「天使と悪魔」の足跡:その1-2
2009年 12月 02日
サンタ・マリア・デル・ポポロ教会の内部
物語の中で、誘拐された4人の枢機卿の最初の殺人現場となった教会です。
内部は、たぶん数々の芸術品を保護するためでもあるのでしょう・・
ほとんど照明がなく、昼間でも真っ暗です。
そのせいか、とても荘厳な感じがします。
教会の建築様式は、15世紀末の典型的イタリアン・ルネッサンスですが、内部のデコレーションは、17世紀後半、トスカーナ・シエナの銀行一族Chigi(キージ)家出身のローマ法王、アレッサンドロ7世が、お気に入りの彫刻家、バロックの巨匠・ベルニーニに一任して、リニューアルしたものです。
こんな小さな教会に、たくさんの芸術的宝がひしめいています。
ベルニーニやラファエッロは言うまでもなく、ピントゥリッキョやカラッチのフレスコ画、セバスチャーノ・デル・ピオンボが1点、また、カラヴァッジョの作品が2点あります。そのうち、1点は修復中で展示されていませんでした。
「サン・ピエトロ(聖ペテロ)の磔」カラヴァッジョ作
私の大好きな作家の一人です。
この絵を見るために、この教会には通ったものです・・
「天使と悪魔」の物語に出てくる、星が刻まれたマンホールのふたのようなもの。
一つだけではなく、教会中の床のいたる所にありました。
そして、これが床にある、Chigi(キージ)家の紋章とドクロを刻んだもの。
でも、ドクロは、バロック時代には好んで使われたモチーフなんです。
人間は常に死を意識しなければいけない・・とう意味合いがあるそうです。
つまり、人間は誰でもいつかは死ぬということを頭に入れ、天国に行けるようにちゃんと生きようということでしょう・・
これが、物語の舞台である「キージ家礼拝堂」の天井の丸屋根部分です。
丸屋根の中の部分はモザイク画です。
設計はラッファエッロ、完成させたのはベルニーニ。
残念ながら、現在修復中で、中には入れないし、祭壇や床は大きなプラスチックの布で覆われていました。
礼拝堂の内部にある彫刻の数々は全てベルニーニです。
しかし、これも、今回は、全然見ることが出来ませんでした。
ちなみに、この教会は真っ暗だと先に書きましたが、芸術品のある礼拝堂部分には、お金を入れると1,2分照明が燈る仕組みになっているのです。
キージ礼拝堂の左に位置するお墓
これが、たぶん、法王アレッサンドロ7世のものと思われます。
大理石で出来たピラミッドが面白いですね・・
ただ、ピラミッドは、永遠のシンボルとしてキリスト教でも使われるので、完全な異教のものという訳ではないのです。
キージ礼拝堂の右に位置するお墓。
こちらは、法王の弟か兄(イタリア語でははっきりしません)、シジスモンドのお墓。
もしかしたら、逆かもしれません。
間違っていたらごめんなさい。
2つのお墓は完全に左右対称に建てられていました。
でも、物語では、ピラミッドの中の楕円形とあった部分、単なる円形でした。
ダン・ブラウンという作家は、奥様が西洋美術史家ということですが、美術に限らず、秘密結社や歴史、宗教、象徴学にも長けた知識があって、だからこそ、このような壮大な物語が書けるのですね。
一瞬、ノンフィクションかと思ってしまうくらいにリアルですよね。
あ、「悪魔と天使」の本を読んでいらっしゃらない方、映画をご覧になってない方には、チンプンカンプンなお話だったでしょうね。
最後に素晴らしいパイプオルガンの写真を♪
もちろん、ベルニーニの彫刻で飾られています♪
by mayumi-roma
| 2009-12-02 04:06
| ローマの美術・歴史散歩