誰が聖マタイなの!?

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サン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会♪
先週、ナヴォーナ広場のお友だちのおウチに遊びに行った帰り道に寄ってみました。
もちろん、カラヴァッジョに会いに行ったのです。










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「コンタレッリ礼拝堂」♪
ここが、この教会の一番の目玉♪
なんといっても、カラヴァッジョの作品が3つも飾られているのですから♪
もう、いつも大勢の人垣で、見るのも一苦労です。
でも、団体客が多いので、少し待っていれば大丈夫。

カラヴァッジョにこの祭壇画を依頼したのはフランス人の枢機卿、マテオ・コンタレッリ(フランス語ではマテュー・クワントレル)。
自分の名前でもある聖マテオ(聖マタイ)の人生を題材にした絵画を描くように注文したのです。
公開された作品は大評判となって、一目見ようとローマ市民が教会に殺到したそうです。










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「聖マタイの召命」(1600年)♪

私は、これがカラヴァッジョの最高傑作だと思っています。
光と影の大きなコントラストが素晴らしく画期的で、差し込む光に照らし出された人物が立体的に浮かびあがり、よりドラマチックな場面となっています。

この作品の主題は、収税所で働いていたマタイのもとに、イエス・キリストが聖ペテロと一緒に現れて声をかける。
そして、マタイがイエスの呼びかけに応じてついて行ったという、「マタイの召命」の逸話を描いたものです。

指をさすイエス・キリストの手は、ミケランジェロ作、システィーナ礼拝堂の天井画「天地創造」の中の「アダムの創造」から影響を受けたと言われています。

研究者の間では、この30年の間、どれが聖マタイなのか解釈が分かれています。
日本では、左端の、うつむいてお金を数えている若者だというのが、一般的です。
それは、おそらく、私の敬愛する神戸大学の宮下喜久朗先生の著作によるところが大きいと思われます。
絵の中で、マタイ(若者)はキリストに気づいてないようにも見えるが、次の瞬間、使命に目覚めて立ち上がり、あっけに取られた仲間を背に颯爽と立ち去る、そのクライマックス寸前の様子を描いていると解釈されています。

しかしながら、イタリアではそう考える研究者は少数派です。
その理由はいくつかあります。
一部を以下に記しますと・・

①この絵がここに飾られた400年以上前の当時から、この絵の中の聖マタイは自分を指さす老人だという解釈がされていて、それが疑われたことは一度もない。それは多くの文献にも記載されている。

②他の2枚の絵の中で描かれる聖マタイはひげを生やした老人の姿で描かれているのに、この絵だけ若者で描く必然性がない。むしろ、そんなことをしたら礼拝堂の祭壇画の連作の調和を壊してしまう。

③教会に来る(つまり絵を見る)当時のローマ市民の教養レベルは低く、そういう無知な大衆に絵を見て主題をすぐさま理解させるような単純明快な絵をカラヴァッジョは描かなければならなかった。実は若者が聖マタイだという凝った解釈の絵を描くはずがない。

④「聖マタイ=若者」派は、老人の指は自分を指しているのではなく、実は若者を指さしていると言うが、もし、若者を指すのならば、方角的に、差し込む光が老人の手の甲から指にかけて全ての部分を照らさなければならないはずだ。それなのに、指先には影ができている。それは、指先を自分に向けているため曲がっていて、光が当たらないからだ。











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ズームしてみました。
やはり老人の指は自分を指しています。
老人と言ってはかわいそうですね、ひげがあるだけでそんな老人ではないですから。
でも、ここでは分かりやすくするために老人という言葉を使っておきます。
常識的に考えれば、多くのイタリアの研究者が考えるように、ひげの老人が聖マタイと考えるのが妥当でしょう。
先日行ってきた講演会、私の大好きな美術史家ドラッツィオ氏も著作の中で、「聖マタイ=若者」論者をバッサリと斬っています。

しかし、絵は、見る人の心の中に入ってくるもの。
私もじっと佇んで絵を見ていましたが、誰が聖マテオであるかは別問題として、このうつむいた若者はどうしても気になってしまいます。
確かに今にも立ち上がりそう・・
分かっちゃいるけど、気になる~~!!
 
解釈は人それぞれでいいのではないでしょうか!?
もちろん、研究者はそういうわけにはいかないと思いますけど、普通に絵を見る人がどう感じようと自由なはず。
私は、芸術とはその人の心で感じることが一番大切だと思っています。

聖マタイの論争・・
私自身は、これまで、様々な説を読んで楽しんでいました。
今回、この絵と真っ白な心で対峙しようと思って見に行ったわけですが・・
分からなくなりました。
私の中の常識は老人を示し、魂の深い部分は若者を呼ぶのです。


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by mayumi-roma | 2015-10-24 07:51 | ローマの美術散歩

ローマ在住33年♪永遠の都からお伝えする私(上野真弓)の日々の暮らしや考えること。そして大好きな美術について・・


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