聖十字架物語の奇跡♪

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オラトリオ・デル・クローチフィッソ聖堂♪

トレヴィの泉の近くにひっそりと佇む小さな聖堂です。
私のお気に入りで、これまでにも何度となくブログで紹介してきましたが、本日もまた♪
何故って!?
お礼を言わなきゃいけないかもしれない・・という出来事が過去にあったからです。

ローマはあまりにも見るべき所が多くて、なかなかこのような小さな聖堂にまで立ち寄る人は少ないと思いますが、内部のサイクル画が実に素晴らしいのです♪
この聖堂は、16世紀、ルネッサンスのあとに続くバロック時代にジャコモ・デラ・ポルタによって設計されました。
クロ―チフィッソ(十字架上のキリストという意味)という名前から分かるように、ここには十字架の奇跡が関係しています。






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           こちらは、サン・マルチェッロ聖堂♪

もともと、近くのコルソ通りにあるサン・マルチェッロ聖堂に地区の信者たちの集会所がありました。
ここが16世紀初頭の大火事で焼け落ちてしまったのです。
すべてを燃え尽くした廃墟には、まるで奇跡のように、十字架上のキリスト像だけが残っていました。
それを見た時の人々の感動の波は凄まじかったそうです。
十字架は、再建されたサン・マルチェッロ聖堂に収められていますが、これはまた後日紹介します。





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オフェルタ(寄付)入れる場所は、こちらのマリア像の前のろうそくの前にしかなかったので、小銭を入れてろうそくに火を灯しました(電動式)♪
今日は少しだけ人がいました。






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オラトリオ・デル・クロ―チフィッソ聖堂の内部♪

こちらは2014年の秋、今から約2年前に来た時に撮った写真です。

シスターがぽつんと一人で本を読んでいました。聖書でしょうか!?
他には誰もいなくて、私はこの素晴らしい聖堂の壁画に見入って、静かにかなり長い時間、ここにいたのですが、彼女が「熱心ね。ここがよほど好きなのね・・」と、私に話しかけました。

少しお喋りをしたのですが、そこを去る時に、「これから夕べのミサがあるから、ミサの時にあなたのことを神様に伝えておきますからね」と2度も言われました。
私はカトリックの信者ではありませんが、この時のシスターの言葉は私の脳裏に深く刻まれ、何故かその時に、「もしかしたら、どういう形かは分からないけれど、神様のご加護があるかもしれない」と漠然と思ったものでした。

何かが起こった時に、こういうことを思い出して、自分の都合の良い解釈に繋げることはよくあることです。
けれども、あえて言います。
この時のシスターの祈りが私を新たな道へ導いたのかもしれないと・・・
この出来事は、私がレオナルドの本に出会う少し前のことで、翻訳をしようなんて夢にも考えていなかった時のことです。

こじつけかもしれませんが、なんとなく、大好きなこの聖堂が私に新たな道すじを用意してくれたのではないかと思うのです。
ですから、あっという間に様々なことが起こって翻訳本が出版された今、きちんとここを訪れたかったのです。






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祭壇に飾られている十字架は、奇跡の十字架のコピーです。
この聖堂は、サン・マルチェッロ聖堂と一緒に焼け落ちた集会所(オラトリオ)の代わりに建てられたものなので、コピーではありますが、奇跡の十字架を祀ってあるのです。
右手の絵は、誰の手によるものは分かりませんが、マグダラのマリアです。
香油の壺が描いてあることから一目瞭然です。
聖人には、その人を象徴する持ち物が必ず一緒に描かれています。
香油の壺は、キリストに出会って悔悛する前は娼婦をしていたと言われるマグダラのマリアを象徴する持ち物なのです。
ちなみに、私は数多く存在する聖女の中で、マグダラのマリアが一番好きです♪







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それでは、本日は、壁面を飾るマニエリスム(バロック後期)の画家たちによる素晴らしい「聖十字架物語」のサイクル画の説明をしたいと思います。
これを初めて見た時の私の感動は、「こんなにも美しい聖堂があったのか・・」というものでした。

