やなぎみわ写真展



やなぎみわ写真展_c0206352_1734362.jpg

ローマ日本文化会館で、やなぎみわさんの「マイ・グランドマザー」シリーズが展示されています。
イタリア国内のギャラリーや収集家によるコレクションが5点と映像1点を貸し出してもらったそうです。
10月1日から11月20までなので、もうすぐ終わりですね。



やなぎみわ写真展_c0206352_1740680.jpg

私は、まったく存じ上げなかったのですが、なかなか有名な方なのですね。
今年のベネツィアビエンナーレにも日本館の華として出展されたそうで・・
「グランドマザー」シリーズは、不思議な作品ですね。




やなぎみわ写真展_c0206352_17435417.jpg

「Geisha」 2002年 180×240 モデナ信用金庫所蔵
これを見たとき、正直、不気味な作品だと思いました・・
遠くから見ると華やかで奇麗なのに、近くに来るとお婆さんで・・




やなぎみわ写真展_c0206352_1745399.jpg

「HIROKO」 2001年 120×144 BYBLOS ART GALLERY VERONA所蔵
これは、今風な若い女の子との対比が面白いと思いました。




やなぎみわ写真展_c0206352_17471469.jpg

「MIKA」 2001年 150×180 BYBLOS ART GALLERY所蔵
ちょっと訳わからなかった・・




やなぎみわ写真展_c0206352_17483824.jpg

「AI」 2003年 180×240 プライベートコレクション
どうしてこんなところに日本人のお婆さんがいるんだろう!?と思いました・・



以上、写真だけを見た私の無知な第一印象ですが、
実は、作品の横には、解説というか詩というか、お婆さんの言葉が、イタリア語で書かれているのです。
これが、メッセージ性があるというか、まるで賢者の言葉のようで、問題提議をしているのですね・・


「GEISHA」では、芸者の心構えを説いており、それが、社会の基本的な一般常識になりうるものなんです。

「HIROKO」では、有名な高級娼婦が、自分と同じ道を進もうとしている孫にエールを送っている。

「MIKA」では、島に流れ着いた自分は色んな世界を見てきたけど、この島の人間はたぶん永遠にこの島を出ることはないだろう・・

「AI」では、女の子たちの未来を憂いながらも、女の子のつまらない毎日、希望と後悔が裏腹だということを独り言・・

なかなか深淵な言葉です。
ジェンダー、老い、生と死、人間のかかわり・・
いろんなことを考えさせてくれます・・

こういう写真もあるんですね。
好き嫌いは、別れると思いますが・・



by mayumi-roma | 2009-11-17 18:31 | 映画・音楽・本・イベント

上野真弓、ローマ在住の翻訳家&文筆家&ツーリズム別府大使。日々の暮らしや芸術探訪、旅の記録。最新刊は訳書『ミケランジェロの焔』、著書に『教養としてのローマ史入門』、訳書『ラファエッロの秘密』など。お仕事のご依頼はoffice.uenomayumi@gmail.comへ。


by mayumi-roma