Japan one year after the disasterシンポジウム@Villa Madama

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ローマ「Villa Madama」入口の門♪







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「Villa Madama」を下側から見上げたところです♪

2月29日、水曜日に、在イタリア日本大使館とイタリアのシンクタンク「Osservatorio Asia」(OA)との共催で、ローマのVilla Madamaにおいて、日伊関係に関するシンポジウム「Japan one year after the disaster: Dignity, reconstruction, future, knowledge」が開催されました。

会場となったVilla Madamaは、外相会談等に使用される迎賓館的な施設で、一般公開はされていません。私は、昔、イタリア美術史を勉強している時に、先生が特別な許可を取って下さって、見学したことがありますが、この、ルネッサンスの素晴らしいVilla(別荘という意味です)を会場として使うことが出来たのは、イタリア外務省の厚意によるものです。

私は、お友だちのAさんと息子と一緒に参加しました。







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Villa Madamaの建設は、1518年に、ラファエロの設計で始められたプロジェクトでしたが、ラファエロの早過ぎる死によって、その仕事は、弟子だったアントニオ・ダ・サンガッロ・イル・ジョヴァネに引き継がれました。
美術的観点からの写真は、明日の記事に載せる予定です。
本日は、シンポジウムについて、自分のための覚え書き♪







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進行は、イタリアのシンクタンク「OA」のロメオ・オルランド氏。
最初に、イタリア外務省の政務次官、ジャンピエロ・マッソーロ氏と在イタリア日本国大使の河野雅治氏からのご挨拶がありました。
写真は、シンポジウムが始まる前のものです。






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そして、講演は、イタリア側からは、プローディ元首相とマッツェイ・ナポリ東洋大学教授、日本側からは、伊藤隆敏・東京大学教授(経済学)と角南篤(すなみあつし)・政策研究大学院大学准教授(科学技術政策)が行なって下さいました。
使用言語は全て英語です。

大変、興味深く、非常に面白い講演内容で、あっという間に時間が過ぎたような気がします。
一人30分が目安の講演だったので、各人どうしても時間をオーバーする形になりましたが、それでも少し時間が足りなかったような・・
もっと、ゆっくりお話を聞きたかったです~

私は、この几帳面な性格から(笑)、講演内容のメモをとっていたのですが、ちょっとそれを日本語に訳す時間的余裕がありません・・

講演者の順番に講演タイトルを書いてみますと・・

①伊藤隆敏・東京大学教授(経済学)
「Lessons from the European sovereign debt crisis to Japan」
様々なグラフや表を使って、何故、経済状況がそれほど悪くないと思えるイタリアが危機に陥ったのか、どうして日本は大丈夫なのか?
また、イタリアと日本の抱える問題の共通点と相違点、出生率と年金制度の問題、増税について、実に分かりやすくお話し下さいました。
いやぁ、本当に素晴らしいものでした♪
聴講生として、東大に潜り込みたくなりましたよ~

②マッツェイ・ナポリ東洋大学教授
「Japanese civilization: challenges and responses」
日本学の専門家は、独自の理論を展開させてくれました。
私的には、全てに同意出来るというわけではありませんでしたが、語り口が物語風で仰々しく、時々イタリア語なのか英語なのかはっきりしないことがありましたが、楽しめました♪
「改善」が、日本の新たなチャレンジのキィワードだそうです。
これは、確かにそうですね~

③角南篤(すなみあつし)・政策研究大学院大学准教授(科学技術政策)
「Japan's recovery strategy:innovation revisited」
まぁ、この先生、お若いのですが、舌を巻くほどの流暢な英語でビックリしました~
あとで、ご本人にお話を伺ったら、高校からアメリカに留学して、そのままアメリカの大学に進み、大学院もコロンビアだったそうで~~
すご~い!
この方、内閣府参与もされておられ、環境問題と連結させた技術革新についての貴重なお話をして下さったのですが、時間が足りなくて、グローバリゼーションの話を省略することになってしまって・・
とっても残念でした。

