届いた~~♪

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ブログに時々コメントを下さる方が、何気なく書いた一言、「芸術新潮のローマ中世の美特集号・・・」というのを読んで、どうしても、この雑誌が読みたくなった私~~!!
アマゾンで検索したら~
ずいぶん昔のものだったんですね。
2007年8月号!
当然、アマゾンにも新潮社にも在庫はなく、アマゾンの出品者から中古品を買うしかなかったのですが・・・
アマゾンが海外発送してくれるのは、アマゾンに在庫がある新品商品のみ。
困りました~

で、東京のお友だちの住所を送付先にしてもらいました。
そうして、彼女に郵送してもらったわけです。
東京には息子もいますが、こんなこと、やってくれるわけがありません!
私は、年中世話を焼いているのに~(笑)。

持つべきものは、お友だち~
あづさちゃん、ありがとう~~♪
ローマ日本人学校の幼稚園時代からずっと仲良くしているお友だちです。
彼女が日本に戻ってからも、ずっと日本のドラマを録画して送ってくれたり、息子の学習ドリルを買って送ってくれたり、お世話になりっぱなし~~
もちろん、彼女の他にも、いつも私を助けてくれるお友だち、感謝しております~










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で、ついでに、塩野七生さんの「チェーザレ・ボルジア、あるいは優雅なる冷酷」も!
この本、ずいぶん昔に読んだっきりですが、私、持っていたはずなのです。
ところが、最近無性に読みたくなって、家中探したのに、見つからない~~
というわけで、こちらもアマゾンさんに!

いやぁ、改めて思いました。
塩野さんって凄いわ~
この本を書いたのって、31歳の時だったんですね~
歴史書ではありませんし、史実に基づきながらも塩野さんの想像が入った創作ですが、それでも、歴史の細部を検証した上で物語を作り出すというのは、並々ならぬ情熱がないと出来ないことですね。
正直、どれだけの数の古文書を読んだのだろう・・と思いました。

久しぶりに読んでみて思ったのですが、若い頃とは違った読み方をしている自分に気がつきました。
おそらく、それは、長年イタリアに暮らしているからこそなのでしょうが、イタリアの地理や歴史をひと通り知っていることにも関係があると思うのです。
「うん、うん」と、うなずきながら読むみたいな・・
イタリアの歴史に少しでも興味がないと読めない作品ですね。

きっと、この本は、塩野七生さんからチェーザレ・ボルジアへの、時を超えたラブレターだったのでしょうね。
相当な思い入れがあったはずです。
チェーザレの失敗や闇の部分を決して悪く書かない。
ネガティブな言葉を使わず、必ずポジティブな言葉に置き換えている。
チェーザレへの視線が、優しくて暖かい。

ヨーロッパでは、チェーザレ・ボルジアやボルジア家の評判はたいそう悪いのです。
それは、良くも悪くも話題に事欠かなかったボルジア家ですから、歴史家や文学者たちには格好の題材で、真実半分、偽り半分で、面白く脚色しているからでもあるのですが、そのせいで、一般的には「悪徳のボルジア家」というイメージだけが先行してしまった感じです。
富と権力とその政治力で、何でも手に入れたスペイン出身の教皇アレクサンドル6世(ロドリーゴ・ボルジア)とその息子チェーザレや娘ルクレツィア・・
陰謀や毒殺、暗殺、近親相姦など、黒い噂には事欠きませんでした。
それでも、ボルジア家に関する本がたくさん出ているという事実は、それだけ人を惹きつける何かを持っていた「偉大なる者たち」だったからだと、私は思うのです。
力を持った者には、嫉妬と羨望から生まれる憎悪の感情から、必ず中傷する輩が出てきますから。

もし、日本でチェーザレ・ボルジアにポジティブなイメージがあり、人気があるとしたら、それは、ひとえに、塩野七生さんのこの本のおかげだと思うのです。

この本を読むちょっと前に、以前ブログでもご紹介したイタリアの著名な歴史作家「Marcello Vannucci」氏(フィレンツェ人で故人です)の「ボルジア家」を読み終えていたのですが、塩野さんの本と書いてあることがとても似ていたのでビックリしました。
チェーザレを見る視点も好意的ですし、マキャベリとレオナルド・ダ・ヴィンチが登場する場面の雰囲気も異様に似ている・・

結局、ボルジア家に魅せられたしまった人間は、同じようなことを書くということでしょうか!?


しかし、チェーザレは立派でしたね。
絶望の淵にあっても、決して諦めない。
私には、チェーザレの死は悲惨なものには映りませんでした。
誠に、一武将として、立派な最期だったと思います。

ただ、チェーザレの亡くなった年の1507年・・
ボルジア家を破滅に追いやったローマ教皇ユリウス2世が、ミケランジェロに「天地創造」を描かせたり、その翌年にはラファエロにバチカンの「ラファエロの間」を描かせているんですよね。
なんだか、戦国の世とルネッサンスの芸術が、とても同じ時間軸で考えられなくて、摩訶不思議な気分になってしまったわたくしでした・・
世界は複雑だわ~



by mayumi-roma | 2013-06-09 04:52 | 映画・音楽・本・イベント

上野真弓、ローマ在住の翻訳家&文筆家&ツーリズム別府大使。日々の暮らしや芸術探訪、旅の記録。最新刊は訳書『ミケランジェロの焔』、著書に『教養としてのローマ史入門』、訳書『ラファエッロの秘密』など。お仕事のご依頼はoffice.uenomayumi@gmail.comへ。


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