カラヴァッジョ、神の愛の小道へ♪


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Vicolo del Divino Amore(ヴィコロ・デル・ディヴィーノ・アモーレ)♪
直訳すれば「神の愛の小道」、ローマの、とある路地の名前です。
日本語にすると、あれ~な感じですが、イタリア語の響きは最高に美しいのです♪
崇高なイメージで光がさすような、そんな感じがします。
あくまでも、私的には、ですけどね♪
今日は、わざわざこの路地に行ってきました~(笑)






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なぜなら、この路地の22番地(写真中央の右手)は、とても有名な場所なのです。
と言っても、わざわざ行くような物好きは、私くらいなものでしょうが・・
写真のように、本当に狭い路地で落書きが多くて汚い~~
通っている人はほとんどいません。
昼間でもちょっと怖い・・。

Vicolo del Divino Amore(ヴィコロ・デル・ディヴィーノ・アモーレ)の22番地のアパートには、400年ほど前、カラヴァッジョが1年半ほど暮らしていたのでした。

通りの名に反して汚い路地裏ですが、ローマの歴史的地区は何百年も昔からまったく変わらず、今も同じように存在しているという事実に何とも言えない感慨を覚えます。
400年前にカラヴァッジョは実際にここを歩いていたのですから。







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ついでに、少し先にあるサンタゴスティーノ聖堂までカラヴァッジョの絵を見に行きました。
この界隈もカラヴァッジョのテリトリーだった場所です。







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夕方とはいえ、まだ外は明るいのに、聖堂の中は真っ暗です。
照明器具が照らしている左手のラファエッロのフレスコ画だけは光に浮かび上がっていますけど。







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カラヴァッジョの絵は、聖堂の左側廊の最初の礼拝堂の祭壇画です。
この写真だと、ちょうど奥に見えますが、暗いですね~
絵は闇の中に沈んでいます。







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あえて、自然の状態の写真をアップしますが、絵はぼんやり見える程度です。
でも、これが、当時の人の目に見えていたものなのです。
ロウソクを灯していたかもしれませんが、この教会は位置的に朝日も夕日もあまりさしこまないので、いつも暗いのです。






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コインを入れて照明をつけました♪
これが、カラヴァッジョの「ロレートの聖母」です。
これまでも何度もブログに登場しているおなじみの絵♪
でも、しばらくぶりだったかも・・・

それまでの宗教画とはまったく違う世界観ですね♪
当時の庶民たちの姿を写実的に描いていて、ここには理想化された美はありません。






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貧しい巡礼者の足の裏は真っ黒に汚れています。





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私が個人的にツボなのは、聖母が脚を交差させているところ♪
聖母らしからぬポーズですね。






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注目したいのは、聖母が黄色のベールを肩にかけているところ♪
これには非常に大きな意味があるのですが、内緒で~~す♪






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おまけの画像~
この聖堂にあるもう一つの傑作、ラファエッロの「預言者イザイヤ」です♪
私の好きな絵の一つです。
左側の天使がずいぶん傷んできましたね・・・(泣)

本日の写真は、一眼レフではなく、コンデジで撮ったので、画像がいつもより粗くなりました。

この聖堂の近くにあるサン・ルイジ・デイ・フランチェージ聖堂には、カラヴァッジョのマタイ伝3部作があって、それを見学する団体さんでいつもいっぱいですが、こちらのサンタゴスティーノ聖堂には、同じくらいに傑作とされるカラヴァッジョの「ロレートの聖母」とラファエッロの「預言者イザイヤ」があるのに、訪れる人もなくひっそりとしています。
だから、私は、こちらのほうが好きなのです♪
人々のざわめきや写真撮影の列に邪魔されることなく、静かにゆっくりと好きなだけ絵をみることができますから。


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by mayumi-roma | 2016-11-18 06:48 | ローマの美術・歴史散歩

上野真弓、ローマ在住の翻訳家&文筆家&ツーリズム別府大使。日々の暮らしや芸術探訪、旅の記録。最新刊は訳書『ミケランジェロの焔』、著書に『教養としてのローマ史入門』、訳書『ラファエッロの秘密』など。お仕事のご依頼はoffice.uenomayumi@gmail.comへ。


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