④元イタリア首相、経済学者のロマーノ・プローディ氏
「Japan's role within and beyond the crisis」
イタリアの経済危機に関しても、色々とお話し下さいましたが、ドイツのやり方を快く思っていないことを明白に出していました。
日本の今後については、大変良いことを仰ってくださいました~
簡単にまとめますと・・
その1、日本は、アメリカやヨーロッパにばかり目を向けるのでなく、もっとアジア(中国も含めて)と関係強化をはかリ、アジアサプライチェーンを築くことが大切ではないのか?←この件に関しては、イタリア人ジャーナリストからの質問で、アメリカを無視して中国と仲良くすることは出来ないのが実情ではないか!?という突っ込みが入りました~
その2、原発事故後のエネルギー政策に関して、日本は早急にそのポリシーを変更する必要があるのではないか?
その3、日本とイタリアが抱える共通の問題(低い出生率と年金制度)も、日本がイタリアのように移民を受け入れる国になるのは難しいかもしれないが、女性の移民が来れば、その女性は子どもを産む。ロボットは子供を産まない・・(ただ、これは、日本ではこんな風には単純には考えられない問題ですよね。イタリアでだって移民排斥運動が強いですし、まして、日本で、外国人の移民が生んだ子どもが日本の未来を創るというようには単純には行きません。私的には理想論に近いという印象です。)








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シンポジウムが終わったら、どこからか、息子の名前を呼ぶ声が~~
なんと!
コリエール・デラ・セーラ紙(イタリアの有力紙です)のパオロ・サローム記者でした~
ミラノからわざわざいらっしゃったそうです。
お互いに、「どうして、ここにいるの~~!??」

息子は、昨年4月に日本で大学生になったばかりですが、3月11日の大震災の際には既に東京にいました。震災と原発事故で先の見えない中、大学の入学式は4月1日から5月1日に変更され、そんな4月のある時に、原発事故の取材で日本に来ていたサローム記者の取材通訳を務めたのです。
いいアルバイトにもなり、とっても貴重な経験をしたようで、楽しかったようです。
今でもメールのやりとりをしているらしく、サローム氏、近々、原発関連の本を出すそうで・・
私も買おうっと!

そして、そして、残念ながら写真は撮りませんでしたが、懐かしい方にお会いしました~
昨年いっぱいまで、東京のENIT(イタリア政府観光局)の局長さんだったエンリーコ・マルティーニ氏♪
抱き合って、再会を喜びました~♪
てっきり、出身地のマルケで、のんびりライフを楽しんでいると思っていたのに~
なんと、ローマに居を構えたそうで、日本人の奥様もご紹介して下さいました♪
ローマにお住まいなら、これからは、家族ぐるみのお付き合いが出来そうです~







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シンポジウムの後は、カクテルタイムとなって、日本酒や梅酒、軽食が出て、パネリストや参加者たちと楽しく歓談する時間がありました。

普段は絶対に入ることの出来ない、このような素晴らしい場所で、著名な方々の講演を聴けて、また、様々な方々との出会いや再会もあったりで、大変、意義深い一日となりました。

このような機会を作って下さった、日本大使館とイタリアのシンクタンク「osservatorio Asia」、そして、イタリア外務省に心からの感謝をしたいと思います。
出来れば、また、何か面白いシンポジウムを企画して頂けるといいなぁ・・♪


(追記)すみません。
間違えて、最初はコメント欄をオープンにしてしまいました。
それまでにコメントを下った方、ありがとうございます。
ちゃんと保存しておりますので、明日の記事に移動させますね。
申し訳ありませんが、
本日までバタバタしておりますので、コメント欄を引き続き閉じさせて頂きます。


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by mayumi-roma | 2012-03-01 08:09 | ひとりごと、考えること

上野真弓、ローマ在住の翻訳家&文筆家&ツーリズム別府大使。日々の暮らしや芸術探訪、旅の記録。最新刊は訳書『ミケランジェロの焔』、著書に『教養としてのローマ史入門』、訳書『ラファエッロの秘密』など。お仕事のご依頼はoffice.uenomayumi@gmail.comへ。


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