本来の物語は、キリストが磔刑に処せられた十字架の木が主題で、13世紀のジェノヴァの大司教ヤコボ・ダ・ヴァラジネによって集大成された「黄金伝説」の中で語られています。
それは、旧約聖書のエデンの園から始まって7世紀の東ローマ帝国ヘラクリウスの時代まで続く壮大な物語ですが、ここで描かれているのは、ミケランジェロの愛した美青年トンマーゾ・デル・カヴァリエリが起草したものだと言われています。
ルネッサンスの芸術家には男色家が多いですね。







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キリスト教を公認したローマ帝国の皇帝コンスタンティヌスの母、彼女は熱心なキリスト教徒でしたが、その聖エレナがエルサレムに巡礼してキリストが磔(はりつけ)にされた聖十字架を見つけようとします(中央、ジョヴァンニ・デ・ヴェッキ作)。
メインの絵の横にある描かれているのは預言者や巫女です。








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十字架は、キリストが処刑されたゴルゴダの丘で発見されますが、キリストと一緒に処刑された罪人の分も含めて3つありました(ジョヴァンニ・デ・ヴェッキ作)。








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3本の十字架のどれがキリストが磔(はりつけ)になったものなのかが分からなかったため、ちょうど通りかかった葬列の上に十字架をかざすと、最後の十字架で死者がよみがえり、それが真の十字架であることが分かりました(中央、ニッコロ・チルチニャーニ、別名ポマランチョ)。






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反対側の壁に行きます。
それから3世紀ほどの歳月が流れた紀元614年、ササン朝のペルシャ王ホスロー2世がエルサレムを攻め聖十字架は異教徒の手に奪われてしまいました。
それを奪還するために紀元628年、東ローマ帝国の皇帝ヘラクリウスが大軍を率いて進撃します。
この場面は、ペルシャ王と皇帝の一騎打ちの様子です(ニッコロ・チルチャーニ、別名ポマランチョ作)。







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皇帝ヘラクリウスが、奪還した聖十字架をエルサレムに返還するため、華美な衣装をまとった凱旋将軍として華々しく城門に近づくと、城門の石が崩れ、天使が現われます。
そして、かつてイエスがこの門を処刑へと続く受難として通った時のことを思い出して、裸足になりなさいと言うのでした(ニッコロ・チルチチャーニ、別名ポマランチョ作)。







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質素な姿をして裸足でエルサレムに聖十字架を運ぶ皇帝ヘラクリウス(チェーザレ・ネッビ作)。


イタリアの芸術作品は、ギリシャ神話やキリスト教の知識があると、よりいっそう楽しむことができます。
この聖十字架物語は、さまざまな場所に描かれています。
フィレンツェのサンタ・クローチェ聖堂(アニョロ・ガッディ)やアレッツォのサン・フランチェスコ聖堂(ピエロ・デラ・フランチェスカ)に描かれたサイクル画を鑑賞する際にも、このストーリーを覚えておくといいかもしれません。

Oratorio del Crocifisso
Piazza dell'Oratorio 78
6:00~12:00
16:30~19:00

翻訳本の宣伝は続きます。
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7月22日に、私が翻訳した「レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密 天才の挫折と輝き」(河出書房新社)が発売となりました。
これまでにないタイプの画期的な美術エッセーです。
知識がなくても読めます。
けれども、美術愛好家にも読みごたえのあるものとなっています。
孤高の天才ではなく、人間レオナルドの真の姿が描かれています。

全国の書店でお求め頂けますが、アマゾンや楽天からも購入することが出来ます。
どうぞよろしくお願い致します♪
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by mayumi-roma | 2016-09-21 02:30 | ローマの美術散歩

ローマ在住32年♪永遠の都からお伝えする私(上野真弓)の日々の暮らしや考えること。そして大好きな美術について・・
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