ドリア・パンフィーリ美術館♪

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ローマ、ドリア・パンフィーリ美術館♪
ローマの中心部、ヴェネツィア広場寄りのコルソ通りにある美術館です。
この宮殿の回廊美術館は必見です!






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入ってすぐの中庭♪

この美術館の私のお気に入りを少しご紹介します♪
ラファエロの絵も1点ありますが、ここではご紹介しませんので、あしからず。








ドリア・パンフィーリ美術館♪_c0206352_1322069.jpg「インノセント10世」(1650年、ベラスケス作)
この美術館で最も有名な絵画、1644年にドリア・パンフィーり家からローマ法王となったインノセント10世の肖像画です。

1649年、ベラスケスは2度目のイタリア旅行に出かけ、ローマに2年ほど滞在していました。この肖像画は、この間に描かれた作品ですが、単なる肖像画に留まっていないところがベラスケスの力量とも言えます。
ローマ法王というカトリック最高位の聖職者というよりは、神経質で狡猾そうな一人の老人の肖像のように見えます。それほどまで、絵のモデルを冷静に見つめ、その人物の内面まで表現することこそが、ベラスケスの特長とも言えるでしょう。
私はとても好きな作品です。









ドリア・パンフィーリ美術館♪_c0206352_1342720.jpg「懺悔するマグダラのマリア」
(1594年~1595年、カラヴァッジョ作)
この絵は、カラヴァッジョのローマ時代前期(1592年から1600年)に描かれたものです。
カラヴァッジョが最初に描いた宗教画になります。

ローマ時代後期にかけて次々と生み出した数々の有名な宗教画とは、作風も雰囲気も違うでしょう?
一見すると、とても宗教的な絵画には思えません。



色にも筆のタッチにも柔らかさがありますし、マグダラのマリアは、まるでごく普通の少女が何かを後悔して気持ち的に沈んでいるかのように見えます。
その佇まいと顔の表情から、彼女の内面、何か後悔している様子を感じることができます。それまでの娼婦としての生活を悔やんでいる様子、あたりに散らばった宝飾品には、もう、ちっとも興味がない感じが伝わってきます。











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「エジプトへの逃避途上の休息」(1597年、カラヴァッジョ作)
こちらも、カラヴァッジョ、ローマ時代前期の作品です。
マグダラのマリアと同じ作風です。
こちらもとても宗教画には見えませんね。
華やかで美しささえ感じます。

昔は、カラヴァッジョの光と影を強調した作品に強く惹かれたものですが、年をとってくると、こういう柔らかくて優しい感じの作品のほうが心地よくなりました。
これも私のお気に入りです。








ドリア・パンフィーリ美術館♪_c0206352_1561510.jpg「洗礼者ヨハネの首を持つサロメ」(1515頃、ティチアーノ作)

私は、サロメの物語が好きではありません。
踊りの名手だったサロメが祝宴の席で舞ったご褒美に、王である継父から何が欲しいかと問われ、(イエスに洗礼を授けた)洗礼者ヨハネの首が欲しいと言った彼女・・
まあl、そこには複雑な物語があるのですが、ここでは省略~
気になる方はご自分でお調べくださいね♪


ですから、これを主題にした絵は私はあまり好きではないのです。
カラヴァッジョの作品にもありますが、あまりにもグロで、私は好きではありません。

でも、このティチアーノの絵は、繊細で明るい色彩が、絵のモチーフの異常性をずいぶん和らげているので、サロメの絵としては、かなり気に入っています。
さすが、ティチアーノ!
盛期ルネサンスのヴェネツィア派絵画で最も重要な画家の一人ですが、彼には独特の色彩感覚があったのです。

ちなみに、ティチアーノが描く女性はいつも何だか似たような雰囲気なのですが、彼が理想とする女性像を描いていると言われています。
ちなみにモデルは、ヴェネツィアの高級娼婦だったという話です。


ドリア・パンフィーリ美術館
Via del Corso 305,
Roma



by mayumi-roma | 2011-11-04 06:23 | ローマの美術・歴史散歩

上野真弓、ローマ在住の翻訳家&文筆家&ツーリズム別府大使。日々の暮らしや芸術探訪、旅の記録。最新刊は訳書『ミケランジェロの焔』、著書に『教養としてのローマ史入門』、訳書『ラファエッロの秘密』など。お仕事のご依頼はoffice.uenomayumi@gmail.comへ。


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