カラヴァッジョとラファエロのある教会♪

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Basilica di Sant' Agostino in Campo Marzio (聖アゴスティーノ教会)

ローマのナヴォーナ広場近くに、ルネッサンス時代初頭に建てられた教会があります。
元々は、14世紀末から建設が始められ、1420年に完成したものです。
上記の写真に見える現在の姿は、1479年から1483年にコロッセオのトラベルティーノを削って使い、拡大工事をされた完成形です。

この教会には、なんとカラヴァッジョの絵と、ラファエロのフレスコ画があるのです!
美術愛好家には、信じられないような話ですよね・・







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教会の内部です。
現在、中央祭壇を正面にして右側の回廊部分と、
中央から右にかけての天井部分を修復工事中です。








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左側の回廊部分♪
入ってすぐの一番左の礼拝堂に、カラヴァッジョの絵が見えます♪







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1604~1605年、カラヴァッジョ作、「Madonna di Loreto」
別名「Madonna del Pellegrino」とも呼ばれています。

写真は、作品を鑑賞するためのイルミネーションをつけてない状態です。
暗すぎて露出が足りません・・






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礼拝堂全体の様子。
イルミネーションをつけないと、暗くてよく見えません。






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でも、イルミネーションが、絵の下側から照らし出してしまうので、この絵を初めて見る人には、カラヴァッジョがこの光も演出していると誤解される方がいるかもしれません。
何しろ、光と影の芸術家と言われる画家ですから・・

この絵は、キリスト教の中の逸話の一つを表わしたもの。
扉の前で膝まずいてお祈りしていた信者の前に、
聖母マリアが幼子イエスを抱いて扉を開け姿を現す瞬間です。

この図柄を改めて見ると、少しマニエリスム的な部分を感じますね。
聖母マリアの足がクロスしているの分かりますか~!?
それに、幼子イエスが異様に大きいく描かれていますね。
これは、マニエリスム絵画の特徴の一つなんです。






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カラヴァッジョの作品は、光と影のドラマチックなコントラストが特徴ですが、この作品では柔らかい光を使って、暖かい信仰の気持ちを表わしているようです。
聖母マリアと幼子イエスの光輝く美しさ、
その光が、2人の貧しい信者の顔を照らしている・・







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そして、ラファエロのフレスコ画♪
こちらは、教会の中央部分。
ちょうどお祈りのイスがおいてある辺りの柱の上部にあります。







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ラファエロの絵って、どうしてすぐに分かるんでしょうね・・
絵のことを何も知らない人が見ても、
「これは普通の絵とは違う」と思わせる何かを持っています♪






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ラファエロ作 「Profeta ISAIA」(預言者イザイア)

ラファエロがシスティーナ礼拝堂にフレスコ画を描いていたミケランジェロの才能に驚嘆し、よくシスティーナ礼拝堂へ出かけては、その制作の様子を見ていた話は有名ですが、この絵は、システィーナ礼拝堂の預言者の絵を見てひらめいたそうです。






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それにしても、なんと美しい絵なのでしょう・・

優しくて美しく繊細で・・
柔らかい・・

見ているだけでうっとりしてしまう・・
優しい気持ちになれます・・



カラヴァッジョとラファエロ、
皆さんはどちらがお好きですか?
(時代も絵のスタイルも違いますから比較することは出来ませんけど、あえて・・)



ラファエロのフレスコ画と言えば、
ローマ市内にあるファルネジーナ荘の「ガラテアの勝利」が実に素晴らしいです。
ここは、ローマを訪れたら必見ですよ~
以前に、こちらの記事を書いていますので、ご興味のある方はどうぞ~♪
ガラテアの勝利(ラファエロ)←ここをクリックしたら記事に飛べます♪



by mayumi-roma | 2011-01-16 07:34 | ローマの美術・歴史散歩

上野真弓、ローマ在住の翻訳家&文筆家&ツーリズム別府大使。日々の暮らしや芸術探訪、旅の記録。最新刊は訳書『ミケランジェロの焔』、著書に『教養としてのローマ史入門』、訳書『ラファエッロの秘密』など。お仕事のご依頼はoffice.uenomayumi@gmail.comへ。


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