アウグストゥス帝のアラ・パチス

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杉の木に囲まれたアウグストゥス帝の霊廟。
ローマの街のど真ん中にありますが、ローマを訪れた方、この近くを通ったことがあるでしょうか?スペイン広場からも近いコルソ通りをちょっと入ったところに位置しています。
今では入ることは出来ませんが、内部はかなりの広さで、昔は、この中でピアノコンサートが行われていたそうです。夫は行ったことがあると言ってました・・





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アラ・パチス(アウグストゥス帝の平和の祭壇)博物館
上記のお墓のテヴェレ河寄りにあります。
写真右端にお墓を囲む杉の木が見えているでしょう!?

この博物館は、排気ガスや湿気等で痛んでしまった祭壇を守るためにローマ市が一大プロジェクトで建設したもので、Richard Meier という有名なアメリカ人の建築家の設計で進められました。
最初、そのモダンな建築には賛否両論ありましたが、今では大方のローマっ子はポジティブに捉えています。





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博物館を入ったところ。
奥に見えるのが、アラ・パチス(アウグストゥス帝の平和の祭壇)です。
ガラス張りなので、中は非常に明るく、ガラス越しに入る光が時間の移ろいと共に、面白い模様を遺跡に映し出します。





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入ってすぐの左手にあるアウグストゥス帝の彫像

アウグストゥス・・
元の名をオクタヴィアヌス・・
そうです、シーザーの養子だったオクタヴィアヌスです。
シーザーの仇討ちを果たした彼は、その人望と実力からローマ帝国の初代皇帝となったのでした。





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アラ・パチスを正面左側から見たところ。

アウグストゥスが属州ガリアから凱旋して帰還したことを記念して、この平和の祭壇が建てられました。紀元前13年のことです。建てられた当初はもうちょっと下流のテヴェレ河沿いにあり、数度に渡る河の氾濫などによって、地中に埋もれ始め、いつの間にか人々にその存在を忘れられてしまったそうです。





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ガラス越しにお隣のお墓を見たところ。
光と影のモチーフが面白い・・





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祭壇は、このように彫刻のレリーフで飾られています。
長い間、完全に土中に埋まっていたせいもあって、ところどころ喪失した部分もあります。





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アラ・パチスを正面右側から見たところ。





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アラ・パチスの建物の右手には、アウグストゥス帝のお墓がありますが、左手はルンゴテヴェレというテヴェレ河に沿った道路に面しています。

この博物館、とても開放感を感じる作りになっています♪
お天気の良い日に行ったので、太陽が織り成す光と影のお遊びが面白い効果を出していました。

最初に写真を撮った時には、遺跡に写る、この光と影の縞模様がいやだな・・と思ったのですが、中にいる間に、これこそが、建築家の狙いだったんだという気がしてきて、いつの間にか好きになっていました♪






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博物館を外側の下手から見たところ。
このあたりは、ファシズムの時代にムッソリーニによって建てられた巨大で威圧的な現代建築が多いところなので、ある意味、この博物館がオアシス的存在になっています・・





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ちなみに、こちらが、ファシズム時代の典型的な建築です。





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こちらも。

いずれも、世にも醜悪な建物だと言われています。
ローマの近代的な街、EUR(エウル)はこのような建物であふれています。




Museo dell’ Ara Pacis(アラ・パチス博物館)
Lungotevere in Augusta

開館時間:火曜日から日曜日9時から19時まで
休館日:毎週月曜日、1月1日、5月1日、12月25日、
     ただし、12月24日と31日は9時から14時まで


by mayumi-roma | 2010-03-05 08:00 | ローマの美術・歴史散歩

上野真弓、ローマ在住の翻訳家&文筆家&ツーリズム別府大使。日々の暮らしや芸術探訪、旅の記録。最新刊は訳書『ミケランジェロの焔』、著書に『教養としてのローマ史入門』、訳書『ラファエッロの秘密』など。お仕事のご依頼はoffice.uenomayumi@gmail.comへ。


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