネーゼ宮殿(ファルネーゼ宮殿のカラッチの壁画はこちら)、また、カプラローラにも壮大なファルネーゼ宮殿がありますが(カプラローラのファルネーゼ宮殿の螺旋階段はこちら)、この人物は、カラカラの浴場跡から出土した美術品もすべて自分のコレクションにしています。
それが、子孫に受け継がれて、まわりまわって、ここへ。
この教皇の妹が、絶世の美女と言われたジュリア・ファルネーゼ。
ボルジア家出身のローマ教皇アレクサンデル6世(チェーザレ・ボルジアの父親)の愛人だった女性です(オルシ―ニ家に嫁いだ身でありながら)。
この関係性もあって、兄のアレッサンドロは枢機卿に抜擢され、出世したと言われています。
絵は、同じくティチアーノです。
カポディモンテ美術館に収蔵されている有名な作品といえば、こちらも~
これは、シシティーナ礼拝堂にミケランジェロが描いた「最後の審判」のオリジナル作品を忠実に模写した唯一のものです。
ご存じだと思いますが、ミケランジェロはこの祭壇画の人物像を全裸で描いていました。
それが反宗教改革の時代のローマでは反道徳的だという理由で受け入れられず、教皇庁は、ダニエラ・ダ・ヴォルテッラという画家に腰布(やイチジクの葉)で局部を覆うように加筆させたのです。
私たちがシスティーナ礼拝堂で見ている最後の審判は、ミケランジェロの描いたオリジナルではありません。
ですので、ミケランジェロの描いた本当の「最後の審判」がどのようなものだったかを知るためには、これを見るしかないのです。
その意味で大変貴重な作品です。
こちらは、「聖母子」の顔の部分をズームにしたところです。
あまりにも近代的な表情なので驚いてしまいました。
申し訳ありませんが~
ラファエッロやカラッチ、ティチアーノなど(その他たくさんの)巨匠たちの絵のほとんどを省略させて頂きます。
別の機会にご紹介できるとは思いますが、このままでは、いつまでたっても本題に到達できず、また、ブログ記事を書くためだけに何日かかるか分かりません。
正直、現在、私にはブログを書いている時間がないというのが実情なのですが、ついつい自分の首を絞めてしまう状況になってしまいます・・
これは、誰を描いたのか・・
記録がないのではっきりしないのですが、一般的には、16世紀初頭、ローマで有名だった高級娼婦アンテアを描いたものだと言われています。
当時のローマでは、ラファエッロとフォルナリーナの関係、パルミジャニーノとアンテアの関係が、大変有名だったのだそうです(悲しいことに画家は二人とも夭逝しています)。
しかしながら、ここに描かれた女性の服装が完全にフランス宮廷風の衣装で、髪型といい、宝石といい、肩からかけている貂の毛皮といい、完全に貴族階級の女性とも思えるため、真相は謎のままです。
この絵のどこがマニエリスムなのかと思われる方もいるかもしれませんが、よく見て下さい。
彼女の正面を見据えた目・・
怖いほどに絵を見る私たちをまっすぐ見つめる目は、ただならぬ雰囲気で、心をかき乱し、不安を誘うのです。
全身像であるべきなのに、膝の辺りまでしか描いていない点もマニエリスム的です。
そして何よりも、異常なまでに大きく描いた右腕(向かって左側)、かなりデフォルメされています。
けれども、この絵には、このマニエリスム的特徴よりも、彼女の持つ洗練と優美さが強く全面に出ていて、理想的な女性の美しさを称えるような作品ではなかったのかと思います。
それを思うと、パルミジャニーノが愛した高級娼婦だったという可能性も大ありですね。
カラヴァッジョが・・・
今回のナポリで、最も見たかった絵が、ついに迫りつつあります・・
非常に精神性の高い作品です。
私が心を揺さぶられた数少ない作品の一つです。
こんなに悲しい顔をしているキリストを見たのは初めてです。
ただし、ここで紹介した他の作品もそうですが、写真と実物はまったく違います。
カラヴァッジョの描いた絵は、実際には、もっと暗くて、何を描いてあるのか分からない部分があります。
だから、絵は実物を見ないとダメなんです。
さて、この絵を一人静かに鑑賞していたら、あり得ない奇跡が起こりました♪
何気なく横を見たら、どうも見覚えのある顔が・・
あり得ない!
・・・でも現実・・・
本当にどうしてこんなことが起こり得るのかと不思議ですが、なんと、最も仲良くしているお友だちの一人がご主人とお義母さまと、そこにいたのでした・・・
よりによって、その日にナポリ?
よりによって、その時間にカポディモンテ美術館?
あまりのことに、お互いに笑ってしましたが、どう考えても笑い事ではない不思議なご縁を感じました・・・
いくつものグループに分かれたナポリの小学生たち。
先生の解説を聞いていましたが、果たしてどれだけ分かっていたのか!?(笑)
子ども相手の先生の説明、なかなか面白かったです。
核心はしっかり伝えていましたし、カラヴァッジョの生涯にも触れていました。
カポディモンテ美術館
Museo di Capodimonte
Via Miano 2, Napoli
地下鉄1線「Piazza Cavour」(ピアッツァ・カブール駅)
地下鉄2線「Museo」(ムゼオ駅:国立考古学博物館のそば)
両駅とも同じ場所にありますが、ここからバスに乗ります。
国立考古学博物館のそばを通るバス、168,178、C63でカポディモンテ美術館に行けます。
地下鉄とバス、フニコラーレに乗り放題の1日券(4.5ユーロ)を買うと、いいかもしれません。
私の翻訳本です♪
「レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密 天才の挫折と
輝き」(河出書房新社)もよろしく♪
これまでにないタイプの画期的な本です。
レオナルドの人生とその作品のすべてが物語風に分かりやすく綴られています。
レオナルドを愛する方、興味のある方、是非どうぞ♪
レオナルドの作品を鑑賞する際により深い理解を得ることができます。
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by mayumi-roma
| 2017-03-19 06:02
| ナポリ、ポンペイ、カゼルタ、南イタリア♪